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機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-

映像・脚本・演技などなど、映画を構成する要素は多々あるため比べられないことを前提としても
文脈を含めたこの映画の偉大さは今年一番だと思う。


もう出てしまった。

それが、

機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-


これが、いかに偉大な作品であるかを語りつくそう。


事前情報ほぼ無しで観に行ったので、何が既出かわかりません!
ネタバレが嫌な人は見に行こう!
(なんならYoutubeにはネタバレ前提の公式動画もあります)

文脈を考慮せずとも、少なくとも
・トリガー作品が好き(フリクリとか大好き!)
・米津玄師や星街すいせいの新曲が好き
・映像が良ければ最低限満足できる
という人は、観に行くとよいと思います。

INAX必須というほどではないけど、より楽しくなるんじゃないかな。


え? 忙しいって?
なら、この記事を読む前に映画を観る時間を作りましょう。
映画自体あまり長くないですし、この記事は5000字をオーバーしています。
優先順位を間違えないようにしましょう!!






では、語りつくしていきますよ。

今回はマジで本当に文字数が多いので、目次も作りました。
つまみ読みの方はこちらご参照。



「ガンダム」という歴史の血脈

まず前提として、私はガンダムを「ミリしら」(シリーズやキャラなどの事前知識がない状態)でした。

その私でも楽しかったんですよ。
しかも、ガンダム自体にも、きちんと興味がわきました。

映画構成のネタバレ(?)をすると、
最初にシャアを軸とした昔の話があるんですね。

過去の偉人について知る、みたいな感じで
Beginning部分(?)が展開されます。

まぁ正直、何も知らないで見ているので
「前フリ長くね? ポスターの女の子いつ出てくるねん」
くらいの気持ちでしたが、

これ、必要でした。ごめんなさい。


歴史の文脈として
・「ガンダム」というものが、どういった立ち位置なのか?
・「シャア」とはどんな存在なのか?
などを教えてくれる教材でした。

これ、どこかで知らないと一生ガンダムがわからないと思うので
なんか、ガンダムの世界を知ったようで嬉しくなりました。
「話が長いよ~」とか思ってごめんなさい


ちょっと調べると、正史とも違う? んですかね?
気になりましたが、かといって・・・
最初から追うことを義務にすると辛くなるので、
そこはガンダムシリーズの優しさに甘えます。


で、にわか以前の「ガンダムミリしら人」として
声を大にして言いたい。


長年のガンダムファンこそ、この映画の存在に感謝すべきである!!!


全員好きになるべき、とは言わないです。

良くも悪くも、GQuuuuuuXフェーズからは現代アニメーションの文脈になるので、
昔からのガンダムシリーズが好きな方は、相容れない所もあるのではと想像します。

でも・・・今後のために間口を広げて
初見からでも、現代のコンテンツと張り合える作品を届けながらも
同時にガンダムシリーズの系譜・物語を紡いだ
ことが
あまりにも偉大過ぎる。

コンテンツはいくらファンがいようと、ファン層を次世代に伸ばせないと
先細り、力をどんどん失います。

キャラクターを見かける回数は維持できるかもしれませんが、
新しいものや、更なる物語の広がり・続きを見るためには
新規ファン獲得の期待感がないと相当厳しいです。
現状維持では大きなお金は動かず、新しさは生まれない。


今回はガンダム履修/未履修者のブリッジとなれる作品が登場しました。
未来の世代につながる橋を架ける建築家は、尊敬の念を抱かれて然るべきで、
そういった仕事がきちんと評価される世の中であってほしいものです。


映画を軸にしたコンテンツ同士の融合

楽曲×映画

前述の通りにガンダムを知らない私がなぜ観たのかって話ですが、
一番の理由は
「楽曲体験の奥行きを増やしたい」でした。

流れとしては、

ーーー
・米津玄師の「PLAZMA」めっちゃええやん!
・星街すいせいの「どうなってもいいや」も好みや!
 でも何回も何回も聴きつくしたな・・・・せや!

