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アコギ回顧録 番外編その⑫「アンチ新品? 」「今こそGuild!かも?」 「TAYLORもなかなか、かも? 」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届きます!(現在126本まで確認しました)
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 今回も、まとまりのない雑文です。回顧録ではありませんが、普段自分が思っていることを簡単にまとめてみました。

「アンチ新品? 」
 何故か?新品のギターには、まったく興味がなくなりました。いつから?と聞かれても、まったくわかりません。かなり前から、としか言いようがありません。「何か理由があるはず。」と思い、その理由をちゃんと書き留めてみることにしました。
 新品のギターを弾いた時に一番思うことは、反応が悪い(鈍い)ということです。初心者の頃にはまったくわからなかったことですが、ある程度ギターが弾けるようになって少しずつそのことを感じるようになりました。特にヴィンテージの世界に足を踏み入れてからは、その差をはっきり感じるようになりました。
 同じカテゴリーに入れてもよいのかもしれませんが、新品のギターの特徴としてヌケの悪さがあります。特にヴィンテージなどと比べると、メッチャ湿った感じの音がします。極端に言えば、生木と炭ぐらいの差でしょうか?もちろん個体差はありますが、そんな言葉では誤魔化しきれない歴然とした差があります。逆にいうと、新品には無い「反応の鋭さ」「ヌケの良さ」がヴィンテージギターの魅力なのだということでしょう。 ヴィンテージまで行かなくても、比較的新しいギターでも、1年ほど弾きこんでやれば、かなり反応がよくなり音のまとまり感も出てきます。保管状況や弾かれている時間等様々な面で個体差があるので、すべてに当てはまることではありませんが。
 次に新品のギターに思うのは、不安定(動きやすい=変化しやすい)なものが多いということです。シーズニングの度合い、保管方法によるものが大きいと思いますが、安定するまでにはある程度(数年以上)の時間が必要だと思われます。この部分については、合板が多く使われている廉価版のギターの方が安定しているかもしれません。(調べたことがないし資料もないので、あくまでも個人の憶測です。)

"調整も必要"
 新品だからと言って、必ずしもベストの状態ではありません。何もしなくてもよいものもありますが、ほとんどの場合調整が必要になります。自分がプレイする上でのベストなセッティングを知っておくことも大切です。新品でも自分が納得できるセットアップがされたギターが少ないことから、新品を買うのに抵抗を感じるようになりました。新品なのに、別にお金がかかるのはちょっと腹がたちます。その点usedなら、その経費が気にならない程度は安くなっています。
 そんなこんなで、最後に新品のギターを買ったのは2004年。キルトマホのsomogyi MDでした。

Somogyi M.D. Cutaway(2004) European spruce Top,Quilted mahogany back and sides

「今こそGuild!かも? 」
 ヴィンテージギターの高騰(暴騰と言ってもよいかもしれません。)、インフレ?と円安のダブルパンチで、新品の輸入ギターも高騰。世界的な木材の高騰と、ギターの値上がりに拍車をかけるようやネタばかりの昨今。毎日のようにアコースティックギターのサイト(J-guitar.comやデジマート)を見ていますが、ここ一年ぐらいで相場が相当上がりました。今年に入ってからの急激な円安にもびっくりです。ずっと1ドル=110円前後で推移していましたから、半年余りで30%ぐらい円安に振れたことになります。
 ハカランダや、ホンジュラスマホガニー、コアなど、ワシントン条約で規制がかかっているものは尚更です。それに加えて、人気のあるモデルやレアなギターはもっとすごいペースで価格が上昇しています。今からハイエンドのギター、それに近い高級ギターを買おうと思っている方にとっては本当に厳しい状況になってしまいました。

