作品「24 光のカーブ」



24 光のカーブ


雨上がりの朝
私は
ひとり
森を歩いていた

遠くから
いかるの啼き声が
聞こえてくる

足もとの
杉苔が
水を含んで
ふくらんでいる

木々を包む靄(もや)に
光の
白い帯が
いくつも
降りてきている

一歩
一歩
ゆっくり歩く

一歩
一歩
風が生まれる

今日は
このまま
良い天気に
なりそうだ

僕は
歩いてゆく

光のカーブ
その向こうへ









『耳の人』(BOOKLORE)
『歩きながらはじまること』(七月堂)


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