こんなやつみたことない(渡邉尚 紹介文)
カンパニー頭と口の旗揚げ公演に際してコメントを求められたので9月26日にしたためたのもです。まだ MONOLITH を見る前の浅草ジャグリングカーニバル(2015年8月5日)の印象で書いています。彼をみたのはこのときが初めてでした。
こんなやつみたことない
みんなそろそろ気がついていると思うけれど、渡邉尚はジャグラーでもダンサーでもない。そうではなくて、僕らとは違う世界、ボールのある世界の見たことのない生き物である。
僕らは食べ物を食べる。そのために手を使えるように進化した。そして箸やフォークを使えるようになった。彼は同じくボールと生きていくための身体や技を持っている。それは身につけただけではなく、環境に適応した種族となるための何世代にも渡る進化が必要で、それをたった一人で終わらせてしまったのだ。たった一人で、僕らの世界とは異なるボールの世界で進化して暮らしている。食べ物を食べるようにボールと暮らしている。彼を見るのはつまり、彼を通して、僕らと違う世界を覗く稀有なそして贅沢な体験なのである。
殖えないことは一世代の進化種族の悲しみだ。と、思っていたら、突如として単為生殖のごとく細胞分裂してしまった。無敵だ。僕らは幸運にもその殖えたさまをMONOLITHで見ることができる。
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