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就職氷河期世代を振り返って:ある一人の経験から
先日、永濱利廣著「就職氷河期世代の経済学」を読んだ。自身も氷河期世代の一人として、様々な思いが去来する一冊となった。
認識の変化
かつて私は、この世代の未就職者や非正規雇用者について、ある種の偏見を持っていた。「努力が足りないのでは」という安易な考えが、心のどこかにあったことは否めない。
しかし本書を読み進めるうちに、その認識は大きく揺らいだ。私自身、運が良かっただけなのかもしれない。偶然の産物として、正社員としての道を歩めているのかもしれない。
現代との比較
今の新入社員を見ていると、初任給は確実に上昇し、働く環境も大きく改善されている。ワークライフバランスという言葉も、もはや当たり前となった。
一方で、気になる部分もある。特に「学びの機会」という観点では、むしろ減少しているようにも感じる。これもまた、私たちの世代が経験できた「運の良さ」だったのだろうか。
同世代との接点
職場を見渡すと、同じ氷河期世代の同僚が驚くほど少ないことに気づく。彼らは一体どこで、どのようなキャリアを積んでいるのだろうか。
できることなら、同じ経験を持つ世代と一緒に仕事がしたい。共通の体験を持つ者同士、より深い理解と協力関係が築けるのではないかと考えている。
思索を終えて
本書は、単なる経済分析を超えて、一つの世代が背負った時代の重みを伝えている。その意味で、現代を生きる全ての世代に読んでもらいたい一冊だ。
そして私たち自身も、この経験を単なる過去のものとせず、次世代への教訓として伝えていく責任があるのかもしれない。