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熱性けいれん(熱性発作)ガイドライン2023の勉強まとめ

CarenetTV「ガイドラインから学ぶ熱性けいれんの診療のポイント」
とても分かりやすく、特に自然終息性けいれん症候群(良性機会性けいれんと特発性てんかんは同じ病態と考えてよい。)でのコップ+水+揺れの説明が納得でした。


けいれんの分類の話

  • 小児のけいれんでは良性機会性けいれんがが圧倒的に多い

  • 良性機会性けいれんと素因性てんかんの違いは誘因の有無だけで、基本的には「正常な脳におこる体質によるけいれん」なので年を取ればけいれんが起こらなくなる予後良好なものである。

  • 両者は線引きが難しく、自然終息性けいれん症候群と考えると分かりやすい

  • つまり正常な脳であることが予後に関わる。発達や神経学的異常がある場合には体質ではなく脳の問題があり症候性てんかんと考える。

体質とは?

自然終息性けいれん症候群では年齢が大きくなると自然にけいれんが起こりにくくなるということを理解するにはコップをイメージする。
けいれんが起こる時にはコップの中のが、何かしらの揺れでこぼれてしまうときに起こるイメージとすると

  • 体質とはコップの大きさで、年齢で大きくなるとコップも大きくなる。

  • てんかんの人はコップが小さいイメージで、抗てんかん薬はコップの中の水を少なくする。

  • 揺れが普通なら年をとったらけいれんは起きない。睡眠不足が重なりすぎるなど揺れが大きい場合には年をとってもけいれんが起こりうる。

熱性けいれん

けいれん発作の診かた

  • けいれんが続いているなら止める

  • SOSけいれんじゃないか鑑別する

  • 自然終息性けいれん症候群(良性機会性けいれんと素因性てんかん)ではないかを考える。

熱性けいれんの定義

生後6か月-5歳までの乳幼児期に起こる38度以上の発熱に伴う発作性疾患。
発熱以外の誘因がなく、SOS痙攣でもてんかんでもないもの。

単純型か複雑型か

以下の3つの内1つでも該当すれば複雑型

  • 焦点発作(部分発作)

  • 15分以上持続する発作

  • 同一発熱機会の、通常は24時間以内に複数回反復する発作

熱性痙攣の再発頻度、再発予測因子

熱性けいれん全体で、3割が再発する。
再発した人のさらに3割程度が再発する。
以下の4因子があると再発確率が上がる

  • 熱性けいれんの家族歴(両親、同胞)

  • 若年発症(生後12カ月以内)

  • 短時間の発熱-発作間隔(発熱1時間以内に発作出現)

  • 発作時非高体温(39度以下での発作)

たしかにどれも体質としてコップが小さいイメージに合致する。

熱性けいれん後のてんかん発症頻度

熱性けいれん後のてんかん発症頻度は2.0~7.5%で、一般人口におけるてんかん発症率0.5~1.0%よりも高い。
ただし保護者への説明では90%以上がてんかんを発症しないことを理解してもらうのが重要。

以下の5因子がある場合にはてんかん発症の頻度が上昇する。

  • 発達・神経学的異常

  • てんかん家族歴

  • 複雑型熱性けいれん

  • 短時間の発熱・発作間隔

  • 3歳以降の熱性けいれん発症

この中で「発達・神経学的異常がある場合」は他の要因とは圧倒的に違う。他4因子は正常な脳であり、てんかんに移行した場合でも素因性てんかんなので大人になれば消失する予後良好てんかんと考えられる。
発達・神経学的異常がある場合には素因性てんかんではなく症候性てんかんと考えられるため予後不良の可能性がある

年長時の有熱時発作について

5歳以上の場合でも熱性けいれんの定義を満たす場合には、熱性けいれんとしての対応で問題ない。
ただし5歳以上で発作を反復する場合やむ熱性発作を発症した場合には専門医へてんかん疑いとして紹介。

家族への説明

  • 熱性けいれんの児が今後てんかんを発症したとしても、成長に伴い発作が起きにくくなる素因性てんかんです。

  • 日常生活の注意事項は変わりますが、予後は変わりません。

  • 発達が正常範囲で、年齢相当の生活を過ごしていれば過度な心配はしなくて大丈夫です

ジアゼパム坐薬の功罪

来院時に熱性けいれんが止まっている場合にはジアゼパム坐薬のルーチン使用は不要。
熱性けいれんへの再発予防効果は高いがそもそも良性疾患である。
使用後の状態が薬効なのか実はSOSけいれんなのか不明でありSOSけいれんか否かの鑑別が困難となることから使用は状況を鑑みて慎重に検討する。

使用する場合には、
37.5度を目安として、1回0.4-0.5mg/kg(最大10mg)。発熱持続していれば8時間後に追加投与。

熱性けいれんでの解熱薬

通常の発熱疾患と同様に使用して問題なし。

  • 解熱薬で熱性けいれんの再発予防効果のエビデンスはない

  • 体温再上昇での熱性けいれん再燃するというエビデンスもない

熱性けいれんと予防接種

  • 熱性けいれん既往があっても現行の予防接種は全て受けてよい

  • 体調よければ最終発作からの期間に関わらず速やかに接種してよい

熱性けいれんと脳波検査

熱性けいれんへの脳波検査はルーチンに行う必要はない

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