執筆中の中国本、その仮タイトルを変更してみる[中国の高度成長を旅する#番外編2]

【覚書】類書のない本は売れる。高野さんの「ソマリランド」がそうだ。
私の出世作『僕の見た「大日本帝国」~教わらなかった歴史と出会う旅』はそこまでではないにせよ、それに類する本なのだろう。しかもそれを読者にちゃんと伝わるタイトル+サブタイトルで出せたということが何より大きい。

①かつて日本領だったエリア+αをほぼすべて回った。
②イノセントな団塊ジュニア世代が回った旅行記。
③上記のコンセプトが最大限伝わるタイトル+サブタイトル。

その三要素が揃ったからこそ売れた。

「大日本帝国」も、樺太とか満州とかの個々の地域の旅行記はいくらでもあったのだ。「すべて回った」という本はぐっと少なくなるが、大江志乃夫・著「日本植民地探訪」という類書がある。どこにもない類書がない本というイメージづけに成功したのは、「イノセントな団塊ジュニア」という要素があり、それをタイトル+サブタイトルできっちり提示できたからこそだ。

その後出した「誰も国境を知らない」は売れなかった。①の特徴という意味では山本皓一さんの「日本人が行けない「日本領土」 が半年ほど先に出てしまった。②の斬新さはない。③タイトルもこれでは伝わらない。[もう一つ、大きな要素として、版元が当時、傾いてて、重版する体力がなくなってたというのも大きかったが……]

今、書いている「中国はユートピアになったか」(仮)はどうだろう。
・頑張ってかなり回ったが、回りきるには領土が広すぎる。
・イノセントな団塊ジュニアもすでにアラフィフ。
・中国をテーマにした本という意味では類書はいくらでもある。
とイマイチなのだ。

だがこれも、類書がないようにイメージづけられれば、だいぶ状況が違ってくるのではないか。そうなるにはどうしたらいいか。

それはストレートに、中国の高度成長ビフォーアフターを確認するべく、中国各地に足を伸ばした、ということに尽きるのでは。部分的に試みている人はたくさんいる。しかし、中国全土に近い形の大旅行をして、ビフォーアフターを確認したというコンセプトの本は寡聞にして聞いたことがない。

今のタイトル「中国はユートピアになったか」はそのコンセプトが伝わりにくい。というか意味不明なので敬遠されているようだ。noteのアクセス数が全然上がらないことからそのことを確信した。というわけで、アクセス数が上がるよう、タイトルをかえてみる。

「中国はユートピアになったか」
  ↓
「中国の高度成長を旅する」

これである程度、コンセプトは伝わるのではないか。「旅する」と書くことで、少なくとも日経新聞のレポートとの違いは打ち出せる。さらに網羅感を出すことでオンリーワンなイメージを打ち出せるのではないか。
とすると、サブタイトルはこんな感じか。中国全省をすべて回ってはいなくても、すごく離れた地域を列挙することで網羅した感じが出る。

・沿岸都市から雲南、ウイグル自治区まで

二つをドッキングすると次のようになる。

「中国の高度成長を旅する~沿岸都市から雲南、ウイグル自治区まで」

即物的すぎる気がするし、高度成長する前と後を旅したという感じが伝わらない。しかしひとまずはこれで行くことにする。
※新疆ウイグル自治区は独立すべきという意見については同情しています。あえて中国というカテゴリーに入れるのは、その統治の功罪、なかでも罪の部分を説明したいがためです。

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