吸血鬼
モモトモヨ様の素敵なイラストを使わせて頂きます。ありがとうございます。
みなさんこんにちは。にしやんです。
今日は『吸血鬼』をテーマに書きたいと思います。
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吸血鬼ということばは、あのドラキュラの名とともに何かおそろしいイメージと結びついている。
けれど動物界では、吸血鬼はちっとも珍しい存在ではないし、おぞましい姿をしていると限ったわけでもないらしい。
そもそも夏になると、ブーンという羽音とともにやってくるカだって、まぎれもない吸血鬼だ。
ドラキュラは人の血を吸うために尖った歯をもっていたが、カはそんな怖いものをもっていない。
しかしその唾液の中に、血を凝固させない物質を含んでいて、吸った血が自分の胃の中で凝固してしまわないようになっている。
カに刺されたあとのあの痒みは、この血液凝固防止物質のせいである。
たっぷりとぼくらの血を吸ったカは、壁などにとまり、胃の中の血を一晩かけて消化して、その栄養で卵をつくる。
ふしぎなことに、血を吸ったカは、白っぽい壁にとまることが多い。
それに対して、これから血を吸おうというカは、むしろ物かげの暗い場所にひそんでいる。
だから、カがうるさいので電灯をつけてカを退治しようとすると、見つかるのはもう血を吸ってしまったカばかりだということになる。
にしやん