住んでいたマンションを追い出された件
発端
2023年7月某日。在宅での仕事を終え、買い物に行こうと部屋を出たところ、ドアノブに封筒が挟まっていた。封筒はマンションの管理会社のもの。
ポストを使わないのが何とも気持ち悪い。封筒を持って家の中に戻って開ける。中身は形式ばった挨拶から始まる、便箋が2枚。
内容は「このマンション建て替えるから出て行ってください」だった。
状況確認
慌てて管理会社にメールで詳細を確認したところ、下記の返信。
目に見えない箇所の建物老朽化が進んでおり、オーナーが建て替えを決断
契約打ち切りは1年後
立退きの希望条件は借主側から条件を出してもらい管理会社が取りまとめる
さて困った。築30年ちょっとの建物を建て替えるとは思わなかった。立退きの条件なんてどうやって設定して良いのかわからない。
どこかに相談できないかと調べてみると、区役所で定期的に「不動産の売買や賃貸借、更新等」の無料相談会をやっているとのこと。すぐ予約した。
相談会
区の相談会の概要としては、宅建を持っている専門家と30分ほどお話できるとのこと。相談内容を事前に電話で担当者に伝え、当日区役所に出向いて相談内容を紙のドキュメントに手書きする(情報伝達の重複とアナログな伝達手段は勘弁してほしい。。)
担当者は高齢の男性。相談内容を記載した紙を一読してもらい、下記の回答を得た。
立退きに相場というものは無い
敷金返還分や引越し・新居にかかる費用は、オーナー側に負担してもらって然るべきだ
ただ、一旦は管理会社から条件を出してもらい、不満があるならその旨伝えれば良いのではないか
区では弁護士への相談会もやっているので、交渉がこじれたらご利用ください
「バブルの頃は立退きが1本(100万円らしい)なんて言われていたけどねー」と、昔話もされたが、無理難題をふっかけるつもりもない。とりあえずこちらから提示した最低条件は以下の通り。
敷金の満額返金
更新料の免除
転居に必要な引越費用、新居契約費用
「上記をベースに、相場に基づいた適正な額にしてください」と、基準を相手に任せつつ「区内の家賃相場も値上がりしており部屋探しも苦慮しそうですので、その点も加味して頂けるとありがたいです」とも付記しておいた。ちなみこの泣き落とし作戦は、相談会の専門家おじいさんの入れ知恵である。
交渉結果
条件提示から2か月程度経過して、条件が提示された。文面が難しかったのでやっぱりメールで詳細を確認したところ、下記の条件とのこと。
立退料(新規住居契約費、引っ越し費用、返却敷金が含まれる)として現在家賃の10か月分を支払う
明け渡し期日までに部屋を明け渡すことが上記支払いの条件で、期日を過ぎても部屋を占有している場合、立退料から使用損害金(家賃の3倍)がマイナスされる
期日までに部屋の更新日が来ても更新費はかからない
十分な条件なので即OKした。ちなみに条件提示に2か月かかったのは「借主の中で連絡をずっと無視している人がいたから」らしい。。管理会社に同情する。
「立退き条件の相場を解説している動画無いかな?」とYoutubeで検索していた際、ひろ〇きが「建物の最後の一人になるまで待って焦らしてから、借主に有利な条件を突きつける」というアドバイスをしているのを見つけてしまった。ひょっとしてこれを真に受けていたのでは。。。
終了
条件提示から2か月程度かけてゆっくりと家探しをし、引越しをした。立退き料の振り込み明細も届き、マイナスされたりしていないことも確認。ひとまず無事に済んで良かった。
自分たちが引っ越し準備をしている間に出て行った世帯が半分、残っていたのが半分くらい。無視を続いてていた借主は出て行ったのか、まだ残っているのかわからないが、残っていたところで良いことはないだろう。
アクションに困った時は専門家に相談するのが大事だし、世の中に専門家は沢山いる。相談することで自分の考えの整理もできる。そんな当たり前のことを実感した一件だった。
以上。