「鴨居 玲 -1983年2月3日、私」(高梁市成羽美術館)を鑑賞してきました!
高梁市成羽美術館にて開催中の「鴨居玲 -1983年2月3日、私」を画家のイシコさんと鑑賞してきました。
全52点の作品とメモやスケッチ、エッセイ等の各資料をあわせた約70点が展示されておりまして、どちらも共に見応え充分でございました。
裸婦シリーズも素晴らしいし、パステル画も、酔っ払いシリーズもピエロも自画像も、どれも圧倒的な画力と類稀なるセンスに始終驚きっぱなしでした。
と同時に、どことなく感じた印象の分だけ”暗さ”も感じてしまうのが鴨居玲作品。
特に、絶筆の「自画像(絶筆)」(1985年)の赤色の鮮やかさに畏れおののきました。
あんなに美しい赤色は見たことがないなと。
そして、美しくも哀しき赤色とは、このことなのかと。
いつも展覧会鑑賞後などはイシコさんとチャプチャプとお話ししたりするのですが、鴨居玲展鑑賞後、どことなく無言の二人。
そして、どこからともなく、
「いやぁ、なかなかにキツかったですな…」
「重いですな。心にドシンときますな…」
と、かなり暗めのテンションでボソボソと慰め合ったりしました。
どうやらイシコさん曰く、どちらかというと自分はピエロの外側の方を描くタイプだ!と実感したそうです。
鴨居玲さんの場合は、同じピエロを描いたとしてもその人間の軸の中身部分、いわゆるコア・核そのものをえぐるようにそのまま描き出すから、鑑賞者はどうしても暗い気持ちになってしまうのでは?という結論に至りました。
そんな中、鴨居玲展鑑賞後、あまりのローテンションから脱却すべく、
「そういや、エジプトや化石は見たかい?」
とイシコさんに尋ねると見ていないとのお返事。せっかくだから覗いていこう!と何気なく立ち寄ったオリエント展示室と化石展示室で同時開催中の「児島虎次郎の古代エジプトコレクション」と「成羽の植物化石」に心の芯から癒されました。
「知・驚き・発見」の充足タイムに心が洗われるかのような洗礼タイム…
例えば、モノチスは中生代三畳紀後期ノーリアンの海に生息していた二枚貝の絶滅分類群だということを知り、「モノチスがあれば中生代三畳紀よ!」という懇切丁寧な説明パネルに知識欲求がぐぐん!と満たされたり、同じ青でも鴨居玲の描く「教会」(1976年)の青とは比べ物にならないくらい何故かめちゃんこ明るい印象を受けてしまった古代エジプトのエジプシャンブルーの鮮やかさに”安らぎ”を感じたり、同じ油絵でもこうも違うのか?と児島虎次郎の描いた人物画の華やかさに”眩しさ”を感じたりもしました。
いかがでしたでしょうか。
「鴨居 玲」展は、今週末(6/25•日)迄となっております。
お時間のある方は是非!
「鴨居 玲 -1983年2月3日、私」
高梁市成羽美術館(岡山県高梁市成羽町下原1068-3)
2023年4月8日(土)ー6月25日(日)
9:30ー17:00(入館は16:30迄)
<入館料>一般・シニア 1,200円/学生(小・中・こう・大学生)600円