2024年4月3日午前 参考人質疑 衆議院法務委員会(民法改正案)
武部新議長
これより会議を開きます。内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は、本案審査のため、午前の参考人として慶應義塾大学名誉教授犬伏由子くん、ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子くん、一般社団法人りむすび代表しばはし聡子くん、および関西学院大学法学部教授山口亮子くん以上の4名の方々にご出席をいただいております。
なお、参考人のプライバシー保護の観点から、斉藤参考人の席には衝立を設置し、同参考人の発言の際は、ボイスチェンジャーの使用を許可することといたしておりますので、ご了承願います。また、報道関係者におかれては、当該参考人の撮影を禁止するとともに、追従取材はお金を行わないよう、あらかじめ要請いたしておりますので、これを遵守願います。
この際、参考人各位に委員会を代表して、一度ご挨拶を申し上げます。本日はご多忙中の中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のないご意見を賜れば幸いに存じます。次に、議事の順序について申し上げます。
まず、犬伏参考人、斉藤参考人しばし参考人山口参考人の順に、それぞれ15分程度ご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。なお、ご発言の際はその都度委員長の許可を許可を得て発言していただくようお願いいたします。
また、参考人から委員に対して質疑をすることができないこととなっておりますので、ご了承願います。
犬伏由子教授
おはようございます。
慶應義塾大学名誉教授の犬伏由子と申します。
現在、東京家庭裁判所の調停委員を務めております。本日は発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。
私は家族法を専門として、教育・研究に携わって参りましたが、今回の法案につきましては、前向きに受け止めております。また、法制審議会において、5項目にわたる付帯決議がなされた事につきましても、歓迎しております。なお、今回、何点かの資料を添付させて頂きましたが、資料1と致しましたのは、昨年11月20日に家族法研究者を中心とする呼びかけ人が、法務大臣宛に『離婚後の共同親権導入に伴う、法制度整備についての要望書』を提出し、今年1月までに呼びかけ人及び賛同者を合わせて、90名となっております。また、賛同者の中には、泉徳治・元、最高裁判事、武川恵子・元、男女共同参画局長、林陽子・元、女性差別撤廃条約委員会委員長など、幅広い方々が含まれております。
本日は、法制審での附帯決議、及び要望書にもある法制度整備や支援体制について、以下、3点にわたり発言させて頂きます。
まず、第1点、情報提供及び相談体制の必要性でございます。
今回の法改正は、広く私たちの家族全体に関わってきます。資料2の『離婚に関する統計』をご覧頂いても分かる通り、婚姻件数の減少と共に、離婚件数も減少傾向にはありますが、それでも婚姻の3組に1組が離婚しており、離婚は、少数の家庭にのみ起こる、特別な問題ではありません。
また、父母の離婚を経験する子供たちは、離婚件数自体が減少している、それから少子化でもある、という事で減少傾向にあるとは言え、2020年には161,900人の子どもたちが含まれており、この数字は毎年累積して参ります父母の離婚を経験する子どもが多数いるという中、子どもの利益に充分に配慮がなされるべきだと考えております。
なお、家事調停の現場では、同居中の夫婦は、当事者であるというケースも経験しております。資料3の『家事調停審判事件の統計』をご覧頂いてもお分かりになると思いますけれども、婚姻中の夫婦間の事件、例えば婚姻費用分担事件であるとか、面会交流事件など、一定数ございます。
別居前後の段階から、情報提供・相談体制の整備が重要となってきます。今回の法案には、別居中の夫婦間の意見対立の調整も含まれており、紛争予防の観点からは、早い段階で父母が葛藤を高めないようにする事が、子の利益にもつながると思っております。
家庭裁判所には、もう既に高葛藤になってしまってから、訪れるという人たちがいっぱいいて、私どもも、そこのところから始めなければいけないという苦労がございますので、やはり父母の高葛藤にならないようにするっていう事が重要と思っております。
そこで、具体的にはまず、今回の法改正の目的・趣旨について周知を図る事。特に、民法817条の2に、『親の責務の規定』が設けられ、親は子の人格を尊重し、子の養育及び扶養の義務がある事。父母は子の利益のため、お互いの人格を尊重し、協力しなければならない事が、謳われております。この事は、広く私たち一般の人々に理解される必要があると思います。
さらに、今回の法案の内容を踏まえますと、別居時、離婚時に、どのような事を決めておく必要があるかという事を、適切かつ正確な情報の提供を行うという事が必要になってきます。こうした事は、国レベルで実施するだけではなく、住民の生活に密接に関わる、基礎自治体が実施している取り組みを支援、強化するという形で応援して行くという事が大切です。
当事者が、利用しやすい形で。法的な相談だけではなく、心理相談なども含めた相談体制を整えるという事によって、当事者のエン・パワーメントにつなげて頂きたいというふうに思っているところでございます。
第2点目、協議離婚に関する、法制度整備です。離婚に関する統計を見て分かる通り、2022年では、離婚の87.6%が協議離婚となっております。圧倒的に多数の夫婦は、協議離婚を選択しております。
他方で、『令和3年・全国ひとり親世帯など調査』によりますと、離婚母子世帯について、協議離婚のケースでは、面会交流を現在も実施しているものが34.2%、父から養育費を現在も受給しているものが26.1%と、ほかの離婚のケースよりも低くなっております。
この点、例えば私共も、韓国に訪問調査に行く事がございますけれども、韓国では日本と同様に協議離婚という制度はありますが、協議離婚についても、家庭裁判所である家庭法院が管理し、子どもの教育に関する合意書の作成を支援し、家庭法院の確認が必要とされております。
今回の法案においては、協議離婚に関して公的関与の手続きについては、見送られましたが、今後の検討課題となると思います。当面は、協議離婚の際に、離婚後の子の養育に関する適切な情報提供を実施し、事項を促進する事。
例えば、離婚届の届出用紙に、最高裁や法務省などが提供している動画などのQRコードを掲載し、チェック欄を設けるというだけでも、そんなに予算もかからない事ですし、実現可能ではないかというふうに考えております。
第1点と重複しますけれども、戸籍を担当する市区町村など、地方自治体での取り組みを支援し、当事者間での合意形成を支援する。また、民間団体も、面会交流支援や養育費相談を実施しております。こうした民間団体を助成する事も重要で、紛争予防の観点からは、合意形成支援は非常に重要だと考えております。
こうした点につきまして、本日は詳しく述べる事が出来ませんので、『二宮論文』を参考資料4として提出しましたので、お時間がある時に是非ご参照頂きたいと思います。
第3点目でございますけれども、家庭裁判所の整備・充実と運用の改善でございます。今回の法案の内容からは、家庭裁判所の役割が増大する事が見込まれ、これに伴い、家庭裁判所の人的・物的整備充実が必要で、予算措置が講じられるべきと思います。
家庭裁判所が扱う事件は、実に多様でございます。いわゆる家事事件だけではなく、児童福祉法上の児童虐待事件、少年事件などがございますが、資料をご覧頂きたいと思います。
資料5によりますと、家庭裁判所の事件数は、少年事件は減少しておりますものの、全体としては増加傾向にあります。
しかし、次の資料6をご覧頂くと、家庭裁判所の裁判官・調査官の人数というものは、多くはありません。例えば資料7によりますと、東京家庭裁判所の裁判官ひとり当たりの担当時件数は、500件と言われております。
