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10月11日

ふと、作業の合間に連立方程式を解いてみたくなって調べたのだが、計算式を見てもやり方をひとつも思い出せなかった。解けない魔法をちょうだい、なんてことばがあるが、まさかそれを目の前の問題が解けないときに思い出すとは思わなかった。もうすぐ解けてしまいそうな瞬間に、願ったり祈ったりするやつだと思うんだけど。なんなら私は解きたいと思っているのに、自力でいけるやつなのに、中学数学なのに、こんなことすら叶わないなんて。いったい私が解ける魔法はどこにあるんだろう。

気がつくと結構な時間が経過していたため、適当な支度を済ませ私は家を出て、ぎりぎり間に合ったバスのいちばん後ろの席に座ってからそのようなことを思っていたら瞬く間に目的地に到着した。理由はないのだが、バスでもどこでも右側の壁にもたれるほうが好きだ。もちろんそれだってなんとなくではあるのだけれど。それから連立方程式の問題については学生の時も解けていた覚えが特にないので、思い出す以前の話かもしれなかった。一生解けない魔法に掛けられているのは私の方だった。


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