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アコギ回顧録 Vol.19 「ヤマハL-54カスタム」「あれっ?」「教訓」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでも楽しんでいただけること、お役に立つことができれば幸いです。

「ヤマハL-54カスタム」
 という訳でめでたくヤマハのカスタムをオーダーいたしました。(ここからはちょっとコアな話なのでマニアの方にしかわからないかもしれませんが)オーダーしたのはL-54をベースにD-45と同じようにサイドにも貝のインレイを入れる。ベースモデルとは違って全てアバロンで入れてもらう。サウンドホールのロゼットは2重にする。音はできるだけ固めにする。etc. (ギブソンのDOVEの音が好きだったので、同じ仕様(サイド・バックがメイプル)であるこのギターを選びました。

YAMAHA L-54 オリジナル

YAMAHA L-54 オリジナル①

YAMAHA L-54 オリジナル②

この3枚の写真はネットから引用させてもらいました。

 当時ヤマハのカスタムの責任者だった方(テリー中本さん。業界では有名な方です。)と何度か電話でやり取りをして待つこと8ヶ月、ついに入荷したとの連絡がきました!

 ついに出来上がったヤマハのカスタム。ケースを開けた瞬間は感動ものでした。見た目はマーチンD-45よりもはるかにゴージャスな仕様で、今まで自分が見た中で一番派手で豪華なギターでした。
自分のLー54はこれです。(現在は所有しておりません)
購入したのは昭和53年3月7日、価格は350,000円でした。

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「あれっ?」
 しかし、家に持って帰りチューニングをして弾き始めた瞬間、「あれ、思っていた音と違うぞ。」これが正直なカスタムの第一印象でした。
 外見は全て自分の思いどおりに出来上がってきたのに、音は予想をかなり下回っていました。それでも「まだ新品や、これから弾き込んで行ったら鳴ってくるだろう。」そう自分を納得させて使い始めました。最終的に自分が満足できる音にはなりませんでしたが、初めて自分がオーダーしたカスタムギターだったので(ステージ映えはしました)、ライブなどにはよく使いました。ピッチや仕上げは、マーチンなどの輸入ギターよりもヤマハの方が良いと感じていましたが・・・。鳴りという点では、すでに使っていたマーチンD-41、ギルドD-55、マーチンD-28の方がよく鳴っていました。何年間も弾き較べましたが、その差は埋まりませんでした。ヤマハファンの方には申し訳ありませんが、カスタムが全て鳴るギターではないということです。

「教訓」
 ギターはやはり弾いて音を確かめてから買うべきです。いかにカスタムオーダーといえども、必ず自分の思いどおりの音が出てくれるという保証はありません。ギターを弾く全ての人にあてはまることだと思いますが、ギターサウンドの基準と言うものが一人一人違うからです。音のイメージをいくら言葉で表現しても、それぞれが自分の中で(自分の基準で)勝手に感じ、判断します。本当に音の基準を一致させるなら、相当長い時間をかけて(少なくとも数年もしくはそれ以上)コミュニケーションをとることが必要だと思います。ちょっとマニアックな話になってしまいました。この話をし出すと長くなるので、これぐらいでやめときます。

 このことがあって以降、現在に至るまでカスタムオーダーをしたことは一度もありません。ギターを買う時は、必ず「弾いてみて出てきた音で判断する」ことが鉄則です。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。
 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なく聞いてみてください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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