また、子どもの権利条約や、子ども基本法及び2022年、民法改正後の民法821条や今般の法案にもあります通り、子どもの人格の尊重のためには、子どもの意向や意思を充分に把握する必要がございますが、その点では調査官調査が活用されるべきです。
しかし、調査官の人数も限られております。ちなみに東京家裁の調査官の数は110名となっておりますけれども、主席調査官1名の他に、少年事件の担当調査官が30名、家事事件担当が79名となっております。しかも、家事事件の担当でも、成年後見事件・遺産分割担当の方もおられますので、79名の家事事件調査官が、すべて子の監護の事件を担当するというわけではございません。
さらに、その上に地域差、というものもございます。
実際、家裁の兼務、裁判官が常駐していない支部、調査官が常駐していない支部もございます。子の監護事件に調査命令が出された事件についての割合は、調査官常駐庁では、44.5%事でありますが、非・常駐庁では、37.1%と開きがあります。
また、子どもの意見聴取や、試行的面会交流を実施するためには、児童室が必要でございますが、児童室が設置されていない庁舎もございます。家庭裁判所の施設面につきましては、私の調停員としての個人的経験という事でございますけれども、調停室が不足していて、次回期日を先延ばしにせざるを得ない場合がある事。
当事者である申立人及び、相手方双方の待合室が不足して、廊下などに長椅子を置いて、待機して頂いているという状況がありますので、例えば、特に配慮を必要とする事案で、当事者を調停室まで誘導しなければいけないという時に、非常に遠回りをして調停室まで連れていく。出来るだけ、ほかの人たちにお会いしないように、非常に調停員としては、苦労するというような事もございます。
また、Web調停も進んで来てはおりますけれども、これに対応する調停室が不足しております。書記官に、この次のWeb調停は、どこの調停室使えますかというと、「ちょっと待って下さい。探してみます」というような状況であります。また、Web調停をするためのノートパソコン、書記官の方が調停室まで、鞄に入れて運んで来て設置する、という状態もあります。
そういう点を考えますと、非常に設備の充実は、非常に重要な事だと思いますけれども、家庭裁判所の設備充実や運用の改善についても、3点ほど述べておきたいと思います。
丸1、家庭裁判所の人的充実。裁判官の増員と共に、家事事件についての専門性を高めて頂く必要があります。調査官の増員も必要です。家庭裁判所の実務運用につきましては、付帯決議にもあります通り、当事者の安全確保が必要ですので、調停期日が開始する前に、是非、児童虐待に関する、スクリーニングを実施する必要があります。子どもの利益の確保の観点から、子どもの意思を尊重すべきであり、調査官調査の活用充実、より丁寧な、子どもの意向調査・身上調査の実施が必要であると共に、子どもの手続き代理人の、積極的活用も同時に必要です。
資料8をご覧いただいても、まだ手続き代理人の選任ケースが少ない状況ですので、子どもの手続代理人の方針についての公的助成も必要と思います。家庭裁判所の物的充実につきましては、まず調停室や、待合室、面会交流試行室などの物的拡充が必要です。特に、法案では、家事事件手続法152条の3に、審判前の、親子交流の試行的実施の規定が新設され、これに対応する面会交流、試行室の拡充が必要となってきます。家庭裁判所の建物にスペースが無いというような場合は、公的機関、あるいは民間機関の建物の借り上げ等も、検討頂く事は可能ではないかと思います。
またインフラ、IT化に対するインフラ整備も必要と思われます。
最後になりますが、諸外国では、家族法が改正される事に伴い、制度の整備、支援体制が急速に進んだといわれております。日本でも同様に、進む事を期待して私の発言を終わらせて頂きます。
武部新議長
次に、斉藤参考人にお願いいたします。
斉藤幸子
参考人の斉藤と申します。まず、はじめに、DV被害者として、この場に立つに当たり、顔を出さない所平措置、ボイスチェンジャーで声を掛ける事、そしてインターネット審議中継で、顔を映さない事など、特段の配慮を下さった議員の皆様、衆議院職員の皆様に深く御礼申し上げます。こうした特別な措置が必要なのは、私が住所を秘匿して暮らしており、夫がいつ居場所を突き止め、目の前に現れるか分からない恐怖と隣り合わせの毎日を送っているからに他なりません。
今この瞬間、ネットでは私が誰であるか、犯人探しのような事が起こっているはずです。
実際に、離婚後共同親権に懸念があると発信している人に対して、共同親権を望む人たちが、その人の名前や顔をSNSなどで晒し、職場や実家に嫌がらせをするという事を知っています。もし、私の身元がバレてしまったら、私と子どもは怯えながら、再び転居・転校・転職をしなければなりません。
今日、この場に立つ事はとても怖いです。ですが、声を上げられない日本中のたくさんのDVの仲間たちの応援を受けて、勇気を振り絞って、国会という公の場で思いを仲間の声も含めて伝える事に決めました。
私は離婚後の子育てを、両親揃って出来る事は、理想的で素晴らしい事だと思います。そして、現時点でも、出来てる人たちがたくさんいる事を知っています。
しかし、離婚後に協力し合えない人たちも。にも、協力し合う事を強制しようというのが、今回の法改正です。DV、虐待を除外すると言われていますが、実際にDV被害を受けた者としては、現状の仕組みや、社会の理解度を考えると安心は出来ず、毎日不安な思いで子育てしています。
まず、私の経験をお話しします。私は入籍直後、夫より遅く帰宅した事を理由に殴られました。それからは、殴る蹴るはありませんでしたが、物を投げる、壊す事、監視、お金の制限、同意のない性行為といった暴力を受け続けました。
私は、夫を怒らせてしまうのは、自分の頑張りが足りないんだと思って、耐えながら過ごしました。妊娠が発覚したのちも、夫からの暴力はやみませんでした。夫が暴れ、ぐちゃぐちゃになった家の中を、妊娠した大きなお腹で片付け続けました。このまま産でいいのだろうか、不安で一杯でした。里帰り出産をしましたが、その後、子どもに障害がある事が分かりました。夫は私にこう言いました。「障害は、お前のせいだ」その後も、夫は子どもの前でも怒鳴り、育児は何もしませんでした。
このままで私が壊れる、子どもを守れない、そう感じ、里帰りを以て、別居しました。
別居後、恥を忍んで、友人に夫が怖い事を相談すると、「それはDVだよ」と言われ、DVを知りました。同居していた頃は自覚出来ませんでした。自覚していたとしても、自分を守るのに必死で、録音やメモを残せる状況ではありませんでした。もし、録音がバレたら、激怒され、暴力がエスカレートするからです。
今になって、DVの証拠を出せと言われても出来ません。
その後、夫は面会交流調停を。私は離婚調停を申立てましたが、夫が、面会出来なければ、離婚しないと強く主張したので、家庭裁判所では、面会交流の話ばかりが進みました。
私は、手元に僅かに残っていた、夫からの脅迫メールや、配偶者暴力相談支援センターの記録、子どもの主治医の意見書などを提出しました。
そこには、こう記されています。『妻は、配偶者によるストレスで、重度の鬱であり、障害のある子どもの監護に、悪影響になるので、面会の負担を考慮すべき。子どもは、障害の状態から、面会交流は控えるべきだ』しかし、調停委員や裁判官は、「それは、離婚事由で、面会では理由になりませんね」と言い、調査官も、「子どもに障害があっても、親が鬱でも、面会には関係ない」とはっきり言っていました。さらに、「このまま別居し、別居親に会わせないなら、親権も取れませんよ」と言われました。
恐怖と不安、絶望感で一杯でした。
私は子どもに無理をさせる事が出来ないと訴え続け争いました。面会交流を決めるだけで、高裁まで行き、5年かかりました。弁護士費用や慰謝料など、100万円以上かかりました。離婚は、今もまだ成立していません。