もっと、この曲たちを楽しみつくすためには
楽曲が使われている映画を観ればいいのでは??
ーーー

という発想でした。

私を含め、音楽理論などまで詳しくない人からすると
すべて理解できる人と比べて、
楽曲単体では感じられる奥行きに限界があります。

そんな人たちでも、映画での使われかたや
登場するキャラクターやシーンと紐づけることで
テンポ感や音調など、着目して聞く点を増やすことができる。

要は
YOASOBIと同じことを、自分の好きな楽曲・アーティストで
味わってみたかったわ
けです。


で、それは期待通りどころか、それ以上の得るものもありました。

映画を通して楽曲の深みを感じながらも、
楽曲を知っていたからこそ、劇中で使われるときの気持ちよさや、
映画⇔楽曲の相乗効果がありました。

映画を表す楽曲としての名曲は
・『きみの色』のエンディング「in the pocket」
・『HELLO WORLD』の劇中歌「新世界」
などなど、素晴らしいものがたくさん思い浮かびます。

本当に、どれも良い。
ですがこれらは「映画体験の増幅に長けた楽曲」だと解釈しています。
楽曲の視聴を通し、映画の追体験をする感覚です。

ただ今回の2曲は「映画を表す」だけでなく、
「映画自体を引っ張る力を持つ」点が非常に面白い。

楽曲が映画の追体験(主従)というより、
映画により楽曲への味付け・要素の付け足し(主どうし)が
されているイメージです。

ちょっと違ったら恐縮ですが、
時をかける少女」で使われる奥華子の楽曲が
近い役割なのかな? と思います。
※楽曲が相当に強い例なので、力加減まで含めると違いますが。


バーチャルアイドル×映画

そして、今回に関しては楽曲だけでなく
「歌唱へのバーチャルアイドル起用」の効果も感じます。
※個人的には「バーチャルアーティスト」と言いたいのですが、
星街すいせいさんの公式プロフィールに準拠しています。

3次元のアイドルやアーティストと異なる点は複数ある中でも
今回特に思ったのは、「物語性・キャラクター性の強さ」の差分。

配信活動や露出の多さ、ビジュアル面での差別化などから、
個人の性格や個性が伝わりやすい存在である
というのが効いており、
この楽曲を、この人に歌わせることの意味を感じる楽しさがありました。

実際映画を観ても、勝気で負けない性格の主人公マチュと、
星街すいせいさん自身の性格や歌い方がマッチして、
マチュの性格がより色濃く表現できている、と思います。

ビジュアル面や知名度以外でも、バーチャルタレントを起用する際の
面白みを知ることができ、よい体験ができました。

人間というものは太古の昔から、
意味と解釈で紡いだ自分の物語を見つけたときのエウレカで
キャッキャする生き物ですから。

意味合いを感じられるものがあれば、勝手に自分なりの星座を作りだすのが
コンテンツのファンという生き物なで、あればあるほど良いです。

ただ敏感なぶん、かみ合いが悪いと拒否反応を示すので、
力関係や大人の事情で組まれた歪んだ組み合わせになると
一気に興ざめします。

しかし今回はそれを全く感じさせないキャスティング、構成含めてお見事でした。
ファンからすると知ったこっちゃない余計な綱引きに縛られず、
良いものを妥協なく作った制作陣の方々は偉大です。

「コンテンツ×コンテンツ。無形×無形での価値創造」
が素晴らしかったですが、どういう表現や用語がいいんでしょうね。
(「コンテンツミックス」も違う・・・良い言葉があったら
どなたか教えてください)


スタッフ・制作会社同士のドリームスクラム

私はほぼ楽曲とガンダムの名前をアテにしていたので、
スタッフの名前もロクに確認せずだったわけです。

そしたらまぁ鑑賞後に出てくる出てくる重鎮たち。

特に庵野×鶴巻ってもう、日本アニメ界の至宝オブ至宝。
ガンダムって思ってみたけど、なんかエヴァやトリガーアニメっぽいな~
って思っていたら・・・それはそう
という並びだったわけですね、感服。
(これを知っていたらもっと早く観に行ってたかも)


アニメ映像としても、流れやカメラワークからの勢いや気持ちの良さは
現代だとトリガー、元を辿ればガイナックスの時から続く
伝統芸のような日本版Cartoonそのもの。

それにロボットアニメの弾幕シーンや、
街中を動き回る際の迫力を見せる特撮仕込みの技法なども相まって、
各所各所のカットにふんだんに技術が詰め込まれているのを感じます。

