振り返り16「胃粘膜下腫瘍」「高TG血症」
「その場の1分、その日の5分」を目標に雑多に振り返っていきます。
胃のSMTの取り扱い
SMTはGISTか否かが重要。
GISTとは?「2cm以下の胃粘膜下腫瘍をどう取り扱うか」より
間葉系細胞が腫瘍化した ものを消化管間葉系細胞腫瘍(gastrointestinal mesenchymal tumor:GIMT)と総称する.GIMT はさらに,平滑筋への分化をしめす smooth muscle type,神経系への分化を示す neural type,双 方への分化を示す combind type,どちらへの分化 も示さない消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)に分けられる.このなかでは GIST が最も高頻度で,65~80%を占めている。
胃SMTを見たときのポイントは以下
GISTと診断がつけば手術が原則:GISTは2cm未満でも急速増大し悪性化することがあり、良悪性の判断は現状困難なため
2 cm 未満、無症状,生検未施行のもので,明らかな悪性所見がない胃 SMTであれば年1-2 回の 経過観察。
SMTの悪性所見:潰瘍形成、辺縁不整、増大のこと。
Cushion sign:cushion sign陽性(=やわらかい)ならGIMTは否定的。
噴門部か否か:GIST は噴門部以外に多い、噴門部には平滑筋腫が多い
高TG血症:hypertriglyceridemia
高TG血症のLDLコレステロールへの影響。
LDLには算出法と直接法がある。
算出法:食後の検体やTG>400だと使用できない。
直接法:TG<1000なら使用可能だが、LDLの診断や管理目標のエビデンスは算出法の値を元に設定されている。
non-HDL:600>TG>400ならLDLの指標として使用可能。
二次性の原因
2型糖尿病、CKD、NAFLD、甲状腺機能低下症
アルコール
薬剤性(非定型抗精神病薬、抗レトロウィルス・プロテアーゼ阻害薬、β遮断薬、胆汁酸結合樹脂、コルチコステロイド、エストロゲン、免疫抑制薬、イソトレチノイン、サイアザイド系利尿薬)
高TG血症の治療意義
①ASCVDリスクと②膵炎発症リスクから考える
ポイントは以下
高TG血症の治療は原因のコントロールと生活習慣の是正が基本。
TG<500ならTG降下を目的とした投薬は不要だがASCVDリスクが高いなら、スタチンを考慮する。
TG>500なら膵炎発症リスクからTG降下を目的とした投薬を行う。膵炎リスク減少のための超高TG血症の第一選択薬はフィブラート製剤でありスタチンではない。
治療薬のそれぞれの効果
オメガ-3脂肪酸エチル(DHA+EPA):1回2g1日1回(89.5円)
・TG降下作用はスタチンよりも強く超高TG血症には検討される
・死亡率を減らすエビデンスはない。
イコサペントエチル酸(EPA):1回900mg1日3回(32.3×3円)
・単独でのCVDの1次・2次予防の有効性は示せていない
・CVD患者での二次予防ではスタチンと併用することで心血管死亡率を低下させた(NNT=111)。高TG血症あり、CVDまたは2TDM+αの血管リスクがあり、スタチン療法を受けている患者8,179人を対象としたRCTでは、イコサペント酸エチル2gを1日2回服用している患者では、心血管死、心筋梗塞、非致死的脳卒中の転帰をプラセボ摂取者と比較し低かった(11.2% vs. 14.8%; HR = 0.74; 95% CI、0.65 ~ 0.83; 5 年間の NNT = 28)。イコサペントを服用している患者では心血管系死亡率も低かった(5年間で4.3%対5.2%、HR=0.80、95%CI、0.66~0.98、NNT=111)。このような有効性は確立したCVD患者においてのみみられ、糖尿病や他の危険因子を有する患者ではみられなかったことに注意することが重要である。
・副作用:心房細動および末梢浮腫
フェノフィブラート:53.3mg1日1回~2回 8.3円/T
・スタチンと併用するならフェノフィブラートが好まれるが、腎機能障害時には注意。(AFP:Management of Hypertriglyceridemia: Common Questions and Answersより)
・尿酸降下作用もある
・胆石形成作用あり胆嚢疾患には禁忌(2020ガイドラインより)