「要らない土地」を巡る相続トラブル

仕事柄、遺産相続トラブルを拝見することはよくあります。

そのなかでも、実は少なくないのが「要らない土地」を引き継ぎたくないともめてしまうケースです。

先祖代々受け継いだ農地や山林。
開発されるという情報で購入してしまった原野。
全然行かない別荘地・・・。

不動産は、大きな財産ですが、
利用価値がなければ逆に大きな負担になることも。

固定資産税や草刈りなどのメンテナンス費用
別荘地であれば管理費。
いらないものを持ってしまうストレス
自分の子供に引き継ぎたくないという思いを持つ方も多いです。

いくら要らなくてもごみ箱に捨ててくるということができない土地。 
 

よくあるご質問をまとめてみました。


ℚ.要らない不動産だけ相続放棄できますか?


A.一部の財産だけ相続放棄するということはできないのです。
相続放棄とは、亡くなられてから3か月以内に、家庭裁判所に対して、一切の財産を放棄を申し出る手続きとなります。
要らない不動産は相続放棄し、お金や財産価値のある不動産のみを相続するということはできません。

ℚ.自治体に寄付できないの?

A.自治体側が寄付引き受けるかどうかは、ケースバイケースです。無償だから喜んで引き受けるかというとそうでもありません。

寄付を引き受けると今後徴収できるはずの固定資産税収入がなくなるわけですから、それでも自治体としてこの土地を引き受ける価値があると判断した場合に限定されます。

実感として自治体が土地の寄付を受けることはあまり多くありませんが、まずは土地の登記事項証明書、公図など資料を集めて、自治体の担当窓口に相談してみるのも一つの手です。農地であれば、農業委員会に相談してみる方法もあります。


ℚ.要らない土地だから相続しても名義変更しなくてもいい?

 

A.いいえ、相続したらきちんと名義を変更しておくことをお勧めします。

要らない土地にコストをかけて名義変更の登記をすることに抵抗がある気持ちはよくわかりますが、この土地は、将来引き受け手が見つかるま
でしばらく(もしかしたら何十年と)所有していく財産となります。

この間にさらに代替わりをしたら?どんどん権利関係が複雑になり、関係当事者が増えてしまいます。そして将来せっかく引き受け手が見つかって名義変更をしようとおもったときには、とんでもなく手間や費用が掛かってしまうこともあります。

その都度権利関係をはっきりさせていくことは、引き継ぐ子供のためにも最低限必要です。

まとめ

要らない土地を引き継いでしまったら、自治体や農業委員会、隣地の方に声をかけてみるなど、土地を手放すために行動することと同時に、

権利関係をシンプルにしておくこと。
つぎに子供に引き継ぐ可能性がある場合は、
遺言を書いて引き継ぐ子指定しておくこと、さらにその負担をかける子にはその分相続させるお金を多くするなどして納得してもらうことも一
つの方法です。

また、要らない土地を処分したいという切実な気持ちに付け込む詐欺まがいの不動産仲介業者もいますので注意が必要です。

それぞれのご事情によって解決方法も違います。
あれ?と心配になったら、近くの司法書士にお気軽に相談することをお勧めします。

 

 







  

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