離婚後共同親権導入の法案が成立し、施行されたなら、また子どもの事で裁判の毎日でしょう。子どもを安心して育てたいだけなのに、別居親の同意を得るために、裁判をし続けなければなりません。肉体的にも、精神的にも、経済的にも、さらに追い込まれます。弁護士費用が用意できなくなったら、夫の要件を、拒否出来る自信はありません。本来であれば、その時間、お金を子どもに費やしたいです。
子どもの利益とは、一体何なのでしょうか。こうした経験は、決して私だけに限った事ではありません。
ここから先は、他の方の経験などなど含めてお伝えします。
まず、お伝えしたい事、それは、そもそも社会的にDVについての理解がないと感じます。実際にぐうではなく、ぱあで殴られたのがDVではない。血が出てないからDVではない。躾や教育のためだと言っているから、DVではない。保護命令が出ていないから、DVではない。と思っている人が沢山います。
一般の人だけではありません。裁判官や調停委員はDVの理解が乏しい。被害当事者の仲間たちは、必ずと言っていいほどそう口にします。
DVの認定というのは、認定という意味では、一番心配なのは、精神的DV、いわゆるモラルハラスメント事案です。
現状、裁判所は事情を考慮してくれていません。誰のお陰で生活しているんだよ、と非難する、無視する、朝までの説教を続け、反省文を書かせるDVもあります。さらには、親族や友人と連絡をとる事を認めない。生活費をくれない、性行為の教養もあります。これが、ずっと続きます。これは、単なる夫婦現場ではなく、人格否定・破壊です。DV被害をやっとの思いで相談しても、「あなたが選んで、結婚した相手でしょ」と、理解してもらえず、2次被害を受ける事が多いです。
挙句の果ては、虚偽DVと言われたり、逃げた事を連れ去りと言われたりします。
そして、子どもの気持ちが理解されていません。子どもたちの意志や、その子の生活を無視した面会交流が行なわれています。私の知人は、離婚が成立し、裁判所から養育費とバーターに面会交流を命じられました。そして、面会前後に、子どもが精神的不安定になり、爪や指を噛む、自傷行為をするようになってしまったという話を聞きました。この知人は、元・夫から突き飛ばされたり、壁を殴られたりするDVを受けており、子どもも怯えていましたが、証拠が充分でなかったのが、家裁はそうした事情を汲み取ってくれず、面会交流の命令されたのです。
他には、同居中に、乳児が骨折するまで暴行を受けたのに、面会を命じられた子どももいます。面会交流中に帰りたくなったのに、第三者機関の付添人に体を押さえられ、帰れなかった事で、傷ついた子どももいます。面会交流中に、父親から性的な虐待を繰り返し受けている子どももいます。今でさえ面会交流の場で、辛い思いをしている子供がいる事を知って下さい。
法案では、父母が合意出来ない場合でも、家裁が共同親権を決定できる内容になっています。ですが、同居中ですら、意見が合わない夫婦が、家裁に強制されて親権を共同行使できるのでしょうか。子どものためにと意見を合わせられるのでしょうか。
ある知人は言います。子どもに療育を受けさせたかったが、夫が子どもの障害を認めながらず、療育を受けられなかった。子どもが不登校になってしまい、育て方が悪いと責められた。離婚出来たからこそ、今、子どもが元気に、特別支援学校に通っています、と。
離婚後も、子どもの進学、海外旅行、ワクチン接種や、病院での手術など、子どもの成長の節目節目で別居親の同意が必要になります。これが一体どこが、子どもの利益になるというのでしょうか。
日本では、協議離婚が9割以上を占めます。協議離婚は話し合いが出来る関係だと思われがちですが、DV事案も多く含まれています。当事者夫婦だけで決めているので、DVがあったとしても、第三者は、協議して離婚したんだから、と判断できません。離婚して欲しいなら、親権を譲れ。養育費を払わなくていいなら、離婚してもいい、と言われて、とにかく1日も早く別れたい一心で、相手の言い分を全部飲んで、離婚した話もよく聞きます。
離婚後共同親権が導入されレバ、加害者は、共同親権を交渉材料に利用して、離れてもDV虐待が続き、逃げ場がなくなります。
まさに今、離婚を巡る協議の現場では、2年後に、法が施行されたなら、共同親権を主張してやるぞ、と夫から言われている当事者も存在します。
この法案で大変懸念される箇所がございます。単独での親権行使が可能な要件のひとつに、『急迫の事情があるとき』というのが挙げられています。
窮迫の事情がない限り、子の居所指定、つまり引っ越し先を夫婦で一緒に決めなければならないという事だと思いますが、このままでは、DV被害当事者が子どもを連れて、避難する事が出来なくなってしまうのではないでしょうか。
離れたい相手からの許可を得てから、逃げるなどありません。DVは、一発殴られたから、「はい、DV被害にあいました」というわけではありません。継続した暴力に耐えられなくなり、ある日、逃げようと決意します。着の身着のまま逃げる人もいますが、多くは子どもの安全を確保するため、計画した上で逃げています。計画して逃げる場合も、窮迫に当たると判断してもらえるのでしょうか。
私はこの法改正に反対ですが、せめて『窮迫の事情』という一文は削除して下さい。
今後のDV被害者の支援についても、心配があります。両方の親が親権を持っている場合、相手の同意があるかどうかを巡ったトラブルを避けるため、学校や病院、行政や警察を含む支援機関が、及び腰になる事も予想されます。私たちDV被害当事者は、そうした方々に支えられています。親権の共同行使が明確化されると、支援関係の方々が、親権の侵害だと訴訟を起こされ、妨害を受けた結果、DV被害者と子どもたちは誰も頼れず、孤立させられます。
あと2点、お伝えしたい事があります。
1つ目、資料1をご覧ください。兵庫県伊丹市では、2017年面会交流中に4歳の女の子が、父親に殺害される事件が起きました。この子の母親は、DV被害を受け離婚。その後、面会交流調停を申し立てられました。調停で、DV被害があったことを訴えましたが、調停委員から面会交流を勧められました。元夫とに付きまとわれる恐怖にさらされながらも、面会交流に送り出された日に、娘さんは殺害されました。
そのお母さんが、法案審議の様子を知って、こうコメントを寄せて下さいました。『法律の知識がないまま、調停委員の方々の言う事を聞いて、面会交流を言われるままにするしかないと思いました。ですが、DVの証拠の写真を提出していたんだから、ちゃんと判断して欲しかった。DVなどの声を上げられない人たちの事情を知って、ちゃんと理解して欲しい。目の前の案件を片付けるんじゃなくて、DVの本質、実情を見て下さい。私は電話番号まで変えて逃げていたんです』今の彼女の心には、4歳のままの可愛い笑顔の娘さんが生き続けています。そして、『自分のような被害者を二度と生んで欲しくない。そう切に願っておられます』この方のように、面会交流中に子どもたちが命を落とすケースは、既に共同親権を導入している国では、これまでに985件、報道されています。
お手持ちの資料2をご覧ください。この事実をしっかりと検証する、必要があると強く思います。
2つ目、先週3月29日の金曜日の夜には、共同親権の廃案を求める集会で、国会前に約700人が集まりました。そこに集まったDV被害者の仲間たちは、夜にも関わらず、みんなマスクや帽子、サングラスなどで変装していました。警備員も依頼しました。それは、加害者が来ているから、来ているかもしれませんし、共同親権を望む人たちが、顔をSNSなどで探し、嫌がらせするのが怖いからです。
それでも自分たちの声を、なんとか必死に伝えるために集まったのです。みんなで一生懸命書いた、導入反対のパブリックコメントが無視されたので、もう表に出るしかないと切羽詰まっているのです。皆様に、心からお願いしたいです。この法案には。子どもたち、私たちの命が掛かっています。もっともっと、もーっと、慎重なご議論をお願いいたします。以上です。
武部新議長
次に、しばはし参考人お願いいたします。
しばはし聡子
皆様、おはようございます。
しばはし聡子と申します。本日は、、このような貴重な機会を頂きまして、ありがとうございます。
