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TARO賞の投票数とゲソの数を比較した話

先日、第26岡本太郎現代芸術賞でオーディエンス賞をいただきました。


オーディエンス賞は、来館者のお気に入り作品を投票する企画で一番票をもらった作品に与えられる賞です。

投票用紙は美術館の廊下に掲示されていたので、行くたびに自分の作品にどれくらいシールが貼られているのかが一目で分かります。
賞にこだわりが無いとはいえつい気になってしまうもので、いつもドキドキしながら美術館の廊下を歩いていました。

投票最終日にも在廊していたので、最終的におおよそどれくらいの票が入ったか分かっています。
廊下の投票用紙には400強のシールが貼られていました。
つまりのべ400人の方々が並み居る作品群の中から私の作品を選んでくれたということなのですが、この事実がうまく実感できません。

十数年やっている私の弱小ツイッターの歴史の中で、一番たくさん「いいね!」をもらった時も確か400くらいでした。

その時はまだ今のように高性能カメラが当たり前に搭載されているスマホは無く、各社のガラケーが新機種を出すたびに500万だ、いやウチは600万だと画素数の高さをことさらに競い合っていた時代でした。

私の母はワイドショーのチェックを欠かしません。
その時はテレビでガラケーの画素数競争の特集をちょうど見たのでしょう。
しかし通話機能以外の携帯機能を使ったことがない母。
母の中でワイドショーの情報が別の情報と混ざってしまったのでしょう、私のガラケーの新機種を見て
「今はゲソがすごいんでしょ?それは何ゲソくらいあるの?」
とイカの足の数をやたらと聞いてきました

「10」と答えたら母に
「あんたゲソも知らんのぉ!?」とアスカばりにバカにされました


・・・・というしょうもないツイートをしたら、
400人もの人がいいねをしてくれたことを記憶しています。
私が唯一経験した、ささやかなバズ体験です。

しかし、当時を思い返すに
母のゲソ問答にいいねをくれた人たちは別に
「今日みたどのツイートよりもゲソが一番良かった」
と思っていいねをしてくれたわけではないでしょう。
もっとライトな気持ちで、くしゃみをしたら手が滑ったくらいのノリで、ゲソにいいねを押してくれたのだと思います。

そんなゲソいいねとは違い、今回TARO賞でいただいた400枚のシールは
わざわざ川崎の生田緑地の奥地まで赴いて展示を見に来て下さり、20強もある個性豊かな作品を全て見た上で
投票用紙のある廊下に足を止め、私の名前が書いてある欄を探してシールを貼ってくださったのです。
これは本当にすごいことです。
400ゲソとは重みがまったく違います。

と、母のゲソと比べることで、事態のすごさを自分なりにがんばって咀嚼しているのですが
頭ではわかっていても中々気持ちは追い付いていかないものですね。

まだゲソの数(10)くらいのキャパシティしかない人間ですが、
これからも応援していただければ幸いです。
投票して下さった方、観に来て下さった方に心から感謝いたします。

早いもので、展示もあと1週間です。
祭はいつでも終わるのがさみしいです。

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