Culture Amp(カルチャー・アンプ)
Culture Amp(カルチャー・アンプ)が提供する従業員エクスペリエンス・分析プラットフォーム「Culture Amp」は、どのような点に特徴があるか。また、その可能性について見てみよう。
Culture Ampのプラットフォームは今後の「HRテック」の方向性を見るうえでおもしろいので、俯瞰してみよう。企業業績と生産性を高めるためには、社員のエンゲージメント(Employee Engagement:EA)を高めることが重要である。Culture Amp(以下「CA」)は、このEAを軸にしたHRツールである。EAの基本である社員満足度の測定や、企業組織との適合性等を自社で把握して対応策が出せるという、スピード感ある「アジャイル」な設計思想に基づいている。従来は、EAを向上するためには、外部人事コンサルタントに依頼して満足度測定と対応の助言を得ていたものが、CAプラットフォームによって自社内で完結できるというものである。背景には、ビジネス環境の激しい変化に組織が即応せねばならなくなったという状況がある。PDCAのサイクルは経営的には時代遅れでOODAなど即応が必要だ、という類の発想の転換である。また、システム開発でも「アジャイル」方式が採用されたのも同様の例えである。
ならば、CAは万能ツールで人事コンサルタントが不要になるかといえば、そうではなかろう。社員と会社の関係は「Journey」であり、この旅路は各社のPurpose, Values, Culture (「PVC」)という景色が異なる。アジャイルに判断するプラットフォームであっても、社員のEA向上にはPVCを踏まえねばならない。CAを有効活用するためには導入段階で、従来のEA周辺情報(定性情報、KPI、経営戦略、PVC、人事コンサルタントの助言)を注意深く組み入れることは必要であろう。信頼性高い導入手順を経ずしては、CAは無意味なツールと化す。だが、基本的にCAは、社員のエンゲージメント向上に関し、伝統的な人事手法を大転換するツールであることは評価して良いと思われる。