私からは、共同養育の支援者の立場として、離婚で悩む父母、そして子どもと関わる中で見えている景色を踏まえた上で、見解を述べさせて頂きたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まずですね。私がなぜこの共同養育支援というものを行っているかと言いますと、実は私自身が、離婚経験者で、共同養育に非常に後ろ向きな母親でした。当時、夫と関わりたくないという思いがありました。調停で非常にもめました。ですので、夫と関わりたくないから、息子と父親を会わせる事に後ろ向きでおりました。その関係で、息子が、非常に気持ちが不安定になってしまった。その後悔をきっかけに、私のような子どもを量産させてはいけない。そんな思いで、離婚した後も、親子関係、そして親同士の関係も続いていくんだという事を世の中に広めたい、そんな思いがありまして、この団体を立ち上げて活動しております。
子どもが望むのは、何よりも親同士が争わない事です。そのために、私共は、争うよりも歩み寄りという事をモットーに、争わない離婚、もちろん離婚しない事に越した事はありませんが。離婚して争わない共同養育に向けて、別居前から離婚後、そして再婚後までの親御さんに向けたサポートを行っております。
今回、この共同親権導入に向けた議論がされている中で、ですね。まず、大前提として、子どもにとって父母である事は離婚しても変わらない。そして親子関係が続くという観点から、共同親権というものを導入する事で、世の中、離婚するとひとり親だと思われがちなんですが。まずは、離婚してもふたりで、父母なのだ、と。ふたり親のだという事が、固定観念として変わっていく。そのの事も踏まえて、共同親権というものが導入される事は、私は賛成をしております。
そして、共同養育が円滑にスムーズに実現される、きっかけにもなるというふうに考えております。とは言え、離婚するほどの夫婦です。共同親権で、共同に権利を行使する事なんて、とても難しい、と。仰っていらっしゃる方がいるのも、当然だと思います。
今からちょっと、3ケースほどですね。我々の所に来られるケースをご紹介いたします。
まず1点目、いわゆる高葛藤ケースというものです。
主に奥様が、夫から、精神的DVと言われるものですね。で、非常に高圧的な思いをされてしまって、子どもを連れて出ざるを得ないという状況まで追い込まれてしまって。夫と関わりたくない、関わる事が困難だ、という事で、子どもを会わせる事も非常に怖い、と言うふうに思われている、主に同居親の女性ですね。
その一方で、ある日突然、妻子が家からいなくなり、子ども、どうなってしまったんだろう、と非常に不安な思いをし、子供に会わせて欲しいと思い、調停や裁判などで訴える。そのような方々が、別居親さんなんですが。『連れ去り』という用語を使って、連れ去りは、誘拐だ、なんて言う事を発信されてたりしています。
当然このケースですと同居親の方は絶対単独親権、そして別居親の方は、共同親権を導入して欲しい、と。まず、ここが一番の対立構造があるケースです。
そして、2点目なんですけれども、共同親権で、共同養育をして離婚したいというようなご夫婦も、最近は増えています。夫婦は破綻しているんですが、親子関係は継続したいですし、父母として育児分担を行なっていきたいというようなケースです。
しかしながら、話し合いがうまくできない、そしてひとつ、司法の場に乗ってしまうと争いになりかねない、というような方々もお見えになられています。
このような方は、共同親権になるまで、離婚を棚上げされるか、または単独親権の中、離婚されて、共同親権が導入されたら、親権者変更を行うようというような合意書を交わしていらっしゃるようなご夫婦もいらっしゃいます。
そして3点目ですね。共同親権を持って、相手にきちんと親の自覚を持ってもらいたいというようなケースです。主に女性の同居親の方が、相手にきちんと子どもと関わってもらいたい。そして、養育費も支払って貰いたいという思いがおありです。
一方で、無関心層と言いますか、お子さんの事は関わりたいと思いながら、妻から解放されたいなんて思いから、子育てを放棄しよう、と。無関心な方々も一定数いらっしゃいます。
これらの方々は、共同親権を非常に求めていらっしゃるというケースになります。
そんな中、今回の議論の焦点というのは、共同親権、単独親権、父母で意見が分かれた時に、どのように判断して行くのかというところになるかと思うんですが。法案を拝読しますと、裁判所での裁量になってくる、と。
そこで、私たちも非常に関心があるのは、精神的DVというところをどのような評価基準で、見極めていくのかというところですね。
法案、拝見しますと、父母お互いに、人格を尊重し、協力する必要がある、と。そして、親子関係のみならず、父母の関係、その他の事一切を、事情を考慮して判断して行くという、この見極めというのを、どのように行っていくかというところなんですが。我々、高葛藤な同居親、別居親の数々の支援を通している中で、あくまで現場レベルなんですけれども。このような方ですと、共同親権・共同監護。いや、このような方はなかなか難しいんじゃないか、っていう事を、あくまで現場レベルではありますけれども、是非、共有させて下さい。
先ずも、って変な言葉ですが、協力的か協力的ではないか、というところに分類されると思います。もう少し、分解してお話しますと、まず、協力的な同居親、どのような方かと申しますと、夫とは関わりたくない、離婚するほど、嫌いな相手でも、夫婦の感情と、親子関係を切り分ける事が出来る方。そして、嫌で感情としては嫌かもしれないんですけれども、きちんと相手との親子交流というものを自主的に行おうとされている方、そして相手と関わる事が難しいのであれば、上手に支援などの活用を試みようとされているような方ですね。
一方で、では協力的な別居親は、どのような方かと申しますと、主に高葛藤ケースですと、ストある日突然、妻子がいなくなるというようなケースが多いわけなんですが。相手が出て行った時に、なぜ出て行ったと、相手を責めるのではなく、自分が何が至らなかったかと、自責の念、自分にちゃんと向き合ってですね、そして、相手に謝罪をしたり、改善をされるような方も一定数いらっしゃるんです。
そのような方は、例えば相手がどうしても離婚したいと言うのであれば、子供と会える事はもちろん条件になるかと思うんですが、相手の意向を受け入れる。そして係争を長期化させないというような方もいらっしゃいます。そして、相手の意向を尊重していく。必要に応じて、相手が支援を使いたいという場合には、支援団体を利用するという事にも、もう受け入れる。というような方が、協力的な別居親というふうに我々は感じております。
一方で、非協力的な方ですね。非協力的な同居親、どのような方かと申しますと、父母の関係、父母の感情面の関係性ですね、と親子関係をなかなか、やはり切り離す事が難しい、と。
そして、次ですね。子供に悪口を言ってしまったり、出来るだけ自分自身が関わりたくないから、子どもも関わりたくないのだ、という事で、子ども比較的ちょっと所有物化といいますか。そのような観点でなってしまっているような方もいらっしゃいます。
一方で、非協力的な別居親ですね。これは、例えば妻子が家を出てしまった時に、相手が悪い、と。自分、何も悪い事してない、という他責の念ですね。相手が悪い、相手の代理人が悪い。社会が悪い。法律が悪い。そして、強いては、自分の代理人が悪い、と他責の念にとらわれ、誰かを攻撃支配しようとする。そして、自分の思い通りにならない事によって、係争を長期化させてしまって。ともすれば、支援を拒絶するなんて事もございます。
そのような方々は、非協力的なタイプの方なのではないかな、と。そうしますと、なかなか共同親権が難しいのかなと思います。
ただ、ひとつ言いたいのが、離婚するほどなので、最初は非協力的な思いがあっても致し方ないと思うんですね。ただ、この別居、離婚を通して、お子さんの事を考えたり、相手の立場を尊重するような気持ちに変容している方も一定数いらっしゃるという事は、お知り頂ければいいなというふうに感じるところです。
では、この共同親権を導入するに当たって、課題もあると感じております。
司法の改革と、支援の強化になります。
