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アコギ回顧録 Vol.47 「フォークの原点」「コード3つから5つで」「ピックの話」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

「フォークの原点」
 最近若い人だけではなく中高年の方でもギターを始めることが多いという話をよく聞きます。自分がギターを始めた頃と今では時代が違うのでそれが正しいかどうかはわかりませんが、自分の経験ではフォークギターはそれほど難しいものではないということです。ギターを弾く人がどこまでやりたいのか?求めるレベルの差にもよりますが、昔ならコードを五つ六つ覚えれば相当数の曲を弾くことができました。 

 プロのコンサートを見に行って、「あれぐらいやったら俺にもできるんとちゃうやろか?」そう思った人はかなりいたのではないかと思います。クラシックのような堅苦しさはなく、楽譜が読めなくても問題なく、ヒット曲もすぐに弾けてしまう、そんな時代でした。ギター教室もないしCDやDVDやタブ譜もありませんでした。ひたすら友達とワイワイガヤガヤしながら、ああでもない、こうでもないと工夫しながら練習して少しずつうまくなっていったように思います。

 あらためて「簡単で楽しい!」これこそがフォークの原点やなと思い直しました。
 
 ついでに書かせていただきますと、今までずっと我流でアコースティックギターを続けてきました。ちゃんとギターを習いに行ったことはありません。ですので、楽譜も読めませんし、音楽理論もほとんどわかりません。リズムもかなりええ加減だと思います。それでもずっと楽しくギターを弾いてきました。自分の環境もあったのだと思いますが、ギターを始めて半年ぐらいで人前で歌うようになりました。(高校の軽音楽部でしたので、絶対唄わないといけない状況でした。)20歳ぐらいの頃には、2000人ぐらいの観客の前で歌ったこともあります。若かったので、ちょっと調子に乗っていたのだと思います。「今さらギターを習うなんて、アホらしくて・・・。」みたいな気持ちがあったのは事実です。社会人になってからは仕事もめちゃくちゃ忙しかったので、余計に習いに行こうというような気持ちにはなれませんでした。
 ギターを習いに行っていれば、また違うアコギ人生を歩んでいたかもしれません。ちゃんとギターを習えば、プラスになることはあってもマイナスになることはないと思います。
 
 当時アコギ好きの方向けに“新譜ジャーナル”や“Guts”など、フォーク界のことやギターのこと、ヒット曲のコード譜などが載っていた雑誌が全盛期でした。(フォークのがおどブックと言っても良いぐらいの存在でした。)出るたびに買い、読み漁り、ギターを練習したものです。ちょっとネットで検索したら、メルカリやヤフオクでいっぱい出てきました。めっちゃ懐かしかったです!

新譜ジャーナルとGuts
写真はネットから引用させていただきました。

「コード3つから5つで」
 思えば初めて練習した曲は、森山良子さんの「今日の日はさようなら」でした。出てくるコードは五つ、初めて練習する曲としてはかなり高度な部類だったと思います。前にも書きましたが、3拍子の曲なのに無理やり4拍子でギターを弾いて歌っていました。それでも誰にもそのことを指摘されることもなく、ただただ楽しくギターを弾いていたものでした。
 ちなみに「友よ」(岡林 信康)は3コードでしたし「花はどこへ行った」は4つ、「500マイル」は5つでした。「朝の雨」(Early morning rain)もコードは4つです。初心者の方でもちょっと頑張れば1ヶ月くらいでそこそこ弾けるようになるのじゃないでしょうか? 
 
 めったにないのですが、たまに初心者の方にギターを教えることがあります。その際に、いつも最初の曲として勧めているのが「この木何の木」(正式なタイトルは“日立の樹”らしいです。)というCMソングです。たぶん誰でも一度や二度は聴いたことがあると思います。サビの部分は除いて、
 
この木なんの木 気になる木
名前も知らない 木ですから
名前も知らない木になるでしょう

この木なんの木 気になる木
見たこともない 木ですから
見たこともない花が咲くでしょう
 
という部分だけですが、コードは3つしか使いません。リズムも単純なものでよく、一週間もあれば弾けるようになると思います。

 昔と違って今は教則DVDやYou tubeなど、教材になるものがたくさんあるので逆に難しいものから入ってしまう人も多いかもしれません。楽しい!と思いながら続けるのが、一番上達する近道だと思います。

たぶん1997年ごろ。東京は荻窪のルースターだったと思います。
自分のギターはMartin D-35 1967年、相棒のギターはSomogyi SJ-Maple


「ピックの話」
 高校時代、ちょっと柔らかめのピックはすぐに折っていました。若気のいたりというやつでしょう。ギターを弾くという感じではなく、叩いているという言い方の方がピッタリくるような弾き方でした。(もちろん弦も切りまくりでした。)
 当時YAMAHAのビックを使っていました。確か一枚50円だったと記憶しています。あまりにもビックを降りまくるので、下敷きを切って自作のビックを作ることにしました。文房具屋さんで良さそうな下敷きを選び(かなり時間をかけて吟味?していました)、一枚の下敷きから数十枚ぐらい作っていたと思います。良い材料に出会った時は、嬉々としていた覚えがあります。この頃、ピックは常に70〜80枚ストックしていました。
 
 社会人になってからは下敷きビックからは卒業、フェンダーのトライアングルがメインになりました。他にも色々試しましたが、それほど大きな差はなかったように思います。なので、あまりビックにはこだわらないようになりました。自分の中での変化を強いて言うなら、だんだん硬めのビックに変わっていったことぐらいですね。

当時のフェンダーのピック。右側は下の部分が割れています。


 何年ぐらい前だったか忘れましたが、本べっ甲のビックをネットで見つけて買ってみることにしました。
 本べっ甲のピックは、初めてMartinのギターを買ったときにお店から10枚ぐらいもらったことがあるのですが、当時の自分には硬すぎて使うことはありませんでした。いつのまにか手元から消えてしまいましたが、どうしたのか全く記憶がありません。当時の値段は一枚100円でした。
 話を戻します。ネットで見つけた本べっ甲のビックを試しに注文し、使ってみたらメッチャ良かったんです!アタックした時の弦に当たる感触(擦れ具合と言った方がわかりやすいでしょうか)、出でくる音も今までの中でベストでした。それ以来本べっ甲のピックがずっとメインになっています。最近はかなり高級なビックもたくさんできているようですが、弾いている時のフィーリング、サウンドとも本べっ甲のピックより良いものはないと思います。
 近年ワシントン条約の影響で本べっ甲そのものが希少となり、価格が上がり続けています。Lサイズのものですと1枚1,500円以上するようです。分厚いものでは一枚数千円というものもあるようです。おいそれと手が出る値段ではないかもしれませんが、十分価値はあると思っています。出来るだけ多くの方々に使ってほしいと思います。

使用中のべっ甲ピック
ストックその①
ストックその②

 ピックはギターサウンドを変えることができる、大きなファクターの一つです。使い方によっては、弦のメーカーを変えること以上に大きな変化を生みます。色々試して、自分の好きなサウンドを見つけるのも楽しいと思います。本べっ甲のピック、おススメです!

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。



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