実効性高いガバナンスとは

社外取締役の活躍によって、上場会社の取締役会が株主に対する受託者責任と説明責任に基づいた役割と責務を果たすという方向性に進みつつあると評価できるでしょう。これは、本来、コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」)が基本原則の中で目指している考え方です。

経営戦略の方向性の示唆と経営陣に対する実効性ある監督
ガバナンスの要諦として、取締役会は、企業理念(パーパス)に基づいた戦略の大きな方向性を示し、適切なリスクテイクを行う経営環境を整え、独立した立場から経営陣に対して実効性高い監督を行う責務があります。コンプライアンス確保だけではなく、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティ取組み方針の策定による持続的成長実現についても、適切に監督せねばなりません。社外取締役の多様な能力と知見とによって、これらの監督機能の実効性が高まりつつあると評価して良いでしょう。この点、取締役の知見・経験・能力等を一覧化したスキルマトリックスによる整理はとても意味があります。

社外取締役会のさらなる実効性発揮による企業成長を期待
社外取締役は、「学者、財務・会計・法律専門家、他社経営経験者」の組み合わせで構成することが一般的になりました。また、女性取締役を招聘することが当然になったことも株主にとって良いことでしょう。多様な知見・経験・能力により構成された取締役会が、商品・サービス・事業のイノベーションを活性化することも、欧米の先進企業の取締役会が高い実効性を発揮しているケースとして評価されています。国際性、年齢、多様な経営経験の社外取締役によって取締役会を構成することでより質の高い監督機能が発揮されれば、株主にとっても大きな楽しみとなります。例えば、ソニーの取締役会が今後どのように高い実効性を発揮し、会社をさらにイノベティブに成長させるのか注目したいところです。

コードの順守に留まらず、社外取締役の実効性発揮のさらなる進化が、上場企業の企業価値をより向上させていくことが期待されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?