水イボ – とるとらない論争 - 私は早期にとるべき派
こんにちは。連日雨の日が続いていますが、そろそろこども達もプール開きが始まる時期になってきたかと思います。今回はこの時期に話題になることが多い「水イボ」について記事にしていきます。
□ 水イボとは
伝染性軟属腫ウイルスによって伝染する皮膚感染症です。皮膚がまだ薄く、皮膚のバリア機能が未熟な7歳以下のこどもがかかることが多いです。見た目は水っぽいのですが、中にはモルスクム小体という皮下組織の変性したもとウイルスが混じった白い塊があります。水イボ自体は、体に悪さをすることはなく、健康なこどもでは半年~3年ほどで自然治癒すると言われていますが、種々問題があり、「とる」、「とらない」論争があり、専門家でも意見がわかれてしまっているのが現状です。
□ 種々の問題点
① プールで伝染
水イボのあるこどもはプールを控えてください。などと言われることが多いかと思います。間違ってはいけないこととして、水イボはプールの水を介しては他のこどもには伝染しません。あくまでも接触による感染で、タオルや浮き輪、ビート版などを介してうつります。しかし現実問題として、保育園・幼稚園のこどもたちにひっついてはダメ、同じ浮き輪を使ってはダメなどといくら言ったところで実現できるものではありません。どうしてもプールで遊ぶという行為自体で水イボはうつってしまうのが現実です。
② アトピーや皮脂欠乏症(ドライスキン)のこどもたち
もともと皮膚のバリア機能が弱く、水イボ自体にかかりやすいです。皮膚が痒くてかきむしってしまうとさらに皮膚のバリアがはずれ水イボにとって好都合な環境ができあがってしまい、水イボは増えてしまいます。またアトピーの治療にはステロイド軟膏を使用することが多く、皮膚の免疫力が落ちると次々に水イボが増えてしまいます。
③ 美容面の問題
幼稚園児くらいになると自分と回りの子を比較することができるようになります。このころのこどもはいい意味でも悪い意味でも純粋・正直で、人の見た目のことをダイレクトに指摘してしまい、本人にその気がなくても人を傷つけてしまうようなこともあります。あまりに多くの水イボが全身にある子どもは見た目の問題を指摘され、心を傷つけられてしまう可能性もあります。
□ 治療
ひと昔前は水イボをとるといえば、泣こうが暴れようが、こどもをおさえ付けて無理矢理むしり取っていましたが、今はそんなことはしません。痛み止めのクリームやテープをしっかり使ってあげ、また処置中もディストラクション(気晴らし)を行いながら水イボの切除をしていきます。一度にとれる個数はこどもの集中力的に10個程度が限界で、色気をだして一気にとってしまおうとするとこどもが嫌になって次回からの処置を行わせてくれません。全身にできてしまっている場合は上記を根気強く繰り返していく必要があります。
□ とる vs. とらない
水イボは数年たてば自然に治ってしまう感染症とはいえ、プールに気持ちよく入って遊ぶ、見た目の問題も気にしなくてよくなる、治療も今はほとんど痛みなくできることを考えると、極力水イボの数が少ないうちにとってしまうことを私はおすすめします。特にアトピーや皮脂欠乏のこどもは、いったん水イボができてしまうとベースの治療のコントロールが難しくなってしまうので早期に水イボの切除は行うべきだと思います。
結論、「水イボは数が少ないうちにサッサととってしまいましょう!」
水イボ自体は病気でもなんでもないのですが、種々問題はあります。当院では極力こどもに負担をかけない方法で切除を行いますので、気になる方はお声がけをしていただければと思います。
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