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アコギ回顧録 Vol.24 「ローンも楽しい」「K楽器さん、お世話になりました」「МARTIN D-45LE 1987」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。


「ローンも楽しい」
 初めてのオールドマーチン D-35 1967によってオールドマーチンのすごさ、ハカランダのすごさを思い知った後、時間を見つけては東京へ遊びに行きました。東京の友人も完璧にアコギ、ヴィンテージの魅力にハマり、二人でギターショップめぐりを続けました。

 ちなみにこの友人、初めて購入したアコギがラルビーのL-28(初期のラルビーの代表的なモデルです。)で、中古でしたが当時(約35年前)で36万円。そして間髪を入れずにマーチンのD-28 1964を購入し、相当の期間ローンを払っていました。(当時ローンの最長期間は5年/60回だったと思います。)でも良いギターを手に入れた喜びの方がはるかに大きく、お気に入りのギターを弾きながら“ローン生活”を楽しんでいたようです。
 自分にも覚えがありますが、毎月いくらかの(時にはかなりの額の)ローンを払っていた時期が長期間ありました。お小遣いを切り詰めて、買いたいものも我慢する。そんな生活はしょっちゅうでした。それでも、本当に気にいったギターを手に入れて毎日弾けることの楽しさの方が大きく、ローンはまったくと言っていいほど苦になりませんでした。本当に欲しいギターを見つけたら、無理をしてでも何とかして手に入れる。借金したり組めるだけローンを組んだりしてでも頑張って買う。自分にとってはそれが普通でした。

 最近はめったにそういう話を聞かなくなりましたが、自分の若い頃はギターバカがたくさんいました。高校生でも親に借金してギターを買い、その返済のために土方のバイトをしたりする。そんな話をよく耳にしました。今とは時代も違うし価値観も変わっているのでそれが良いことだとは言えませんが、もっとそんなギターバカが増えてほしいと思っています。

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回顧録のVol.20に載せた写真です。左が友人のラルビーL28

「K楽器さん、お世話になりました」
 K楽器店お茶の水店の店員さんと仲良くなり、東京へ行くたびにその店に入り浸っていました。まずそこへ行きギターを弾くだけ弾きたおし、荷物を店に置かせてもらったまま食事に行ったり他の楽器屋さんに行ったりしていました。

 しばらくして仲良しの店員さんが本店へ異動になりました。今度はその本店が待ち合わせ場所になり、友人と会うのはいつもそこでした。当時はまだオールドマーチンやギブソンが相当数在庫されていました。行くたびに興味を持ったギターはすべて弾かせてもらいました。仲が良かった店員さんがK楽器本店のトップになっていたので、そのあたりはすごく得をしたと思います。(時と場合によっては、お店にご迷惑をおかけしてしたかもしれません。この場をお借りしてお詫び申し上げます。すみませんでした!)

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「D-45LE 1987」
 自分のD-35 1967、友人のD-28 1964、その他オールドのマーチン、ギブソンと弾けるものはすべて弾かせてもらい、ある程度ものの善し悪しが分かってきたと思い始めた頃のことです。(マーチンの歴史などもアメリカでは本が出版されていましたので、手に入れてよく読みました。)自分の中で「やっぱりハカランダのD-45が欲しい!」(もちろんプリウォーではなく1968~1969のもの)そんな思いがだんだんと膨らんできました。いかにオールドのマーチンがたくさんあったとは言え、さすがにハカランダのD-45は見つかりませんでした。あってもトップが割れていたりで、これというものはありませんでした。

 そんな中、東京のK楽器店で「今度マーチンでハカランダのD-45を造るらしいよ。」という話が飛び込んできました。マーチンがハカランダものを製造しなくなってかなりの時間がたっていましたから、自分にとっては待ちに待ったビッグニュースでした。詳しく聞くと「限定モデルで全世界に50本、日本には4本しか入荷してこない。」とのことでした。「もし買う気があるなら4本入荷した時点で連絡してあげるから、一番気に入ったのを選ばせてあげるよ。」という嬉しい言葉ももらいました。ハカランダのD-45が新品で買える!これはもう買うしかない!
 それが1987年に造られたマーチンで初めてのギター・オブ・ザ・マンスのD-45LEでした。選ばせてもらって一番音が良かったもの(たまたま一番木目が柾目に近いものでした。)を購入しましたが、68~69年のハカランダとは似ても似つかない(グレードの低い)ハカランダでした。音はそこそこというところだったでしょうか。特別すごいというような印象はありませんでした。でもまぁ日本で4本しかないという中で、これが一番いいD-45LEなんだろうなという満足感は持てました。

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残念ながら、自分のD-45LEの写真は見つかりませんでした。投稿させていただいた写真はネットからの引用です。

 D―45の余談ですが、昔の音楽雑誌で1968~1969年のものが出ていたのを覚えています。価格は90万円でした。新品のD-45の定価が80万円ぐらいの頃だったと思います。まだヴィンテージに興味がなかった頃の話なので、まったく気になりませんでした。今ならケタ一つ増えています!とてもじゃないが買えません。
 D-45の余談をもう一つ。これも35年ぐらい前の話ですが、とあるアコギのブローカーから「プリウォーのD-45を買いませんか?」と言われたことがあります。アメリカの有名なミュージシャンお所有していたもので、価格は400万とのことでした。今の400万円でもなかなかだと思いますが、何せ35年前ですから・・・。帰るだけの財力も勇気もありませんでしたが、ちょっとだけ「何とかならへんかな?」と思ったことはあります。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。
 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なく聞いてみてください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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