作品「夏の姿」
夏の姿
ヒマラヤ杉をみつけたら
その
木陰に入ってみてください
できれば
そこで横になって
木洩れ日を
仰いでみてください
ミンミン蝉の声が
きこえてきます
風にゆれる
大きなヒマラヤ杉の姿が
みえてきます
目を閉じれば
しゅう……
しゅう……
しゅうううう…… と
耳慣れない音が
きこえてくるでしょう
それは
ヒマラヤ杉の
緑の針が
風と
遊ぶ声なのです
しゅう……
しゅう……
しゅううううう……
息を
ふかく吸い込めば
どこか懐かしく
すずやかな薫りが
鼻を撲(う)つでしょう
それは
ヒマラヤ杉だけが知っている
夏の匂いなのです
目に見えない
夏の姿なのです
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