ではまず1点目、司法ですね。ここはちょっと3点申し上げたいんですけれども、ご相談者の中にも、司法のレールに乗って、本当は謝りたかっただけなのに、なぜか争いになってしまう、と。そのような方々もいらっしゃったりもしています。是非ですね、悪化させない、争わせない離婚協議が出来るような、司法改革をして頂きたいなと思っております。
構造上の問題なのかもしれませんが、いきなり条件を決める。そこによって、葛藤より上がっていきます。ではなく、例えばカウンセリング前置主義を取るですとか、調停の1回目は、蟠りを解消する事に特化するです、とか。その事によって、例えば、何か悪かった、至らなかった事を謝るだとか、そのような機会がひとつあるだけでも、条件決めやすくなると思います。
そして何より、この争わせない協議を出来るように司法関係者が、導いて頂けるようなお立場になって頂きたい。司法関係者、弁護士も含めて、ですね。
子どもが居る限りは、父母であって、関係が続いていきます。で、あれば司法の場で争わせて、離婚した後にいきなり円滑な共同養育をせよ、と。それ無理な話なんです。ですので、話し合いの時点でいかに争わせないかという事が、非常に肝になってきます。
そして、協議の方法の選択肢ですね。当事者同士で協議が出来ない場合にも、弁護士をつけて、次に裁判所なのか、というと、この間、当事者以上、裁判所未満といいますか、ADRという方法がございます。
皆さん、ご存知かと思います。我々も行っておりますが、カウンセリングを重視した後に条件を決めていくと、非常に有意義な話し合いが行われて、父母の関係性を構築しやすくなっております。
そして最後ですね。どうしても葛藤があるのが、長期による親子の引き離しではないかなというふうに、見ています。どうしても調停ですと、お金の事ですとか、条件を決める事を先に話し合って、その間に子どもに会えない側の別居親っていうのはどんどん葛藤が上がって、その条件を飲まなくなっていく。で、同居親側は、なんで私の条件を飲んでくれないの?と、お互いどちらが悪いという事ではなく、話し合いの進め方によって、葛藤が上がってしまっているんです。
まず、お子さんにもちろん身体的な暴力があったりする時は、更生が必要になります。では、ない場合、夫婦の問題で、長期化してしまっているのであれば、いち早くまずは、交流をする。その後に、色々条件を決めていくという順番でお話しをされた方が建設的なのではないでしょうか、と思う次第です。
そして次、支援の強化ですね。これは、夫婦から父母になっていく関係性を構築して行くための支援を強化して頂きたい、と。
まずですね。別居中は弁護士がいたり、裁判所で調停委員がお話をしてくれるので、なんとか自分の意見を書面で通す事が出来ますが、離婚した後に、もういきなり当事者同士でお話合いをする事が、非常に困難になっていきます。
我々は、その離婚後もですね、父母のお話合いの仲介の支援などを行っております。もちろん非弁は出来ませんので、交渉はできないんですが、相手に伝え方を、少し柔らかくするなどして、相手に伝える。そのような、相互の事を行っている事で、比較的蟠りが解消し、支援を卒業する事なども出来ます。
で、離婚後にですね、ちょっとした変更を行ないたい。例えば、面会交流を、2回を3回に変えるとか、何か、そのような事を私たち出来ないんですよね。かといって、また弁護士をつけて裁判所に戻る。また、葛藤が上がってしまう。で、あれば、全国でADRのような話し合いの場、もしかしたら、ADR使わなくても、お互いで、第三者が入ればお話合いが出来るような夫婦だっていらっしゃると思います。
ですので、我々も行っておりますが、ペア・カウンセリング、お話合いがスムーズに進まなければ、弁護士を介したADRなどもあるんだよ、という事を、国あげて普及して行く必要があると思います。
そして2つ目、共同養育、この言葉って、共同という言葉で非常に懸念される方が多いと思います。仲良くやらなきゃいけないの、と。そんな事はなくてですね、高葛藤で、ボツ交渉の方々も支援などを使う事によって、共同養育って出来るんです。
子どもにとって大事なのは、相手の悪口を言わずに、自由に会える環境を整える事であれば、親同士が仲悪くても、やり取りしなくても、共同養育って出来るわけなんですね。
ただ、なかなか、共同養育は大事です。子どもの為にやりましょう、というような知識だけ植え付けられたとしても、「うちは違うから出来ない」というふうに、他人事になってしまいがち。ではなく、いろんなフェーズの共有って形があるんだよ、という実践的なものを学ぶ場、我々は提供しておりますが。いくつもいろんな形がある、多様化なんだよっていう事を、離婚前、出来れば別居前ですね。に知って頂くような機会を作られてはいかがでしょうか。
そして、我々、行っているんですが、共同養育を行うのに大事なのは、相手側を知る事なんです。世の中には、同じ立場の人である別居親団体、同居親団体たくさんあります。もちろん自助作用としては大事なんですけれども、どうすれば、相手が悪い、自分たちは可哀想だ、と被害者意識になりがち。これでは共同養育って出来ないですね。相手の側の立場を知る事、これ、何が大事かと言いますと、かといって自分の配偶者に直接お話を訊く事が出来ない。であれば、自分の配偶者と同じ立場の他者、と交流するわけです。
我々、同居親と別居親を集めたコミュニティを運営しております。中には、非常に妻に対して怒り、そして夫に対して嫌悪感を持たれているような方々もいらっしゃいますが、相手側の立場を知る事で、もう少し子どもを会わせてみようかな、ですとか。あまり妻を責めるのはやめようです、とか。そのような、作用が行われるという事で、このような支援というのも必要になってくるのではないかと思います。
そして最後、行政ですね。ひとり親支援、非常に特化されている。これ、非常に大事だと思います。被害者支援、経済的支援、就労支援もちろん大事です。ただ、共同養育をしたいと思われている方でしたら、共同養育出来るんじゃないかなっていうような方がご相談に来られた時も、ひとりで育てるための事だけのアドバイスだけではなく、もう少し引き出しをもってですね。この方々にはふたり親支援を、どのようにふたり親で育てていくアドバイス出来るような。そのような引き出しを持つための治験を行政の方も、支援でしたり、職員でしたり、相談員ですかね。知って頂くような機会ですね。研修制度を用いられるのがよろしいのかなと思います。
最後になりますが、もう一度、申し上げますと、子どもが望んでる事は、両親が争わない事なんです。共同親権導入の旗を掲げる事によって、もしかしたら、当事者は協力し合わないといけないという意識改革が進むかもしれません。そして司法も争わせてはいけない、争わないような話合いをしなくてはいけないというスキームが確立するかもしれません。そして何より、社会が、離婚した後もひとりではなく、ふたりなんだ。親はふたりなんだという事が浸透するでしょう。これって、子どもが望む親が争わない社会を実現できる事になると思われないでしょうか。私はそう思います。
もちろん、非協力的な攻撃的な、協力的で攻撃的な方も一定数いらっしゃいます。変わらない方もいらっしゃいます。そのような方々はもう単独で一択でいいですし、監護者になれなくても、致し方ないと思いますが、グレーゾーンというか、争うつもりはないけど、いつの間にか争ってしまった、という方を引き上げるような支援強化、司法改革を是非して頂く事が必要か、と。
今、この法改正と言う潮目に、私も僭越ながら立たせて頂いておりますが、離婚は争いだ、というこの悪しき文化をですね。ここに居る私たちのこの世代で、変える事によって次世代が、結婚っていいものだな。子ども産むのもいい事だな。万が一離婚になっても、このような形もあるんだな、という事を是非引き継いでいきたいという思いを、私は強く抱いております。それが子どもにとって、一番の福祉に資する事なのではないかな、と思う次第です。ご清聴頂きまして、ありがとうございます。私からは以上となります。
武部新議長
ありがとうございました。次に、山口参考人にお願いいたします。
山口亮子教授
関西学院大学の山口良子と申します。本日は参考人として、意見を述べる機会を与えて頂きまして、誠にありがとうございます。