 そんな中、比較的リーズナブルな価格でいてくれているのがGuildのギターです。(基本的に1970年代以前のものが対象ですが)
 過去にGuildのギターは何本も所有してきましたが、どれもが価格以上のものであったと言えます。もちろん買わなかったGuildでイマイチの物もたくさんありました。が相対的に価格は高くなかったので、お得感はかなりありました。
 マーチンの音(鳴り方)、ギブソンの音、と言われるような確固としたサウンドを確立していた訳ではありませんが(あくまでも個人の主観です。)、それなりに存在感はありました。アメリカ国内の市場価格を見ていると、日本国内での価格は割安だと思います。(主にヴィンテージのお話です。)
 昨年あたりからそう思い、ずっとヴィンテージGuildの価格を注視していました。「今一番お得感のあるのは、Guildかな〜?」と思っているのですが、ここ最近めっちゃタマが少なくなったように思います。価格も少し高くなってきたような・・・。

過去に所有したGuild(現在所有中のものもあります。)
D-40 1972、 D-40 1972、D-40 1972、D-40 1976、D-40 2002
D-50 1970年代
D-55SB 1968、D-55SB 1972、D-55SB 1973、D-55 1975
ひょっとするともう1〜2本あったかもしれませんが、思い出せません。
どれも良いギターでしたが、突出したものはありませんでした。バリューフォーマネーという観点で見れば高い点数を取れると思いますが、「絶対的な良い音」という部分ではマーチンやギブソンには及ばないのではないかと思っています。あくまでも個人の主観です。(自分が弾いたことのあるGuildの中ではという意味で)

GUILD D-40 1972年製


「TAYLORもなかなか、かも? 」
 いつまでMartin、Gibsonなのか?
 ずっとそんなことを思っていたら、いつの間にかTAYLORが・・・。今や、世界で一番アコースティックギターを販売しているメーカーになっていました。びっくりです!
 以前、初期の710(たぶん1980年代前半のもの)というモデルを持っていたことがあります。なかなか良いギターだったと記憶しています。自分の印象としては、マーチンやギブソンと比べるとちょっと線が細いなという印象でした。ただ、価格が比較的リーズナブルでしたので、モノによってはかなりお買い得感があるなと思っていました。
 TAYLORもここ最近はかなり高額なモデルも製作されるようになり、イメージが変わりつつあります。 急激な円安もあり全ての楽器の価格が上昇している昨今、TAYLORのリーズナブル感もだんだん少なくなってきました。そんな中、モデルによっては、あるいはタイミング次第で、まだまだお買い得だなと思う個体に出会うことがあります。(タイミング次第というのは、TAYLORに限らず全てのギターにも言えることですが。)

 個人的な感想になりますが、過去にぼろぼろになるまで使いこまれたTAYLORは見たことがありません。MARTINはGIBSONに比べれば歴史が浅いこともあると思いますが、中古でも比較的状態の良いものが多いように思います。ヴィンテージギターの魅力である"枯れた鳴り“や”ヌケの良さ“はありませんが、リペアやセットアップにそれほどお金をかけなくてもよいというメリットがあります。特に300シリーズ以上はオール単板で製作されており、うまく状態の良い中古を見つけることができればラッキーかなと思います。

 この原稿を書いていて、久しぶりにTAYLORのサイトを見てみました。価格の高騰にビックリです。(今年の7月1日から価格が変更になっていました)
参考:https://www.taylorguitars.jp/wp-content/uploads/2022/06/%E2%98%85%E3%80%90%E5%88%A5%E7%B4%99%E3%80%91Taylor-Guitars%E8%A3%BD%E5%93%81_%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E6%94%B9%E5%AE%9A%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%8820220701%E8%A8%82%E6%AD%A3%E7%89%88.pdf

 
 自分の中では「もし使うなら500シリーズ以上」と思っていたのですが、自分のイメージの倍近い価格になっていました。マジで「ホンマかいな?!」という気持ちです。
 また、今年(2022年)7月1日の価格改定で、500シリーズのほとんどが生産終了になっていました。今後500シリーズで買えるのは、Builder’s Editionだけみたいです。(良質のマホガニー不足が原因かなと、個人的には思っています。)最も低価格のもので649,000円!!
いやー、TAYLORのイメージが変わってしまいました。

TAYLOR 810LTD 1997年製

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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