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片づけに流れる時間の話


先日、実家の片づけをした受講生さんが、こんな話をしていました。

「押し入れを開けたら出てきたんです。5枚組の座布団とか。『イマドキ、これ使う?』って物でぎっしり、だったんです」

他に出てきたのは、几帳面に折り畳まれたデパートの包装紙、きれいに束ねられたリボンなど。棚にスキマなく詰め込まれていたそう。贈り物を頂いたとき、嬉しかった気持ちと一緒に「いつか使おう」と大事にしまわれていた物たちです。

一部、お父様の西陣織のネクタイなどは、レトロブームで一本300円ほどで売れたとか。必要とされるところで生かされてよかった、と話してくれました。

でも今回の片づけで、ほとんどは生かされることのないまま捨てられることになったんです。

使うかわからないけど、とっておこう」と”とりあえず”物を保管する。

こんな経験、よくあると思います。ただ、これを続けてしまっては、家中不用品だらけになっちゃいます。

わかっているけど繰り返してしまう。9割使わないとわかっていても、1割の可能性があるし、また買うのはもったいないからと手放すタイミングを逃す。

そんな方には、片づけする際に「時間」を意識してもらうようにしています。

片づけと現在、過去、未来

私は片づけの講座で、時間の話をよくします。部屋の片づけにおいては「現在・過去・未来」をいっぺんに意識するのです。

まず、現在を起点に考えると、いまのお部屋はまぎれもなく、過去の自分が作りだした状態です。同時に未来にとって現在は、過去でもあります。

包み紙の話でいうと、保管した時点で使う予定はなかった。そして現在、すなわち過去から見た未来でも使われていない。だから、いま使う見込みのない物は、未来でも必要ないんです。これを意識すると少しずつ「あんなに捨てられなかった物が、サクッと捨てられた」って変わっていきます。もちろん、思い出の品や用途が明確なものは別ですよ。

そして過去。よく「過去があって未来がある」と思われがちですよね。

もちろん、人生においては経験や知恵、寛容さなど、過去が人をつくるように思います。

だけど、物に関して言えば全てじゃない。全部を蓄積しておかなきゃ、未来がないということはありません。経験はいくらでも積むことができますが、収納には限りがあります。過去使っていた物は、全部残さなくても大丈夫なんです。

なかなか捨てられない本やDVD、ゲームを溜めていた受講生さんの旦那さんがいました。試しに売りはじめてみたら、わずかなお金にしかならなかったんです。価値があると思っていたけど、時代は変わったんだと気づいた。すると次々と過去の物にできて、減らせるようになったそうです。

どうしても手放せない思い出の品は、スペースを決めて、そこに入る量を超えないルールを作ると、わかりやすいです。

最後に未来。
新しい物が家に増えていく可能性は常にあります。消耗品でなければ、生きているだけで物が増えていくということ。贈り物だってあるでしょう。今、収納がパンパンなら、何かもらったらすぐに物で溢れてしまいます。だから、収納は常に、未来にお迎えする物の場所をあけておかなきゃいけないんですね。

片づけにおいては常に未来志向で

現在・過去・未来。家の片づけにおいて何を一番大切にするかと言えば、未来。ちょっと先の未来のために、部屋を整えるのです。

家族にとって何をどこにおいたら物を出して戻しやすいか、イメージすること。自分にとって心地の良い部屋をイメージすること。

物のいる・いらないを見極めるときは、「それは未来へ持っていきたいですか?」と自分に問いかけると、サクサク見極められます。

物の現在・過去・未来は人それぞれ

自分の片づけはそれでいいのですが、物の現在・過去・未来は、人それぞれだということは忘れてはいけないことです。

私は子どもが小さい時に、勝手におもちゃを捨ててひどく怒られました。「他人の物はゴミに見える」という話もありますが、その物が、過去か未来かは持ち主によって変わります。どう見ても衛生的に良くないしゴミだという物以外は、家族であっても、人の物は絶対に勝手に処分しない。これは、肝に銘じています。

ある片づけの受講生さんで、亡くなったお母様の遺品を少しずつ処分されている方がいました。

お母様は、とてもお洋服や食器をとても大事にされていたのですが、あまりに量が多いので、お姉さんであるその方は、数点を残してリサイクルに出そうと考えていたんです。

良かれと思って片づけを進めていたのですが、部屋を整えるために、同居する妹さんに色々相談していたところ、何か機嫌が良くない。なんで協力してくれないんだろう。私ばかり頑張っているのに。

最初はそう思っていたのですが、片づけを通して話を重ねていくうちに、実は、妹さんにとっては、お母様の物はまだ過去にはなっていなくて、遺品を家から出すことがとても悲しかったんですね。

ああ、一緒に暮らしているのに全然妹のことわかってなかったんだ・・と、もっと妹に寄り添いながら片づけを進めることにしました。

不要な物は家から出すべきですが、何でも捨てればいいということでもないのですね。要・不要は人それぞれだし、好きな物に囲まれた部屋というのも素敵なものです。肝心なのは、暮らす人にとって、心地がよいかどうか。

物を通して、家族の本音に触れられるのは、ある意味いい機会です。片づけはコミュニケーションのきっかけになります。

自分の未来を考える、家族とわかりあう一つの方法として、片づけを楽しみながら、最善のかたちにしていけたらいいですよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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