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ズグロシロハラインコを知ろう!基礎知識
愉快な動きで年々人気度が増しているズグロシロハラインコ。
その生態から準備する物まで事細かに説明していきます。
シロハラインコという鳥
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シロハラインコ・ズグロシロハラインコの2種からなるシロハラインコ属は、主に南米の熱帯雨林に生息しています。
アマゾン川の北側にズグロシロハラインコ、南側にシロハラインコと分布が分かれています。
群れは10~30羽ほどで成り立っています。主に樹上で生活し、ほとんどを採餌や遊んで過ごします。彼らは飛ぶことがあまり得意ではなく、歩行・ジャンプなどで移動することがしばしば目撃されます。
その行動の面白さから「鳥の世界のピエロ」とも言われているようです。餌は主に果実しか食べないと思われていましたが、種子や、飼育下では虫も食べます。
大きさは約25センチほど、重さは成体で約140~160グラムほどです。
ズグロシロハラインコの販売価格
一般的に17万円~40万円です。ショップやブリーダーによってさまざまです。海外でも国内でも安定した繁殖ができていますが、その人気の高さからか大手ペットショップなどでは値段が上昇気味です。
ズグロシロハラインコの性格
基本的に活発で人間を好み、陽気であるとされています。もちろん個体差があり、大人しい子や臆病な子までさまざまです。1人遊びが得意ですが、”おもちゃと人間を選べ”と言われれば人間を取ると言われるほど、人と遊ぶことを喜びます。
最低1時間の放鳥時間をつくり、たくさんコミュニケーションを取りましょう。
必要な設備
ケージ
おもちゃ
水入れ・餌入れ・食事
水浴びや放鳥スペース
紫外線ライト、もしくは日光浴
防音対策
順番に説明していきます。
ケージ
活発でよく動く鳥なので、広いケージが良いでしょう。
なんでもよくかじるのでステンレスだと安心です。
そして賢い鳥なので、ケージの扉を開けることがあります。また、餌入れを入れるところやケージ上部の接合部を開けて出ることが出来る子もいます。
そういった個体にはナスカンや南京錠での施錠が必要です。
おもちゃ
運動欲求が高い鳥なのでおもちゃはたくさん与えましょう。
丈夫なアクリル製品や、安全な材質の木のおもちゃが良いでしょう。また、革製のおもちゃも人気があります。
しかし、多くのシロハラインコ属は簡単に破壊できるほうが楽しくて好きなようです。懐は痛いですが、個性に合わせてあげましょう。
ただし、ケージ内におもちゃを入れすぎないようにしましょう。パニックになった際に羽が引っかかったり足が絡まるような細い紐は危険です。
また、爪が引っかかりやすい金具や、指を切ってしまうような鋭利な加工をされた鈴は危険です。
水入れ・餌入れ・食事
水入れや餌入れは、たびたびひっくり返されます。陶器のものや、後付けのステンレス製のものがおすすめです。水は毎日替えましょう。餌はペレットが推奨されています。副食としてリンゴやバナナなどの果実、くるみなどの種子をあげると喜びます。
※鳥に毒になる食べ物もあるので必ず確認しましょう。
水浴びや放鳥スペース
水浴びをするスペースが必要です。シロハラインコ属は頻繁に水浴びをします。シンクやバスルームなどを利用する際は洗剤や生ごみなどを取り除いてください。また、お湯は羽に付いている油が落ちて体温調節に支障をきたし危険なので絶対にやめてください。
しかし、あまり水浴びを好まない個体もいます。(我が家の1羽は10日に一回程度です。好きな子は3日に1回します)
初めてだと小皿や霧吹きがおすすめで、それらを見て水浴びしたがる時だけ水を用意してあげると良いです。無理に水をかけるのはやめてください。冬だと死亡例もあります。
放鳥スペースにはかじられて困るものや毒になるものは置かないようにしましょう。彼らは見境なくかじり、拾い食いします。よって床を歩かせることはおすすめしません。(人が踏む事故例あり・人間の食べこぼしのチョコレートで神経中毒になった事故例あり)
テーブルの上に止まり木や、おもちゃを置いてあげるとそれに気を取られます。飼い主がちゃんと付き添って遊んであげれば完璧です!
