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ペンスケッチに挑戦してみた
私は正しい漫画の描き方というものがよくわかっていません。絵とは関係ない大学へ行き、絵と関係ない仕事に就きました。退職した後、全くの未経験なのに週刊少年漫画の背景アシスタントとして雇ってもらい、そこでやっと漫画を描き始めた人間です。
アシスタント時代には「ハッチングがダサい」と言われて、美術教室に通ったこともあったのですが、鉛筆デッサンというのはシャカシャカ色んな方向に線を引いて物体を面で捉えていくので、漫画の描き方とは少し違うなとずっと感じていました。
2023年から始めたジェスチャードローイング、2024年に頑張ったカラースケッチで少しずつですが絵も上達してきました。2025年は自分の漫画のクオリティーを上げるためにハッチングの練習をすることにしました。
ペン画の教科書探し
ハッチングを練習するにあたって、私が教科書にしたのはこちら。クローディア・ナイスの『ペン&インク』です。「デッサン・スケッチ・イラスト・漫画を描く人に」という文言に惹かれました。ハッチングの種類とモチーフごとの描き分けが説明されています。ペン画のイラスト集としても楽しめる一冊です。
この本を読んで得られたのは「ペンによるハッチングの種類」と「それを使うための判断は実践でしか身につかない」ということ。そこで、ペンスケッチをやってみることにしました。
ペンスケッチに挑戦
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猫と白鳥のスケッチは、時間をかけているのもあって完成度はかなり高いように感じます。嬉しいことにこの絵を見てくださった方から似顔絵依頼のお問い合わせがありました。手前味噌ですが、そのくらいよく描けているのではないかと思います。
同時に私の中には「ペン画作品を作るためではなく漫画のためにペン画を練習している。これで本当にいいのか?」と迷いが出てきました。漫画のハッチングの練習になっているのか段々疑問を感じ始めていたのです。
漫画のクロスハッチングは必ずしも時間と手間をかければいいというものではないが、足し算を学んでから引き算を習うように、美術的表現をしっかり習得しなければ、漫画特有の簡略化した描写はできないのではないかと思いました。
また、白鳥のスケッチは、白を表現するために周りを描き込んでコントラストを明確にしています。これはフィルムスタディー的な観点から言えばシェイプを意識すべきだと気づくことができました。
私の漫画のクオリティーを上げるために必要なのは「シェイプ」と「ベタを入れる勇気」だったということがわかったのです。
ベタは存在感があります。コマ割りを決めていく上で狙ったベタの入れ方こそが大切なのではないか。その上「物体の形」「物体の影」「物体の質感」という情報を示すためにハッチングを使っていけばいい。そう思いました。
今年はまだまだ始まったばかり。ペンスケッチがある程度溜まったら、気づきとともに載せたいと思います。
もしよろしければ、絵の練習や自分の考えなどをいくつかまとめていますので、ご興味があれば読んでいただけると嬉しいです。