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サンちゃん

サンちゃん。川野サンちゃん。
薄茶色のトイプードル。メスのサンちゃん。
今はもうメラメラに焼かれて、骨だけになったサンちゃん。
名付け親は俺の兄ちゃん。12月生まれというのと、みんなを幸せにしてくれるからという理由で、サンタクロースからちなんだサンちゃん。ちなみに、俺の「ファイヤー」という案は2秒で却下された。
サンちゃんとの出会いは俺がまだ小学1年生の頃。ある日学校から帰ると、ブリーダーの人と生まれたての3匹のトイプードルがいた。
「この3匹の中から好きなのを1匹選んでね」
さながらオーキド博士の様な発言をされ、戸惑ってたけど、何となく気弱そうな1匹を選んだ。新しい友達ができたみたいで嬉しかった。
いっぱい遊んだし、いっぱい散歩にも行った。今なら絶対にしないし、駄目なのも分かるけど、まだ小学生だったのもあって、サンちゃんも絶対気にいるはずと思い、俺の大好物のシゲキックスをサンちゃんにあげたりもした。秒で吐き出してた。多分、徳川綱吉の政権時代だったら生類憐れみの令で打首になっててもおかしくないと思う。
犬は賢くて、すぐその家のヒエラルキーを理解して、上の人間には懐き、下の人間は舐めきってるらしい。俺は寝ている間にサンちゃんにおしっことうんこを両方かけられた事がある。完全に舐められてた。最期まで俺にはお手もしてくれんかったし。
学校でトイプードルを飼ってるって話をしたら、「見に行きたーい」って言ってくれた女の子がいて、実際に見にきて、その日がきっかけで付き合えたりもした。サンちゃんあん時はマジでありがとう。大人になってから覚える「犬いるからうち来なよ戦法」を小学生でマスターした。サンちゃんマジでありがとう。
でも俺が中学に入ったくらいの時から、俺ん家は基本誰も家にいない時間が多いから、サンちゃんがストレス性の病気にかかって、そっからはおばーちゃん家で暮らしてたよな。年に3回くらいしか会えなくなったけど、臭いで覚えてんのか行く時はいっつも玄関で尻尾振りながら待ってくれてて、ボールでいっぱい遊んだり、一緒に寝たり、またおしっこかけられたり。
サンちゃんが死ぬ半年くらい前に最後の思い出作りで犬も泊まれるホテルに行ったよな。そん時はひたすら贅沢させてあげよーってなって、飯も神戸牛を使った犬食とか食べさせてあげたけど、いつものドッグフードみたいに食ってたよな。あん時ばっかりは「こいつ分かってへんな」と思ったけどそんなとこも可愛らしかった。
犬は飼い主に似るらしくて、サンちゃん全然俺に似てないなと思ってたけど、自分より強そうな犬に自分から吠えるくせに、ちょっと威嚇されただけですぐ逃げるの見たらやっぱ似るんやって思った。
もう死んじゃって向こうは暇かもしれんけど、もう10年もしたらおじーちゃんとおばーちゃんも行くと思うから向こうでも仲良くな(苦笑)

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