紫外線ライト・日光浴
鳥用のUVBライトも設置しましょう。日本は秋冬など寒く、外で日光浴できないこともしばしば。ビタミン剤と併用することで体内でビタミンとカルシウムを生成します。鳥に紫外線は必要不可欠です。
直射日光に勝るものはないので、できれば網戸越しでも日光浴させてあげたいですね。
防音対策
甲高い叫び声や唐突な雄叫びをあげることがあります。掃除機をかければ縄張りを主張するように、負けじと騒ぎ立てることもあります。
壁に吸音スポンジや遮音シートを張ることをおすすめします。壁の薄い集合住宅などでの飼育では苦情の恐れがあります。大きな声が響いても大丈夫なペット可物件などがいいでしょう。
その他の細かい事柄・補足
ご飯について
栄養バランスを考えて与えましょう。ペレットは鳥に必要な栄養が考えられて作られているので、これを主食としましょう。現在、日本より鳥の飼育が盛んな海外メーカーが主流となっていますが、徐々に国内メーカーも増えつつあります。さまざまな種類があり、鳥個体の好みもありますので複数食べられるようにしておくと、コロナ禍のように海外からの供給が止まってしまったときに慌てずに済みます。
メーカーは”鳥の体重の20%を与えましょう”としています。しかし最近は20%は多いのではないかという意見もあります。我が家では10%でも残す子がいます。対照的にあればあるだけ食べる子もいます。体格、筋肉量を考え個体に合った食事量を量ってみましょう。
副食として、ペレットでは少し足りない野菜や果実を与えましょう。特にシロハラインコ属は果実を好んで食べますのでリンゴやバナナ、みかんなど常備しておくといいでしょう。与えすぎには注意です。
肥満とダイエット
鳥を飼うにあたって大敵なのは肥満と発情。肥満は運動不足と食べ過ぎによって起こり、発情は病気などで弱ってない限りはどの鳥でも起こることです。
毎日体重を測ってあげましょう。成体になるまではどんどん増えます。体を触り、肉付きを確認しましょう。判断に困ったら鳥に詳しい獣医さんに掛かってみても良いでしょう。急激に体重が増加した場合は、卵の可能性も視野に入れましょう。
鳥は…というよりも人間以外の動物は、理性がありません。好物のバナナやくるみなどありますが、特にひまわりの種やくるみなどの種子はカロリーが高く、際限なく与えると太ります。先に「果実を好む」と書きましたが、野生化で食べている果実は他の野生動物たちとの取り合いで熟れていないものがほとんど。人間が作っている果物は糖度が高すぎて、それはそのままカロリーの高さです。こちらもあげすぎは太ります。あくまで副食としましょう。
太ってから痩せるのは、動物にとってかなりのストレスとなります。毛引き症や、悪化して自咬症になることも。(毛引きは肥満以外にも起こります)
肥満は予防することが鳥のためになります。
コミュニケーション・シャケ化
鳥はクチバシと脚、鳴き声でコミュニケーションを取ります。ズグロシロハラインコは本気で噛むと木を欠けさせるくらい強力な顎をもっています。しかし、噛まれたときに大きな声を上げてはいけません。飼い主の反応は鳥にとってのご褒美になり得るからです。無表情、無反応でじっと見つめてください。時間はかかりますが段々と甘噛みを覚えてきます。痛くない噛み方をしたときは褒めてあげてください。クチバシでしか表現できないのです。もしかしたら嫌なことがあったのかも…痛かったかな、怖かったかな…と思い至ってあげると打ち解ける日も早まるかもしれません。接し方を見直してみるのも手です。
爪切りをご自分でされる場合は心を鬼にして素早く済ませ、噛まれても甘んじて受け入れましょう。鳥だって嫌なもんは嫌なんです。
ここまでコミュニケーションを多くと言いましたが、1人にしてあげる時間も必要です。飼い主をパートナーとして認識した場合、飼い主が好きすぎて仕事や学校に行っている間つらくて毛引きしてしまう個体もいます。距離感を学ばせることも大切だと私は思っています。単に、ほうっておいてほしい個体もいます。
シャケ化
シロハラインコ属では俗に「シャケ化」と言われる行動があります。点目になり、ユラユラしながら本気で噛んでくるのです。それが断続的に起こることがあります。一種のトランス状態の可能性があり、点目になった際は近づかないほうが吉です。また、よく観察している飼い主の方はスイッチとなっているものがわかり対応している方もお見掛けします。いずれにせよ自制が効かない可能性が高いので飼い主側が自衛しつつ、怒らないであげてください。解決方法や詳しいことは解明されていません。
まとめ
いかがでしたか。陽気で面白い鳥である反面、強烈な噛み癖や高い運動欲求があり多くの時間を彼らに費やさなくてはなりません。
それができる環境ならぜひ、このとても面白い鳥と一緒に暮らしてみてください!