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「こんなハカランダ、もう出てこないかも?」「もはや,弾くギターではない⁉️」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「こんなハカランダ、もう出てこないかも?」
 前回の記事で、木材のことを書かせてもらいました。その余韻があるうちに・・・ではありませんが、今回も木材ネタです。

 少し前に、調整でお預かりしたギターです。材料と工作精度のレベルの高さにビックリ‼️

バックのハカランダの木目、これぞ柾目!という感じです。

 そのギターはFields D-BR、1996年製です。トップはジャーマンスプルース。流石に製作されてから28年目、かなり焼けてアメ色になってます。木目も素晴らしい‼️サイド・バックは、色も木目もホンマにええ感じのハカランダです。見れば見るほど、惚れ惚れします。
 それ以外にも驚かされるのは、製作されてから28年も経っているのに素晴らしい状態をキープしていることです。製作された時から、ほとんど動いていないと言っても良いでしょう。小キズはたくさんあるので、比較的弾かれてきたのでしょう。良い形で使われて来たのだと推測できます。メチャクチャ弾きやすいし、ピッチもバッチリです。サウンドも素晴らしい!!
 どちらかと言えばフィンガーピッキングに向いている鳴りですね。ピックでガシガシ弾くギターではないです。

新品価格は、1996年当時800,000円でした。
同じ仕様のギターは、2本しか製作されていません。
指板エンドの処理も珍しいパターンです。ロゼッタのアバロンをすべて活かしています。
ブリッジも柾目のハカランダ。これも良い色をしています。
サイドです。ヴィンテージマーチンでこういう感じ、よくありますね。
色と言い、木目と言い、ホンマに惚れ惚れします。
国産のギターで、こんなハカランダが使用されていたことに驚きです。
参考に:Martin OOO-28 1934年のサイド・バックのハカランダ(Blue-GさんのHPより拝借)

 ハカランダの話に戻りましょう。最近はとんでもない価格になってしまったようで、そう遠くない将来本当にその音を聞くことが(弾くことが)難しくなるかもしれません。枯渇してきているとか、無くなってしまうかも?そんなことを言われると余計に欲しくなってしまうのが人間というもので、それが余計に価格の高騰を招いているのかなとも思います。(ショップは逆にそのことを利用して煽ってきますけど。)

 あえて言いますが、ハカランダを使ったギター全てが良い音がするとは限りません。ハカランダもピンからキリまであります。同じように見えても堅さや質量が違うことがよくあります。形(サイズ、大きさ)やその他組み合わせる材料を同じにしても、同じ音にはなりません。自分の経験でも、サイド・バックがハカランダで相当な高額ギターでありながら「これはダメ!」とはっきり言えるものがありました。トータルで言えば「やっぱりハカランダのギターは良い!」「この音はハカランダでないと出せないよな。」ということの方が圧倒的に多いですけど。


「もはや、弾くギターではない⁉️」
 世の中の物価の上昇以上のペースで価格が高騰しているヴィンテージギターやハンドメイドのハイエンドギター。少しは落ち着いてきたかな?とも思いますが、一部の人気モデルは〝とんでもないところへ行ってしまった感‘’があります。

サウンドメッセで展示されていたervin somogyiさんのギター
この3本の合計金額が28,270,000円!!(税込み)

 少し前までの自分の感覚では、「高額なアコースティックギターを買うこと=頑張れば何とか手の届く贅沢」でした。もちろん個人差はものすごくあると思いますが、私の場合は何とか許してもらえる範疇に収まっていたようです。何よりも嫁さんの理解が一番ですが、他にもいくつかの理由があったと思っています。お酒が飲めないこと。タバコも吸っていましたが、20代の後半でやめました。他にこれといった趣味はなく、子宝にも恵まれませんでした。若い頃、ある程度車にお金を注ぎ込んだことはありますが、それも20代前半で終わりました。今一度自分の人生を振り返っても、本当にアコギ一筋の人生でした。

 話が逸れてしまいました。そんな自分にとって〝頑張れば手が届く贅沢‘’であった一部のギターが、ほぼ手が届かないところへ行ってしまいました。もはや弾くギターではなく、買ったとしても弾かずに持っておくギターになったような気がしています。終活を始めたことも影響しているかもしれませんが、そういうギターに全く興味が湧かなくなってしまいました。

アメリカの有名なヴィンテージギターショップにあった1936年製のMartin D-28
価格は185,000ドル。1ドル=157円換算で29,045,000円!!
同じギター。トップを拡大した写真です。それほどきれいな訳でもありません。

 新たに自分のギターを買おうとか、探そうとか言う意欲もなくなってきています。仕事をリタイアして年金生活に入っていることもあります。すでに数年前から、徐々に終活に入っていたことも無関係ではないと思います。
 それでも時々「これは!」というギターに出会ってしまうことがあります。常にアンテナを立てて情報収集をしてしまう、長い時間をかけて培われた悲しい習性ともいえるものかもしれません。そんな時は買ってしまうこともあります。が、それは自分のためではありません。"次にこのギターを弾く誰か"のために、自分がキープしておく。そんな気持ちです。そのような私の姿を見て、親しいギタ友から「結果的に、ギター減ってないのと違う?終活になってないんじゃないの!?」というツッコミも時々もらっております。しかし、それもそろそろ終わりかな?というところまで来ました。

こちらは日本のショップで出ていたMartin OOO-28 1956
トップにはっきりとわかるクラックがあります。それでいてこの価格!ビックリです。

 "高すぎます!!"本当に高くなりすぎたなと感じます。少し前だったら「これおススメ。」そう言えたギターを、時々は見つけることができました。が、今はほとんどありません。ここまで来ると、笑うしかないです。
 昨今のヴィンテージやハンドメイドのハイエンドギターの価格上昇の仕方は、銀行預金の利息などまったく問題になりません。そこに着目して、お金に余裕のある人たちが投資あるいは投機的に買っていることも考えられます。確率的に見ても過去から現在までの価格の推移を見れば、リスクもほとんどないと言えるぐらいです。円の価値も下がる一方です。金(ゴールド)は少し前に史上最高値を更新しました。貨幣よりも、何か"物"で持っていた方が賢いかなという考えになっても不思議ではありません。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。(と言いながら、今回は文章少な目でした。写真は多かったですけど)皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
 アコギ庵は「ギターを弾いてもらって、ゆっくりアコギの話をする。」そんな場所です。勝手ながら、完全予約制で運営させていただいております。
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