わたくしは法学部において民法を担当しておりますが、研究に関しましては、アメリカの家族法と日本の家族法の比較検討を行っております。今回の民法改正におきましては、法務省法制審議会・家族法制部会に於きまして、専門家の先生方によって長期間にわたり多方面から非常に詳細で緻密な法的議論が交わされ、法律案に至りました事に心より敬意を表します。
そこで、一研究者の私が意見を述べる事は僭越ではありますが、ここでは主に、婚姻外の共同親権について、40年以上前に成立させ定着させてきた、アメリカ法の議論を参考に、本法案の特徴と課題点について述べさせて頂きます。
まず、これまで婚姻外に於いて、単独親権しか認められておりませんでした。民法で、共同親権が立法化される事について、大変、好意的に受け止めております。
アメリカ合衆国では、1970年代後半から、ヨーロッパ各国では、『児童の権利条約』を批准した2000年前後から、婚姻外の共同親権に関する法律が成立しました。
その根拠となった思想は、夫婦の関係と親子の関係は別物であり、子は親の離婚に関わらず、両親と関係性を保ち、監護・教育され、扶養される権利と利益がある、とする子どもの権利、利益感と。もうひとつは、離婚により当然に権利を失う、一方親の不条理であったと思います。
共同親権の法律は、各国で様々なタイプがございます。
ドイツ法やフランス法などは、両親は子に対する権利・義務を、婚姻や離婚に関わらず、変化せず持ち続けます。これに対しアメリカ法は、両親は子に対する法的監護権と身上監護権を、離婚後共同で持つか、単独で持つか、選択する形態となっております。
今回のわが国の法律案でも、離婚後も共同親権を持つ事が、選択出来るようになりました。これにより、親権の内容である監護・教育を、共同で行使する事が可能となります。
例えば、この教育や医療等の重要な決定に際し、両親が責任を持ち、協議の上、決定する事が出来、日々の子の養育の責任を、両親が互いに持つ事が出来ます。
そして766条で、監護の分掌という取り決めをする事が、今回、新たに加わった事で、具体的に離婚後の子の養育について、各家族がある程度自由にカスタマイズ出来る方策となっております。これにより、選択肢が広がりました。
例えば、子の進学決定は双方で行うが、塾や課外活動は、同居親が決める。または手術等の医療に関しては双方で決定するが、最終的には、どちらが決定権を持つか、という事を決めるという事が出来ます。
そして、子との同居の交代も、ここで決める事になろうかと思います。
両親がこのような取り組みを行う事は、離婚後も、自分のために環境を整えてくれるという子どもの信頼感につながりますし、両親との関係性を維持し続ける上で、子どもの利益に適うものになる、と言えると思います。
そしてもう1点、特徴的なところは、819条の7項で、『父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき』と『父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動( におい(7)て「暴力等」という。)を受けるおそれ』がある時には、単独親権にしなければならない、と定めた事です。
共同親権が一般的なアメリカでも、DVや虐待を行う親には、監護権を制限していますが、わが国でも、これは子を守る事に配慮した規定と言えると思います。
以上は、婚姻外の共同親権の法案について、私が考える主な評価点です。
次に、これらがどのように運用されるのか、という懸念点と、アメリカにおける実情をご紹介いたします。
わが国の今回の法改正では、離婚後の親の権利義務は、重層構造になっておりまして、DVがなく共同親権にしたとしても、一方の親が、監護者となる事を求める事ができます。法案は824条の3に於きまして、子の監護をすべきものは、第820条から823条までに規定する事項について、『親権を行う者と同一の権利義務を有する』、『この場合において、子の監護をすべき者は、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限をすることができるものとすること。(第八百二十四条の三第一項関係)』ができる、としています。
すなわち監護者は、親権の中でほぼ重要な部分を占める、監護・教育・居所指定権を持つ事になります。これにより、共同親権であっても、実質的には、これまでの単独親権と変わらない状況になってしまいます。
問題は、監護者が子の居所を決められるため、合理的な理由もなく、他方の親に連絡せず、自由に転居すると、面会交流を行っていた親子を急に引き離す事に成りかねず、新たな紛争が生じるおそれがあるという事です。
共同親権であっても、単独親権であっても、面会交流は親と子に認められる権利です。監護者を指定するという事は、単に同居親を決めるという事ではなく、父母間の関係性に於いて、極めて限られた状況での選択である、という認識が必要になって参ります。
また、どのような指定であれ、これまでの面会交流を妨げないような調整が必要になって参ります。
そこで一括して監護者を決めるというのではなく、766条にあります、その他、子の監護についての必要な事項として。或いは、監護の分掌として、離婚する両親は子の養育について、柔軟な取り決めをする事が重要になってきます。
ここで、同意なく転居をしないという事や、再婚や転居など、事情が生じたら、再度『養育計画を策定』し直すという事を取り決める、または審判で定めるという事が必要になってきます。
しかし、その他、子の監護についても必要な事項も、新しい制度である、『監護の分掌』というのも運用に任せられておりますので、実際何をどのように取り組めばよいのか。未だ明らかにはなっておりません。
また、その協議で取り決めた場合、法的にどのように担保していくのかの課題も残っております。
したがって、これらを『養育計画の策定』、として、『共同親権報酬』を補完するものとして活用して行くためにも、これからその中身を詰めていき、国民に周知して行く事が、非常に重要になって参ります。
では、アメリカでは、どのような共同監護行っているのかと言いますと、家族を定めますのは、州によりますので、その内容に差はありますが。多くは共同法的監護にするか、共同身上監護にするか、または単独監護にするか選択式になっております。
立法過程の中で、訴訟に持ち込まれた時、裁判所は、共同監護と単独監護、どちらを優先的に考慮するかについて議論がありましたが、多くの州は、いずれかが優先する事はない。また、両親のどちらかが優先する事はない、と中立的に規定しています。
しかし、現実的には親子は面会交流を通して関係性を続け、両親が、子の主要な法的決定について、協議して決定する。共同法的監護は、6割から8割。子が、両親の家に少なくとも1対3の割合で住む、共同身上監護も1割から3割程度あります。
現在、共同監護はアメリカで標準的になってきていますが、このような運用ができている理由は、次の主に3つあります。
まず1つ目は、監護法制に対する、州の方向性が立法で明示されている事です。多くの手法では、頻繁且つ継続した親子の交流を促進する事を、州の政策と位置付けています。また、DVや虐待の証拠がない限り、共同法的監護は、子の最善の利益に適うと推定するという規定を置いている、州もあります。
現在アメリカで発表されております、心理学や精神医学の研究では、離婚後に共同監護を通して、両親との関係が継続している子の方が、抑うつ状態や、ストレス関連が低いとしています。
また、子どもは基本的に、双方の親から愛情と関心を得る事を求めています。
子どもの利益を守る事は、州の責務ですので、このような認識を踏まえ、州は子の利益ついて、一定の方向性を示す事により、人々はどこを目指して協議すればよいのかの行為規範が見えてきます。
また、行政や司法もどのような支援を行えばよいのか、の指針を見つける事ができます。
2つ目は、離婚時に親教育を行っている事です。
アメリカでは、ほぼ全州で、離婚後の親教育がありまして。隔州の大学の心理学大学院等で、開発されたプログラムが用いられております。
