新型コロナで「暇」になった医療現場から
批判覚悟の投稿ですが、生の意見として書きます。
私は東京で働く内科医。週1-2日は内科外来を、残りの日は緩和医療(いわゆるホスピス治療)を仕事としている。
本日4月17日、東京では201名以上の新規感染者が確認され、感染の収束の目処が立たない厳しい状況にある。
メディアでは、自己犠牲を払い献身的に働く医療従事者を激励するメッセージや著名人による医療機関への寄付、感染防護具の支給などのニュースもよく目にするようになった。
私自身もここ数週間、「東京の病院大変だろうけど、頑張ってくれよ!」と多くの友人たちから激励のメッセージがいくつも届いた。
とてもありがたい言葉。
でも・・・・
本当は、心苦しくなる。
なぜなら私は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により暇になった医師の一人だからだ。
例えば本日の外来。
私の外来は生活習慣病の患者さんがほとんどで、普段は1日で50名程度の患者さんを診療している。
しかし2週間ほど前より、新型コロナウイルス感染症が蔓延してくるにつれ、受診予約のキャンセルが殺到。皆さん口を揃えて「コロナが心配だから病院に行きたくない。薬だけ出してもらえないか。」と電話口で訴える。
結果、診察のキャンセルが相次ぎ、僕の診察患者数は約3割減。
いつも9時間診療を行うところを、本日はいつもよりゆっくり診療をして、6時間半で終了した。5時ピンだ。はっきり言って、今日の仕事は楽だった。今日だけじゃない、ここ2-3週間、明らかに仕事が減って楽になっている。他の医師たちもそう言っていた。
しかし、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
コロナウイルス診療の最前線で働き、自己犠牲を払っている同志たちがいる。メディアでは彼らの過酷な現場が報じられている。
しかし、コロナの最前線で過酷な状況に瀕しているのは、感染症指定病院を始めとした一部の医療機関と地域の基幹病院の一部の医療従事者だけだろう。しかもそれらの医療機関でも特に関係するのは救急や内科系の医師たちだけではなかろうか。
それ以外の診療科、特に手術を行う外科系や、医者が言うところのマイナー系(眼科、精神科、皮膚科)などの診療科はコロナ診療にはほとんど関わらないだろう。
これらの医療従事者はコロナの蔓延をうけ、僕と同じように外来患者数が減っていたり、不急の入院と手術が延期されるなどして、以前より暇になっていると思われる。
つまり、現時点では、ほとんどの医師がコロナ蔓延の影響で暇になっているのではないか。
<提言>
この苦境の時、余裕のできた医師たちをコロナ最前線の現場に投入すべきではないか。そう、国家の強制力により。今すぐ必要がなくとも、今後に備えて早めに法整備するのはどうか。我々は多額の税金によって育てられて資格を与えられ、ありがたくこの仕事をさせていただいている。だから、こう言う時は国のために働くことを強制されても仕方ないと考えている。
最前線で身を粉にして働くなんて嫌だ。コロナに感染したくない。重症化するかもしれないので怖い。世界では多くの医師が亡くなるいる。俺はいやだ、家族もいるし、子供も小さいし・・・
でも、もはやそんなこと言ってられない。
もしも国が強制的に医師を動員するのであれば、文句を言わずに立ち向かいます。でも、やっぱり自ら手を上げて現場に立ちたくはない。
これが僕の本音です。
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