アコギ回顧録 Vol.20 「70年代のギターも捨てたもんじゃない!」「ギャラガー G-70」
ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでも楽しんでいただけること、お役に立つことができれば幸いです。
「70年代のギターも捨てたもんじゃない!」
1975年製のD-28、ホンマにいい音だと思っていました。マーチンD-41、ギルドD-55と同じぐらい気に入っていましたが、ギターが増えてきたこともあり親しい友人が欲しいと言ってきたのでその友人に譲りました。
その1975年製のD-28を譲った友人がほとんど弾いていないということを聞き、7~8年前に買い戻しました。やっぱりいいギターです。現在1975年製のD-45も持っていますが、音はこのD-28の方が良いのでは?と思っています。(もちろん好みもあるので、良い・悪いではなく自分の好きな音がするということなのでしょう。)
D-28もそうですが、D-41、もギルドも70年代のものとしてはかなり良く鳴っていたのだと思います。そのせいだと思いますが、オールド(最近はヴィンテージという言い方が一般的ですが、以前はオールドという言い方が普通でした)に興味を持つのがすごく遅くなってしまったような気がします。オールドのことについても少しは情報があって興味がなくもなかったのですが、本気で探したり弾いたりすることはありませんでした。自分がオールドの世界に入って行くのはまだまだ先の話です。
オールドの音もある程度わかってきたと思えるここ最近、70年代のギターを弾いてみたら思ったよりも枯れてきている感があってかなり見直しています。そりゃそうですよね、もう50年ぐらい経っているんですから。
「ギャラガー G-70」
ヤマハのカスタムの音に満足できなかったため、次の目標を探していました。当時“戦争を知らない子供たち”を大ヒットさせた後に解散したジローズというグループ(フォークデュオ)がありました。このジローズのリーダーであった杉田二郎さんが見たことのないギターを弾いていて、それがギャラガーというメーカーのギターであるということを知り、ものすごく興味を持ちました。今思えばたいした情報はなかったのですが、とにかくいいギターらしいという情報だけは集まりました。(ギャラガーはドク・ワトソンが使っていて有名になりました。当時はG-50というモデルを弾いていたようですが、現在はドク・ワトソンのシグネチャーモデルがあります。)
その頃、大阪のある楽器屋さんにこのギャラガーのギターが3本ありました。そのお店には当時からマーチンのオールドが置いてあり、ときどき京都から見に行っていました。ショーウィンドー越しにギャラガーを見つめる日々がしばらく続きましたが、とうとうある日決心して(買う気で)、弾かせてくださいと言いました。しかし当時の値段で470,000円(37~38年前)、半端な金額ではありませんでした。とりあえず一度弾かせてもらい、ホールドして「もう一度自分のギターを持ってきて弾き較べ、それから決めます。」と言ってその日は帰りました。そして次の週、マーチンのD-41を持って再度そのお店に向いました。
試奏室にギャラガーを3本集めてもらい、いよいよ弾き比べを始めました。その3本は同じモデルではなくグレードの違うものでした。ここで驚いたのは鳴っているものと鳴っていないものの差がものすごく大きかったことでした。チューニングをしてコードをジャラーンと弾いたとたん、「あれっ、何やこれ?ぜんぜん鳴ってないやん。」というのもあれば、ジャラーンと音を出した瞬間、「ええやん、これっ!」というのもありました。その時点でもう対象と鳴るギターは1本だけになっていたので、あとはマーチンのD-41と較べるだけでした。
そこから数時間、持ち変えては弾き、持ち替えては弾き、をくりかえしました。そして結論は、「やっぱりこのギターええ!買おう。」でした。当時としては高い買い物でしたが、いいギターだったので後悔はまったくありませんでした。
このギャラガー G-70も今は手元にありませんが、今でもいいギターだったと言えます。70年代のギターとしてはトップクラスのサウンドを持っていました。(ちなみにトップはシトカスプルース、サイドとバックはインディアンローズウッドでした。)
後年日本のある楽器メーカーがギャラガーのコピーモデルを製作し販売されていましたが、これによってギャラガーのイメージがものすごく落ちたように思えて悔しい思いをした覚えがあります。
写真を探しまくって、やっと見つけました。
右側がGallagher G-70。シリアルナンバーは500番代前半でした。たぶん70年代の初めごろの製作だと思います。左側に映っているのはユニットを組んでいた相方のギター、Larriveeの初期のモデルLー28です。
Gallagher G-70を弾いているところ、たぶん35年ぐらい前。
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