体験型の教室では、心理学や精神保健の専門家が、子の忠誠心を試す行動や、子を個人的な相談相手にするなど、親の間違った行動を示し、その後に、適切な行動をロールプレイなどします。料金をかけて行うものですので、プログラムは年々改善され、その検証も行われております。
ある調査では、受講前の参加者の知識・態度・共同監護が出来る可能性への変化について、いずれも『有意な効果が示された』としています。
また、離婚で傷ついた親にとっても、同じ仲間と時間や悩みを共有できる事は、大切な事ではないかと思います。
3つ目は、『養育計画書』の作成です。こんにちでは、多くの州で、監護権や面会交流という画一的な決定を行うのではなく、離婚後に、どのように子の教育を行っていくか、を両親が、十数ページ相当の『養育計画書』により、具体化致します。
アメリカは裁判離婚ですが、ほぼ9割が協議や調停により、書類を作成して裁判所に提出し、裁判所がこれを承認する事により、離婚が認められます。
訴訟自体はわが国と変わらない、1、2%ほどになっております。
裁判所が用意している書式には、まず、親の責任として主要な法的事項である、子の教育・医療の決定を両親が共同で行うか。共同で行うにしても、合意できないときは、最終的にどちらが判断するか。或いは、すべて単独で行うか。という法的監護権について記載します。
続いて、学期中の学校への送り迎え、年間の祝日、長期休暇中に、子はどちらに住まうか、など、その時の費用や受け渡し手段も記載します。
学期中の、面会交流しましては、1週間に1、2回の食事、および1週間おきの週末に別居親の家へ、子が宿泊する事が一般的ですので、敢えて共同身上監護にはこだわっておりません。
また、子が連れ去られて、新たな紛争が生じないように。他方親にに監護権があるか、なしかに関わらず、旅行時には、場所や連絡先を必ず相手方に届け出る事。転居を計画している場合は、60日前に連絡し、再度『養育計画』を立て直す事なども書面にて合意します。
これについては、すべての州で立法化されておりますので、必ず行わなければならない、重要な取り組みになっております。
転居が合意できない場合は、裁判所で争う事になりますが、その時、裁判所では悪意のある転居ではないか、不合理な反対ではないか。そして、『養育計画』の代替案は可能なのか、などが審査される事になります。
『養育計画書』の作成に当たっては、DVにも配慮し、両親で協議が出来ない場合は、双方が計画書を書いて裁判所に提出し、裁判所の判断に委ねる事になります。
養育費については、別の書類の提出がまた必要になりまして、これもかなりの分量の記載内容がありますが、インターネットで、税金や補助金、保険等の控除が自動計算できるようになっています。
なお、アメリカでも、隔週で養育計画書の作成が広がったのは、最初に共同監護が法制化されて、10年近く経ってからです。
州の基本政策に従って、司法・行政・民間の支援も徐々に発展してきました。弁護士の役割も大きいです。その結果、両親は夫婦の問題と、子供の問題を切り離し、家族を再編するために努力し、単独監護制度に後戻りしている、という事はありません。
今回のわが国の法案は、子の利益のために作られた規律である事を踏まえますと、親子の関係性において、何が子の利益なのか、といった基本軸について、今後も議論が進む事を望んでおります。
また、新たに規律化された、共同親権および監護の分掌は、運用次第で大きく発展するものと思います。法律に賛成すると共に大きな期待を持っております。以上でございます。
武部新議長
ありがとうございました。以上で参考人の方々のご意見の開陳は終わりました。これより参考人に対する質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦くん。
柴山昌彦議員
自由民主党の柴山昌彦です。それでは、参考人への質疑に入らせて頂きます。本日はご出席いただき、本当にありがとうございます。
まず、斉藤参考人にお話をお伺いします。改正法819条では、裁判所が離婚を単独親権とする場合に『父母の一方が他方からDVを受けるおそれ』がある事を要素のひとつとして掲げており、且つ、これは精神的DVを含むとされていますけれども。これについて、どう評価されますか?
武部新議長
斉藤参考人
斉藤幸子
裁判所が、ちゃんとあの判断してくれるとは思えません。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
この後、午後に参考人として来られる、北村晴男弁護士は、新聞のコラムで、『子に暴力を振るう親は、親権を失って当然だが、母親に対する父親からのDVの「おそれ」を、それを理由とするのはナンセンスである』と主張されておりますけれども、この主張についてはどう思われますか?
武部新議長
斉藤参考人
斉藤幸子
DVの種類を存じ上げないから、そのような発言になっていると思います。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
犬伏参考人にお伺いします。今も斉藤参考人から、お話があったように、DVのみならず、また、その『おそれ』について、裁判所は的確に判断できないんじゃないか、という懸念があります。そして、一方・逆の立場からすれば、この『DVのおそれ』という文言があると、証拠がなくても片方の言い分のみで、それが認められる可能性が否定できないのではないか、とも主張されております。
また、新しいパートナーと一緒になって、そのパートナーから、子どもが虐待をされ、そして別居親が、そういった方々、また、を、しっかりとチェックを出来ないのではないか。こういう事を、懸念もされております。
果たして裁判所は、今お話があったような、それぞれのケースについて、適切な判断をして行く事が出来るんでしょうか。
先ほど犬伏参考人は、裁判所の人的・物的・整備充実については、お話をされておりましたけれども。心理のプロセスですとか、或いは裁判の質の向上、証拠の収集等について、どのように改善をすれば良いのか。
また、この『DVのおそれ』という文言は、このままで良いのか。それぞれご意見をお伺いしたいと思います。
武部新議長
犬伏由子参考人
犬伏由子教授
多岐にわたるご質問、ありがとうございました。私自身は、裁判所を代表するという立場ではございませんけれども、今、やはり、この法案が成立するという事に向けて、家庭裁判所としても、かなりこの法案に基づく、今ご指摘のような、特に単独親権にすべき事案というものについては、慎重に検討されている事と思います。
で、確かに、今の状況に於きましては、先ほど言いましたよう、リスク・アセスメントであるとか。DV・児童虐待について、充分に、それを判断するというところまで、スクリーニングが出来ているかというと、まだ、そこまでいっていないかもしれません。
しかしながら、私共調停委員としましては、事件配点の前に、そういった危険があるという事については、充分に一応、進行についての照会等が出てきておりますので、この事案については、DVが主張されている、或いは児童虐待の恐れがあるというような事件につきましては。
それから、精神的な課題を抱えている人たちも、実は今、増えております。従いまして、医務室技官の立会いであるとか、調査官の立会いというのが、既に事件の当初から、調停事件に於いて、調査官および医務室技官の配点というものがございます。
もちろん、過酷なDV案というのは、調停には、馴染まないという事はございますので、私共は、やはり調停にも馴染まないケースというものを、やはり、きちんと峻別すべきだというふうに思っておりますし。そういう事案につきましては、調停なしに、監護者指定だったら審判、それから離婚事件だった訴訟、というふうになるわけですけれども。家庭裁判所としても、今後、慎重にやはりDV事案につきまして、当事者が、非常に不幸な目に遭わないような運用というものに心掛けて、今、家庭裁判所としては、努力しているというふうにお聞きしております。
