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アコギ回顧録 Vol.36 「2本目のSomogyi」と「3本目のSomogyi」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。


「2本目のSomogyi」
 初めてSomogyiを手に入れてからさほど時間が経たないうちに、2本目をゲットすることになります。これがなんと1本目と続きのシリアル番号で(1本目が133で2本目が134)、モディファイドDのノンカッタウェイでした。材質は1本目とまったく同じでトップがヨーロピアンスプルース、サイド・バックがブラジリアンローズウッド。これもまたちょっと弾いただけで違いがわかるほどよく鳴っていました。1本目よりもより乾いた感じの音でパワーもありました。トップはよく似ていましたが、サイド・バックの木目はぜんぜん違うものでした。

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 余談ですが、このギターのリペアに関するお話を一つ。
 このギターはネックが極端に薄く(たぶん自分がそれまでに手に入れたギターの中で、最も薄いネックでした。その後も相当数のギターを買いましたが、ネックの薄さはこのギターがNo.1でした。)、しばらく使っていたら、かなりの順反りになってしまいました。
さすがに「この状態のまま使うのは、ちょっと厳しいな。」というというところまで来たので、購入したヒロ・コーポレーションに相談に行きました。そこで言われたのが「Somogyiはネックのリセットができない。」と言うことでした。アイロン(ギターのネック矯正用のやつです。)で熱をかけてやるという方法には疑問を持っていたし、ヒロでもそのやり方は良くないと言っていたので、「ええっ、それじゃあ直す方法ってあるんですか?!」と尋ねたら「フレットを打ち直して矯正する。」とのことでした。フレットの下の部分(指板に打ち込む部分)にくさびの役割りをさせて、少しずつ微調整をしていくとのことでした。自分の中では「ええ、そんなことができるん!ホンマかいな?!」という気持ちでした。

 その結果が出るまでに、それほど時間はかかりませんでした。たぶん1~2カ月ぐらいだったと思います。リペアが終わったとの連絡をもらい、受け取りに行きました。そして・・・、感動でした!非の打ち所がないぐらいきれいにネックが矯正されていました。完璧でした。自分のリペア依頼歴の中で、一番感動した瞬間でした。当時のヒロの職人さん、ホンマにすごかったです。

 本題に戻ります。
 この頃、当時ユニットを組んでいた相棒もSomogyi スーパージャンボのカッタウェイ、トップがヨーロピアンスプルース、サイド・バックがメイプルのモデルをゲット。今から思えば贅沢な話ですが、この相方がSomogyiを購入したときには全部で6本のSomogyiが店にありました。これを引き比べて一番気に入ったギターを選べるのですから最高です。まだ世間では一部のマニアにしか知られていませんでしたし、そんなに簡単に売れていくというような状況ではありませんでした。

 「3本目のSomogyi」
 相方がSomogyiを購入した後、6本あったものが1本また1本と売れていき最後に1本だけ中古のSomogyi(モデェファイド D カッタウェイ、ジャーマンスプルーストップ、ハカランダサイドバック)が残っていました。1986年製で、気にはなっていましたが(火事で工房が焼ける前のもので、自分のSomogyiとは違うサウンドを持っていました。)、すでに2本持っていましたからそう簡単に「よし、買おう!」という訳にはいきませんでした。

 しかし、しかし・・・、やはり気になる。買える(支払う)あてなどまったくないまま、ある日とうとう「弾かせてもらえますか?」と言ってしまいました。そして試奏・・・、結果は予想通り“お買い上げーっ”ということになってしまいます。このときは頭金なしの全額ローンで頑張りました。しかしそれ以上にこのギターは素晴らしいサウンドを持っていました。その時まで自分の頭の中にある最高のギターサウンドは、マーチンのプリウォー1930年代のOOO-45かOO-45でした。このあたりのギターは、えもいわれぬナチュラルなリバーブトーン(たぶんこれがベルリング、ベルトーンと呼ばれる鳴り方だと思っています。)を持っていました。この1986年製のSomogyiを手に入れるまでは、このあたりのマーチンに勝るものはないだろうと思っていました。しかしこのとき初めて1930年代のOOO-45かOO-45にも負けないようなサウンドを持ったギターが他にも存在することをはっきりと認識しました。

 このSomogyi、現在は自分の手元を離れ、PETAというシンガーソングライターの愛器となっています。彼の3枚目のCD(Powder Snow)で存分にそのサウンドが楽しんでいただけます。(エンジニアが大変苦労したようですが、エフェクターやコンプレッサーを使わず生音のまま録音されています。)

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このSomogyiは、1999年製のMDです。スペックは
European spruce Top,East Indian rosewood back and sides
今現在所有している唯一のSomogyiです。

 過去に所有したSomogyiが10本。弾いた総数は50~60本。その中でも特に印象深い個体です。ギタ友が所有していたのですが、音を聴いた瞬間「凄い!」と思いました。その場で「もし万が一、手放すような気になったら絶対俺に声をかけてや!」と言っていました。もちろんその友人が手放すとは思っていなかったので、時が過ぎるにつれ、そのことを忘れてしまっていました。
 そして何年も経ったある日、突然その友人から電話があり「あのSomogyi、売ってもええよ。」とのこと。「買う!」即答でした。そこからまたしばらく借金生活が続きましたが、ぜんぜん苦になりませんでした。

 自分にとって"最後の"Somogyiです。ハカランダではありませんが、
こいつ、鳴りますよ。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。
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