「マーチン D-41のお話」
「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。
「マーチン D-41のお話」
D-41って”高価なD-45を買えない人が買うギター”、というようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?言い換えれば、D-45もどきのギターという感じでしょうか。必要以上に、評価が低い扱いを受けているような気がします。
とはいうものの「では、どんな音なの?」と聞かれても、答えに困ってしまいます。言葉で説明するのは難しいです。”本当のマーチンD-41の音”、を知っている人は、ほとんどいないと言っても過言ではありません。
それは、何故か?
マーチン社が目指していたD-41の音は、1969年に製作されたサイド・バックがハカランダのモデル(トップはジャーマンスプルース、31本のみ)の音だと思っているからです。
D-41はD-28に(D-45よりも簡素に)貝の装飾をしたモデルという風に説明されていたのを見たことがあります。私に言わせれば「アホか、こいつ!」という気持ちです。全く違う音です!!
D-41の音は「D-28がひっくり返っても出せない音」であり、D-45とも全く違う音です。言葉でお伝えするのは難しいとは思いますが、D-41にしか出せない音は存在します。
初めて買ったマーチンが1972年製のD-41でした。購入に至った動機は「同時に弾き比べたD-45よりも、音が良いと感じた。」からでした。今となってはどちらが良いとかいう優劣はなく、音の個性の問題だったのでしょう。単純にD-45よりもD-41の方が自分の好きな音だったということです。初めてマーチンを買ったときに弾き比べたのが、同じ年代のD-45とD-41(D-41は1972年製でした。D-45も同じ年代だったと思われます。)で、D-41を買いました。1969年製のD-45を買うときにも同じ1969年製のD-41と迷い、何時間弾いても自分で決めることができませんでした。最終的にショップのオーナーのアドバイスでD-45にしたのですが、その数年後にはその時買えなかった1969年製のD-41を買いに行きました。その後1969年生のD-45とD-41を、十数年弾き比べてその違いもよくわかりました。そしてD-45を先に手放すことになります。
今現在はD-41も手放してしまいましたが(友人が所有していますので、弾かせてもらうことは可能です。)、一番好きなマーチンは?と聞かれると迷いなく「1969年製のD-41」と答えます。
余談ですが、アメリカの”Vintage Guitars Info”というサイトでD-45は
Style 45 Flat top.
Collectibility Rating: Pre-WWII OOO-45 and D-45: A++, OO-45: A+, O-45: B+, 1968-1969 D-45: B+.
D-41は
Style 41 flat top.
Collectibility Rating: Brazilian rosewood D-41 size: B+. Indian rosewood D-41 size: D-.
1968-1969 D-45とBrazilian rosewood D-41は同じ評価になっています。
プリウォーのD-45の製作本数が91本ですが、ハカランダ(トップはジャーマンスプルース)のD-41はその3分の1(31本)しか製作されていません。68年~69年のD-45は230本あります。それだけでも、いかに希少性が高いかがわかると思います。
過去に1969年製のD-41を5~6本弾いてきましたが、ほとんど同じレベルでした。自分が弾いた中で”ハズレ”の個体はありませんでした。これに対して68年~69年のD-45は、”イマイチ”のものが多かったです。(あくまでも個人の勝手な感想です。D-45の場合、これはおそらく弾かれていない個体が多かったせいもあるのではないかと思っています。)
70年以降のトップがジャーマンスプルースのモデルではD-45、D-41ともに、これと言った個体には一度も出会えませんでした。D-45では、いったんホールドしておきながらキャンセルしたこともあります。
そんな中、今年になって初めて「おおっ、これは!」というD-41に出会いました。1969年製のD-41以外では初めての経験です。ジャーマンの特徴である高音のきらびやかさがあり、低音はよくあるローズのふわっとした感じではなく締まっています。
弦高を下げるためにブリッジが削られていますが、ネックの状態を含めセッティングはバッチリです。低めの弦高ですがビビることもなく、弾きやすいです。ピッチの精度もかなり高く、プレイヤビリティは最高!と言ってもよいぐらいです。
「下手な鉄砲も数打てば当たる。」ではありませんが、「探せば、当たりのギターはある!」もんです。あらためて、ギターは先入観を持たずにたくさん弾かないとダメだなと思いました。そしてD-41はやっぱり、大好きなギターです。
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