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アコギ回顧録 Vol.27 「MARTIN D-45 1969」「D-45 1969とD-41 1969」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。


「MARTIN D-45 1969」
 探していた1968~1969年のD-45が入荷したとの連絡が来ました。初めてその店(HIRO CORPORATION)に足を踏み入れて話をしてから、約1年が過ぎていました。とにかく見に行こう!という訳で、次の休みには神戸に向かっていました。

 ケースが開けられ、ついにそのギターが目の前に・・・。それは1969年前期のD-45でした。今まで見た中で文句なしに最高と言ってもよいほど素晴らしいコンディションで、あえていうならEX+++か、EXFぐらいでしょう。ただコンディションが良いというだけではなく、完璧にセットアップされていましたので弾きやすさは言うまでもなくピッチもバッチリでした。

 そしてその音は・・・、Dタイプでは今まで聞いたことのない美しい高音の響きをもっていました。ハカランダとジャーマンスプルースの組み合わせからうまれる独特のサウンド、まさに「これが45の音なんだ。」と思わせてくれるギターでした。

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D-45、もっとたくさん写真を撮ったはずなんですが・・・。これだけしか見つかりませんでした。


「D-45 1969とD-41 1969」
 今まで見た(弾いた)中で最高の1968~1969年のD-45。普通なら1も2もなく即決するところだと思いますが、そうではありませんでした。その店にはなんと1969年のD-41(サイド・バックがハカランダのもの)が3本もあったのです。

 初めて買ったマーチンがD-41だったこともあり、41にはものすごく愛着がありました。ましてや1969年のハカランダの41は世界中にわずか31本!(1969年のD-41の製作本数は49本。サイド・バックがイーストインディアンローズウッドの41が18本あるということです。)プリウォーのD-45でさえ91本製作されていたので、それよりはるかにレアだったからよけいです。
 3本のうち2本はミントコンディション、残る1本はエクセレントでした。とりあえず弾かせてもらいましたが、この3本もまたメチャクチャいい音でした。何時間も交互に弾き較べましたが答えが出せません。値段もほとんど同じだったのでよけい迷いました。1969年のD-45と1969年のD-41が3本!今から思えば、なんと贅沢な時間だったのでしょう。あらためて、良い時代やったなと思います。

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 何時間ぐらい弾いていたのか覚えていませんが、かなりの時間(オーナーが嫌がるほど)弾いていたのは確かです。それでも決断できないでいる自分に業を煮やしたのか、ついにオーナーがひとこと。「どうしても決められないのだったら、とりあえずD-45にしておいたら?その方が後で買い替える時には有利やで。」つまりリセールバリューはD-45の方が高いから,将来買い替えるような場合はD―45の方が損をしないということでした。

 この一言で決心し、D-45を購入することにしました。ついに憧れ続けたD-45 1969が自分のものになったのです。
このギターを手に入れて初めて、ベルトーン(プリウォーマーチンのサウンドを表現するときに、よく用いられた言葉です。日本語では“鈴を転がすような音”と表現されていました。)という音の響きを感じました。それほど高音の鳴りは、きらびやかなものでした。それだけではなく、低音も程よく締まっており抜群のバランスを持っていました。その後何本かの1968年から969年のD-45を弾く機会がありましたが、間違いなくこのD-45がベストでした。

 余談ですが、後年同じショップで1974年製のD-45(トップがジャーマンスプルースのもの)をHOLDしたことがあります。かなりの時間弾かせてもらったのですが、どうしても1969年のD-45と比べると物足りなく感じて買うのをやめました。そのD-45は自分がキャンセルしてすぐ、超一流のギタリストが買って行かれたそうです。

 憧れだったマーチンD-45 1969が自分のものとなり,これがアコギの最終地点になると思っていました。しかしそれはゴールというものではなく,あらたなスタート地点に過ぎませんでした。

参考に(かなりオタク度の高い内容です。)
Style 45 Flat top.
Collectibility Rating: Pre-WWII OOO-45 and D-45: A++, OO-45: A+, O-45: B+, 1968-1969 D-45: B+.
Style 41 flat top.
Collectibility Rating: Brazilian rosewood D-41 size: B+. Indian rosewood D-41 size: D-.
1968-1969 D-45とBrazilian rosewood D-41のコレクションとしての格付けは同じランク(B+)です。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。
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宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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