星を紡ぐ子どもたちと旅する大人──ひとりぼっちの孤島
Sky 星を紡ぐ子どもたちというゲームに出会い、プレイ歴1年を機にこのノートを書き残しておきたくなった。それほど私にとって特別なゲームになったのだと今まさに感慨深く“空”を眺めている……、……などとカッコつけておこう。そのくらいユルい気持ちで読んでいただければ幸いだ。
始めたきっかけは至ってシンプル、Switchでできる無料ゲームを探していたに過ぎない。いや、待てよ……AIによる誘導かもしれない。画面上のダウンロードバーとともに記憶も読み込む。可愛らしいアバターがポテポテと走り、輝きを放ち、青空を颯爽と羽ばたく──そうだ、スマホの“あなたへおすすめ”ゲーム内で2年も前からSkyは、星の子は、私を待っていた……!
雀、と呼ばれる時代の目標はポツリと放り出された広大な砂漠の孤島に決まる──攻略は見ない。横目にキレイな航跡雲を描く星の子はCOMだと思いつつも自らの羽で少しずつ前へ進む。
同じ背格好の子とフレンドになり、草花と青空に映える色鮮やかなケープを羨ましく見て、雨に凍えそうな裸足の自分と帽子や楽器まで身に纏った先輩たち、大きな肩に乗る小さな光への足りないエナジーに鳴いてくれた御礼も云えなかった黒子さん、渦巻く暗に怯えながらも諦めなかった自分を少し誇り、星空の上へ上へと昇るようなギミックを美しくも儚く不安になる。
とにかく“一週目”はこの世界を理解するこに夢中だった。ここで懺悔しよう、捨てられた地で心折れそうなときに攻略は見た……(はい、笑うところ) 捨て地の攻略というよりは孤島~峡谷までの取り損ねた光の翼や精霊を探すためだ。これは誓って本当だが、最終エリアの暴風域・原罪の情報は徹底的に避けた。
だから暴風域でまたも“エビちゃん”に“再会”したときは絶望する。覚えているだけでも5~6回暴風域・原罪に挑んではホームへ戻り、クリアできないとぷぇぷぇ泣く。
そう、お気付きだろうか……或いは共感してくれる方もいるだろうか。一緒に行くフレンドなんていないのだ。星座盤の見方や“欠片”については既に調べて日々「フレンドになってくれてありがとう」「欠片をくれてありがとう」の気持ちで見上げる。チャットは疎かワープさえもオンラインゲーム初心者の私には難易度が高すぎた。
その後、何度目かの暴風域でたまたま居合わせた方が手を引いてくれた。そのまま、まさかの結末がクリアだと思わない原罪の先でもずっと鳴きながら導き“使命”を理解させてくれた。
あんなところに精霊さんいなかったのに!? “二週目”は“生まれ変わった”軽快さと新たな感情表現に楽しさが勝る。攻略サイトはもちろん、TwitterやYouTubeもSky関連で埋め尽くされていく。私の星の子もシーズンの服や念願の赤ケープを手に入れスクショの旅に出ることもあった。
しかし、ふと立ち止まる。隣を見れば仲良く手を取り合い飛び立つ野良さんや「……」の賑やかなチャット欄、靄のかかった先にあるはずのフレンドエモート。
ソロでも充分楽しいと言い聞かせながら「フレンドとハイタッチする」クエストをサブが淡々行う。なんて羨望や嫉妬のようなネガティブはこの空に似合わないと何より、そんな自分自身が面倒になり次なる目標を決める……!
この一週間、ログインが重なったフレンドさんには自分から挨拶に行く! 結局それしか道はないのだ。星座盤とはウマいこと名付けられていて、見上げれば“星の数ほどいる”星の子の、たった一度会っただけの雀に誰がワープしてくれようか!!(参照:ゴリラエモート))
ワープする→フレンドは別のフレンドさんといる→恐る恐る近付く→お辞儀エモートを沢山する→お辞儀を少し返してくれる→居たたまれなくなりバイバイエモート→ダッシュでその場を離れ→私ひとりホームへ帰還。
お一人当たり2~3回(もちろん1日1回)はワープさせてもらった。それでも毎回上記の流れを繰り返したり、おそらく離席されていたり、フレンドさんキャリーで気付いてもらえないこともあった。心が挫けそうでも認知してもらいたい思いで続ける、が……流石に5日目辺りで成果のなさにタメ息を吐く。
ログアウトする前にひとり、トボトボと雨林で火種集めを開始したときだ──それは光る。10分前に挨拶をしたフレンドの名前が画面に映る。めちゃくちゃ戸惑った。サーバーが被った……!? さっきの今で「コイツまた来たw」と思われると本気で考えた。焦り固まる私の前に颯爽と立ち止まる高身長イケメン……あれ? ひとり……? 一緒にいたフレンドさんは??
お辞儀をしてくれて、慌ててお辞儀とエモートを探す。雨林の最初の門を指差す──何度も「怪しい者ではありません! 火種を集めに来ただけです!」を心で叫ぶ。そんな挙動不審な私へ頷くエモート。……え? 闇花を一緒に焼いてくれて、門をひとつひとつ開けるにも付き合ってくれる──飛び越えられることは知っていたから少しずつ確信する。もしかして私にワープしてくれた……?
ほとんど覚えていないキャンドルの場所や道のり(しかもほぼ歩く私)に、実を結んだあいさつ回りに、嬉しさやら恥ずかしさでいっぱいいっぱいになる。“こんな時”どう振る舞うべきか、半信半疑の“状況”で咄嗟に思い浮かぶはずもない困惑の中、私の“今”目指すゴールが現れる……!
中途半端やな、ツッコんでもらって構わない。雨林の神殿前エリア、右奥の精霊“涙ぐむ光坑夫”のいる洞窟上にある少し大きな闇花だ。まだ羽も少ない雀時代、雨に打たれながらも焼いてみる。“ハゲた”からと慌てて雨宿りした先で目にする──再生する闇花。
ひとりでは出来ないと諦めてきた“それ”を一緒に焼き切ってくれた。まだ数少ないエモートを駆使して喜びを表現するとイケメンさんは紙吹雪や拍手で応えてくれる。そこでバイバイした──神殿にもっと大きな闇花があることも既知していたが、だからこそ行けなかった。“焼く順番がある”という知識しかない上に、上手く飛び乗れず足を引っ張る未来しか思い描けなかったのだ……。
──会いに来てくれた優しい人に嫌われたくなかった。
ひとり孤島に佇む、小さな小さな雀は社会経験を積んだはずの大人雀でした。ただ少し無邪気になること、素直になること、弱さをみせること、そして──“新しい”友だちの作り方を忘れてしまったようです。
次回、仲良しフレンド爆誕!?(はやっ笑)
星を紡ぐ子どもたちと旅する大人──笑い声が呼ぶ草原 へ続く……!!