作品「半笑い」
半笑い
僕は
日々
貧しい農夫のように
過ごしています
そして
いつも
しずかに
半笑いなので
よほどの人しか
近寄ってきません
近づいてくる人は
なぜか
僕に
小瓶の日本酒
牛タンの佃煮
児童文学書
シーサーの置物
文楽のチケット
ビルケンシュトックのトートバッグ
小さな詩集
古いウイスキー
くまモンのバッジ
などを
ほいと
分けてくれます
よほど何か困っているように
見えるのかもしれません
僕もお返しをしようと
ごそごそしますが
何も見つかりません
しかたがないので
ごめんなさいね と
真顔で言って
また
半笑いに戻ります
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