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【復刻版】ロシアから見た北朝鮮の核(創成期)・国家機密流出を阻止せよ(前編)

【この記事は復刻電子版です。最新の記事・情報ではありません】1994年に取材。同年6月にテレビ朝日・ニュースステーション特集で2週連続で放送、集英社・週刊プレイボーイで2回連載した記事を編集しました。

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国家機密を保持しているロシアの軍事技術者がモスクワ・シェレメチェボ第2空港で拘束された。彼らの行き先は北朝鮮。ロシアでもっとも重要な軍事都市のひとつ、ミアスのミサイル技術者とその家族は、なぜ北朝鮮へ行こうとしたのか? シェレメチェボ第2空港で、そして、ミアスで何があったのか? 真相解明のため、私たちはロシアへ飛んだ。
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それは出国拒否で始まった

92年10月、ロシアのシェレメチェボ第2空港で事件が起きた。この事件はしばらく秘密にされていて、公式に人々に知られるようになったのは4ヵ月後の2月9日だった。
なぜ、事件の発表までに4ヵ月もの期問を必要としたのか? 実は、この疑問が事件の謎を解く鍵になるのだが、その前に92年10月に起こった事件の概要を追ってみよう。

ロシアのタス通信によると、当時のKGBである国家保安省(現在は組織変更してロシア連邦防諜機関)が93年2月9日、次のような発表を行なった。
「軍事兵器製造基地であるチェリャビンスク州の専門家グループが、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の働きかけに応じて同国へ出向く計画を突き止め、92年10月、シェレメチェボ第2空港で彼らの出国を阻止した」

この事件には重大な問題がある。それは、核関連技術とミサイル技術が、ロシアから北朝鮮に流出しているのではないかという疑問だ。もし、ロシアの優秀な科学者や技術者が北朝鮮に渡り、その結果、北朝鮮が核弾頭を搭載可能な長距離ミサイルの開発に成功したら国際問題になる。

私たちはロシアへ飛び、この事件の真相を解明することにした。

モスクワから東へ2千キロ、ウラル山脈のふもとの都市、チェリャビンスク。ここはロシアでもっとも重要な軍事都市のひとつで、州の中には地図にも載らない軍事閉鎖都市が点在している。
州都チェリャビンスクからさらに150キロの場所にはミアス市がある。ミアスにはトラック工場と、今なお国家機密となっている国家ロケットセンターがあった。

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