「コンバージョンに関わるお話」
「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。
「コンバージョンに関わるお話」
少し前の記事からお伝えしていたコンバージョン。興味をお持ちの方がおられまして、いろいろ質問をお受けしていました。ご本人の同意をいただいて、その内容をいくつかご紹介していこうというのが今回の内容です。
まずは私が過去に所有していたコンバージョンについて、それぞれどのようなものだったか?という質問の回答から。
1本目は1960年製のD-28をコンバートしたもの。後で知ったのですが、兵庫県の姫路市にあるギターショップ パル・コーポレーションでコンバートされたものとのことです。(どなたの作業かは不明。)
作業(工作精度)はそこそこ良い感じだったという印象です。かなり前のコンバートのようで、アバロンも昔ながらのソリッドのアバロンが使われていました。が、トップも元々の28のままのようで、サウンドも28のままでした。外観だけ、28から45にしたという感じのコンバージョンでした。これは別のギターを購入する際に、下取りに出しました。
このコンバージョンについては、さらに追加の質問が来ました。
「この場合は、単に45の見た目が欲しかったいうことなのでしょうか?」
この回答が→ おそらくそうだろうと思います。視点を変えれば、D-45の外観で、ヴィンテージのD-28のサウンドを持つギターということになります。あまりないパターンのギターかもしれません。
「音も28に近いということで、ブレイシングやネック周りなどはD-28の流用だったのですかね?」
→ これもおそらく、ですが、ネックやトップもそのまま元のパーツを使っていたのだろうと思います。
2本目は1947年製のD-28をコンバートした45です。これは塩﨑さんの作品で、これぞ柾目というハカランダでした。ほとんどこのハカランダの木目に惹かれて購入したようなものです。トップはアディロンダックで木目も細かく、非常にグレードの高い材という印象です。このギターは音も良かったので(塩﨑さん自身が「あの45、良いでしょう?。」とおっしゃっていたぐらいです。)、古くから付き合いのあるギタ友から「譲ってほしい!」とお願いされ、2年ほど前に譲りました。
この2本については、以前noteで書かせてもらっています。
このコンバージョンについては、以下のような質問が来ました。
いつ頃作製されたのでしょうか。
トップは新しくなっている様ですし、見た目・装飾だけでなくブレイシングなどの構造もオリジナルのD-45に近づけてあるのでしょうか?
更に、こちらは逆にネックや指板も新しいものに交換してあったのでしょうか?
私は戦前のD-45を弾いたことはないので、このコンバージョンで見事に再現されていたのかは分からないのですが、印象では如何でしたか?
→ 塩﨑さんの作品(1947年のD-28からのコンバート)は、ハカの木目が気に入ってホールド→ショップへ試奏しに行って音を確認して購入という流れでした。このギターは戦前のD-45を忠実に再現されたものということです。いつ頃製作されたのかという確認はとっていません。ほとんど使用感の無い状態でしたので、それほど時間は経っていないという印象です、サウンドはD-28とは全く違う質のものでしたが、戦前のD-45そのものか?と言われるとそうとも言えません。(戦前のものと、ほぼ新品のギターとは比較のしようがないと思っています。)が、十分価値のある音だという確信はありました。それが購入に踏み切った理由です。このギターを購入する数年前に、加藤和彦さんが所有されていたコンバージョンのD-45(1962年のD-28をD-45にコンバートしたもの)をホールドしたことがありますが、この時は購入に至りませんでした。音は、あとで購入した塩﨑さんのD-45の方が良かったです。(自分はそう思いました。)
先の2本とは別に、コンバージョンを2本所有しています。それらについても詳細を知りたいとのことでしたので、それぞれお答えしました。
どちらも神戸のギターショップ ヒロ・コーポレーションで製作されたものです。(D-28とD-45、いずれもプリウォーのレプリカ)今の職人さんではなく、 第一世代のFieldsを製作されていた職人さんがメインで製作されたコンバージョンです。ボディは先代の職人さんが、塗装前の状態まで組み上げておられたものです。そのまま10年ぐらい寝かされていました。 (かなりひどい怪我をされたらしく、継続して製作することができなくなったとのこと)それを今の職人さんが仕上げ、 14年ほど前に販売されました。
まずはD-28から
このD-28は1964年製のものを、戦前のものにコンバート。トップはジャーマンスプルース。製作された時点で数十年 シーズニングされた材と聞いています。ジャーマンは一般的には黄色味がかった白いものが多いですが、このトップは 最初からかなり焼けていました。ぱっと見ジャーマンには見えないです。Fieldsの仕様で、ネックにはアジャスタブルロッドが入っています。
当時ヒロ・コーポレーションで製作されたコンバージョンは、D-45とOO-45とOOO-45がそれぞれ2〜3本、D-28が 1本でした。完成前からD-28を予約していたので、自分が買うことは決まっていました。ヒロのオーナーから 「マーチンのD-28に拘らないのであれば、仕様はFieldsでも構わないか?」という打診があり、「音が良ければ、仕様は どうでもいいです。」と返答。出来上がったのがこれです。ボディは戦前のD-28ですが、ネックにはアジャスタブルロッドが 入っており、ヘッドのロゴもFieldsです。
これは1957年製のD-28を、戦前のD-45にコンバートしたもので、確認は取っていませんがネックの形状から (1939年以前の幅広のネックです。)フォワードシフテッドのモデルと思われます。
トップはD-28と同様に、製作された時点で数十年シーズニングされたジャーマンスプルースです。よく焼けて、 ぱっと見シトカに見える色合いになっています。バインディングもほとんどが木製で、当時の職人さん (第一世代のFieldsを製作されていた方)が自分で造られたものらしいです。余談ですが、先に説明させていただいた D-28のコンバージョン、そのブリッジピンはセイウチの牙から造られたとのことでした。)この方のリペアやセットアップ、 木工技術は間違いなく世界一だと思っています。
こちらはマーチンのコンバージョンとして販売されたので、古いマーチンと同様の仕様です。ネックもアジャスタブルロッド がないものです。
拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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