ベトナムでフーさんと2ケツしたら10年後にタイムトリップした話
10年前の2010年、私は日本に取り残されていた。
7月、大親友は彼氏とタヒチに行くと言う。
旅行好きを通り越して、旅行のイデアと化している大親友のことなので、行き先に驚きはしなかったけれど、ハネムーンベスト3に入るような候補地にぺろっと行っちゃうところ、本当に好きだ。
そして、彼氏と行くのだから「私も行きたい」とは言えなかった。
時を同じくして、母が「ちょっとハワイに行ってくる」という質素なメールがきた。
実家を離れて一人暮らししていた私は、
母がハワイに行く気配やプロセスを感じることなく通告を受けた。
私と同じ株式会社家族に所属する母とは言えプライベートなことは本人に任せているのだが、ネミミニミズだった。寝耳に水。
とりあえず当時まだ日本に上陸していなかったホノルルコーヒーの豆を発注した。
私自身、大なり小なり知らないところに行くことに快感を覚えるタイプの人間なので、
海外旅行は私の中でとても重大かつ最大かつ無限大の関心ごとだ。
こうしてステイジャパンの外堀りが大爆発して崩れた今、日本から脱走したい欲がマイケル・スコフィールドしていた(※)。
※プリズンブレイク参照
上司に愚痴言われるうちが「花」だっていうから
いっそ可憐に咲き誇ろうかと思う
とミスチルの桜井さんが申しておりましたが、
当時社会人2年目、臆病な私は有給休暇を2日以上連続で取得する勇気なく、
いかに週末トラベラーできるか、世界地図とトラベルコ先生とにらめっこしていた。
できるだけ日本と文化が離れていて、有給1日で行けて、美しく美味しい国。
「ベトナムだ・・!」
なんと言っても辛いものが苦手な私は、格安旅行でメジャーなタイよりもベトナムの料理に引き寄せられていた。
そして、何よりあの冒頭の大親友が「ベトナム気になる」と言っていたので壮大な下見してくるという謎のミッションを掲げたことも理由のひとつ。
ちなみに、これが人生初の1人海外旅行。国内はどこだったかな?
もともと ひとり行動に何ら抵抗のない、むしろひとりを好む私でも、海外旅行はさすがにピリッと緊張した。
しかしだ。
今、私は初対面のベトナム人のフーさんとバイクを2ケツして、かれこれ1時間半は走っている。
大丈夫か。
気は確かか。
知らない人について行っちゃだめって習ったでしょうに。
私はなぜフーさんと2ケツしているのか、少し時を戻したいと思う。
ベトナムのホーチミンという、日本でいう大阪みたいな商人全開な街をブラブラ歩いていたところ、
「アイーン」「カトチャンぺ」「マイウー」
王道ではあるけれど、旬ではない日本のギャグが、
ファミマの入店音のように街から聴こえてくる。もはやBGM。
東南アジアあるあるの日本人ターゲットの客引きか~
なんて無視しながら大通りを闊歩していると
物凄く引き下がらない、むしろ押しが強いおっちゃんに当たった。
「犬も歩けば棒に当たる」ならぬ「一人旅の女も歩けばおっちゃんに当たる」である。
このおっちゃんこそが件の「フーさん」である。
このフーさん、要はバイクタクシー(バイタク)で観光案内してくれるという人だった。
なかなか達者な日本語に、ノートにびっしり書かれた日本語の口コミ(「楽しかった」「あそこに行った」「フーさんは信用できる」・・など)、たっぷりファイリングされた日本人の名刺、ベトナム的身分証明書(運転免許的な?)を案内中私に預けるというように、真偽はさておき用意周到すぎるのである。
正直ほぼノープランで旅していた私は、まんまとOKしてしまった。
そして、フーさんの案内で半日がかりでメコン川に行って蛍を鑑賞した。
何より衝撃だったのが、日本で「蛍は綺麗な水でしか生きられない」なんて習ったけど、
メコン川、紅茶花伝 並みに茶色い。
いや、マウントレーニアか、ほうじ茶ラテか、はたまた黒糖入りタピオカミルクか。
とにかく茶色いのに、暗くなるとピッカピカ川面で光だすの!逞しいなぁ。
今思えば無事に帰ってこれて本当に良かったに尽きる、ぼったくられたけど。
10年前には気付かなかったことがある。
「ベトナム/ホーチミン/フーさん/おじさん/バイクタクシー」
これらのワードを2~3個組み合わせてググるとザックザク情報が出てくる。
私が出会ったフーさんは運よく(?)、かなり有名人だったそうで、
嘘か真か日本のテレビ番組で志村けんさんをアテンドしたことあるという書き込みもあった(なんかタイムリーだなぁ。。)
そして、このフーさんの後に続けとジェネリックフーさんも多数いるらしい。
検索しだすと新情報が次々にわかって止められない止まらない。
2020年、Wi-Fiが空気のように飛んでいるおかげで、10年前の旅を今もう一度楽しんでいる。
そして、あいつも飛んでいる。
コ ロ ナ ウ イ ル ス だ。
2020年、私はまたも日本に取り残されていた。
いろいろな活動が自粛されている。
一時はマスクが街から姿を消した。
ダメ元で入ったドラッグストアにはもちろんなくて、ふら~っと隣のドン・キホーテに足を運んだ。
そこにはベトナム製の布マスクが店頭で大量に売られていた。
「こ、これは・・・!」
10年前のフーさんとのバイク旅のことがぶわっと蘇ってきた。
ベトナムは日本の車とバイクの台数が逆転するくらいのバイク天国で、
排気ガスから身を守るため街中にはファンキーな布マスクが
そこらじゅうに売られていた。1枚40~50円くらい。
10年前のフーさんありがとう。
ホーチミンの珍道中の詳細は別のnoteに記そうと思います。
興味があれば「スキ」を押していただけると書く活力になります。
最後まで読んでいただきCám ơn(ありがとうございました)!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?