これが現代のアニメーション技術とも融合して
もう、素晴らしいの一言。
映像の爽快感だけで映画代ぶんを後悔させないクオリティです。
鑑賞直後はしばらく放心しながら興奮していました。

映画代だけじゃ逆に安すぎて割に合わない! と思ったので
3000円するパンフレットも買いました。


ただ同時に、ドリームスクラムの組み合わせが
新旧交わったものも見てみたい・・・という欲も出てきました。

混ぜるな危険かもしれないですが、
新海誠や岡田磨里や、シャフトなどの個性がある人や企業が
手を組んだらどうなるんだろう? と思いました。

オールスターゲームって、やっぱりワクワクしますし、
コンテンツが増え、PR動画や広告との乖離も散見される昨今だと、
監督やスタッフの情報は信頼材料になりますしね。


おかしいコンテンツ・産業としての密度

上記これまで語ってきましたが、私は思いつくだけでも
以下の知識があまりありません。

①過去の超有名アニメや特撮
スタッフから思いつくだけでも、ガンダムは全く知らなかったですし、
エヴァも最近ヱヴァの序を見た程度。
ウルトラマンも幼少期に観た程度であまり覚えていませんし、
特撮まわりの文脈も詳しくはわかりません。
(ライダー系も・・・)

②モビルスーツをはじめとする機械・戦艦
ロボット系のアニメを通っていないので、造形美や対戦の見せ方、
弾幕描写の美しさの変遷などを把握できていません。
※せいぜい「板野サーカス」という名前を知っている程度。
メカ的な良さを深掘りできないんですね。
シャアのガンダムも「赤くて平地戦だと目立たね?」といった無粋を思いつく始末・・・

③アニメーション会社の変遷詳細
ガイナックスやトリガーなどの時代を作ったアニメ制作会社の変遷も
ググってWikipediaを確認して思い出す程度のものです。
関係者間の歴史や動きなど、立体的に業界の歴史を語ることができません。

といった感じで、わかるところは掘れていますが
わからないところは全然掘れていません。
(特にGQuuuuuuXが始まる前のフェーズは知識に乏しく・・・)

それでも語るところが多いこの作品。
コンテンツやアニメ産業として語れる材料(=密度)がすさまじい。

まだまだ、観る方の知識や体験次第で、様々な角度から
作品を楽しむことができるのではないかと。

そして、この密度・文脈も含めた物語のボリュームこそが
自分なりのアニメ映画の醍醐味だと再認識しました。

深くファンになるコンテンツはやはり、
知識や経験を深めることでわかる価値が奥底に秘められているからこそ
評価されるのだな、と思います。
そうであってほしい。

深みがあるから必ず評価される、とは限らない世の中ですが、
広告資本や時流の上辺だけで引っかかったコンテンツはすぐ寿命が来ますよね。


【蛇足】え、続くよね??(いや、そうじゃない)

映画の建付けすら何も知らずに行ったので、最後は
「え、これで終わるの? おいおい!」と思っていましたが・・・

これ、アニメシリーズの前出し再構成版なんですね(笑)
知らんかったですよ~~
言ってよ!(笑) 言われたら観なかった可能性は否定できない

アニメシリーズも素晴らしいものであることを願っています。(頼みますよ!)

でも、単体で見ても全く後悔ない映画でした。
何より前述したように、
私みたいなミリしらがガンダムの門をたたかせてもらえる
偉大で素晴らしい映画でした。

再構成しているぶん、だらっとした説明は最低限に抑え、
展開やキャラクターの魅力にフォーカスが当たっていましたし。

暗くなるタイミングもほぼ無く、仕事疲れのメンタルでも
鑑賞後は良い気持ちで終われてよかったですね。

しかも劇中歌や主題歌はおそらく、アニメシリーズ全体の
脚本をふまえて作られたと思われるので、
アニメの放送が始まれば、さらにまた楽曲を深く味わえるわけで
ワクワクしちゃいますね。

そして、今回をきっかけに彗星の魔女も観てみたくなりました。
時間もつくらねば・・・



今回は、以上になります!

さて、自分なりに語ったところで
パンフレットや他の人の感想も読んでいくぞ~
絶対違う角度だろうな~楽しみだ~

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