今後の運用につきましては、家庭裁判所というのは、非常に裁量性・柔軟性があるというメリットもありますけれども。やはり、裁判所によって違うとかですね。調停委員によって違うといったような事で、当事者が非常に傷つくという事は避けるべきだと思いますので、調停委員に対する研修というものも、充分行わなければいけない。
今、調停委員というのは、非常に、色々批判も受ける立場でございますので、研修であるとか、DVに対する理解というのは、かなり丁寧に、私共も、研修を受けるという事ですし。調停委員が自主的に研修を行っている、と。最近の調停委員さんは、非常に真面目でございまして。自主研修というもの、非常に行っており、外部の人たちのお話を聞くというような形で。私共も、この法案が成立するという事になるという事で、非常に内部の研修であるとか、家庭裁判所の研修によって、本当に充分にこの法案を前提とした、努力。というものを重ねなければならない、というふうに、今から心しているところです。
まだまだ、家庭裁判所の内部事情というものは、私自身が深く存じ上げない立場でございますけれども。家庭裁判所としては、皆様の期待に応えるべく努力して研修を受ける。それも外部の方々から、色々DV被害者のお話も聞くという形で、努力していくというふうに、私共も、心しているところでございます。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
ありがとうございます。裁判官、そして調停委員も含めて、仮に、この法律が成立した場合にしっかりとした研修を行うという事。それから、調停プロセスには、必ずしも馴染まないような案件もあるので、しっかりとその見極めをしなければいけないという事などについて、ご説明を頂きました。
共同親権導入に慎重な方々。単独親権制度も、現行法の下で、別居親との交流は確保出来ていると主張されています。
しかし、『令和3年度・全国ひとり親世帯等』調査結果によりますと、『わが国で、月2回以上の親子交流が出来ているのは、別居父について、約4.2%。そして、別居母については、約11.4%に過ぎません。一方、例えば共同親権国のイギリスでは、月2回以上の交流は、71.9%にものぼっています。
今回の法改正によって、先程、裁判所の期日の問題についても、ご指摘をして下さいましたけれども。本当に、子の利益に相応しいケースで、親子交流の推進というものが担保出来るのか、という事について、犬伏参考人に、今一度お話を伺いたいというふうに思います。
武部新議長
犬伏参考人
犬伏由子教授
私共は、調停に於いては、非常に当事者の声、当事者の主張を、双方から丁寧に聞くと言う事を、まず心掛けていて、調停委員として傾聴というのを尊重しております。
そういう中で、子どもさんがどういう状況にあるのか。そして、やはり、親子の交流というものの重要性というものを考えて、丁寧に、丁寧に、面会交流がどういう形であれば、出来るのか。出来ないという心情については、どうなのか。という事を丁寧に聞いております。
その結果、若干、調停期日を重ねるという事はあろうかと思いますけれども。調停の中で、調停で合意が形成する前の段階で、試行的に面会交流を出来ないか、というような事も実施しておりますので、調停の期日が入らないとか、回を重ねなければいけないという事によって、親子の交流が長期間出来なくなるという事については、私共も心掛けて、出来るだけ調停の期日間で、試行的にやって頂けないか。それは、そのケースケースによって、やれるかやれないかっていうものを充分に見極めながら、調停委員が、働きかけたり。
当事者の代理人双方が、期日間に、具体的な面会交流をセッティングするというような事で、出来る限り当該事案に相応しい形で、私共は、期日間にも、面会交流が出来ない、出来るような働きかけというものをしております。
決して、合意が成立できない、或いは、期日がなかなか入らないという事で、面会交流が行われないというような事がないように、配慮しております。
先日も、手紙をお子さんが書いて、「パパに会いたい」というような、お子さんの手紙もありましたので。そういう心情は、やはり大事にしたいと思いますし。調査官調査が入って、やはり面会交流を調停での合意が成立する前に。実施出来ないか、というような働きかけをしております。
そのために、やはり庁舎内に、試行面接会が出来るような部屋を確保して頂きたい。しばらく前に、裁判所が「なかなか、面会交流室、難しいんだよね。日比谷公園でやったらどうか」というふうに、言われたような例もありますので。出来るだけ、面会交流について、庁舎内で出来ない場合も、支援団体もございますし、やはり、面会交流について、出来る限り、可能なケースに於いては、断絶を、長期にわたって断絶しないような努力というのを、調停委員もしているというところです。
お答えになったかどうか分かりませんけれども、以上です。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
今回、あの試行面会について、明文化されましたので、そういった事もしっかりと実践して欲しい、というふうに思います。
続いて、しばはし参考人にお伺いします。
養育費の支払いも含め、円滑な共同養育を実現するために、仲介機関・ADRなどの役割が大きいと言う主張、よくわかりました。
しかしですね。先ほどデータでもあったように、親権を行う子がいるのに、夫婦が離婚する件数は年間約10万件にも上るわけです。未婚のひとり親の子どもが、16万人にのぼるというデータもあります。
果たして充分、そういったADRなど、ニーズに応えられるんでしょうか。
自治体窓口や法テラスとか、児童相談所のような役割も大きくなるというふうに考えるんですけれども。こういったニーズに、本当に的確に、これから対応出来るのか、という事について、お話を伺いしたいと思います。
武部新議長
しばはし参考人
しばはし聡子
ご質問頂きまして、ありがとうございます。
ADRの認証団体という、法務省での認証を受けた団体が行う事が出来るものになります。我々も、その中でも離婚の担当になるのか、色んな不動産なのか、とか。色んなADRの担当っていうのがあると思うんですけれども。
まだまだ、結論からいうと、団体としては足りないのではないかな、と思います。
ただし、弁護士会でも、弁護士のお立場の方っていうのは、ADRといいますか、仲介・仲裁をする事は、行う事が出来るっていうふうにお聞きをしています。
これを、ADRを普及した上で、これは私が普及というよりも、法務省さんになってくるのかと思うんですけれども。
・ADRっていう方法があるという事をまず認知させていく事。
・そして、ADRという方法を、行っていこうという弁護士の方が増えていく事。
そういう事の取組みになっていくのでは、ないかなと思います。
現状でいいますと、我々のところにも多く御相談者見えていますが、今後ADRをより使われたいという方が、受け入れ先という事が、まだまだ足りていないというふうには、考えているところでございますが、ご回答になっていますでしょうか。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
それと、あのしばはし参考人が仰った事で、私、ちょっと重要だなと思った点がですね。「司法改革のあるべき姿として、まずは条件の取り決めよりも、先に別居直後から、速やかに親子交流をして行くべきだ」というご主張されたかと思うんですが。先ほど、事態の悪化を避けるためにも、まずは面会交流を、もちろん出来る場合に限ってだと思いますけれども。速やかに行っていく事が、必要だというふうに仰ったんですけれども。どのような根拠というか、ですね。視点でそういう主張をされているのか、という事を今一度教えて下さい。
武部新議長
しばはし参考人
しばはし聡子
ご質問頂きまして、ありがとうございます。
我々、面会交流の支援も行っております。同居親の方、別居親の方、それぞれの個別の相談なども受けている中、特にやはり葛藤が上がるのが、別居親の方が、長期にわたって、なかなか子どもと会えない。それが面会調停を申し立てた、とて。そこから実際、何回やっていきましょう、みたいな事を、月1回、2カ月に1回という想定の中で、留保で決まっていく。あっという間に半年ぐらい経っていく。その間に、お金の事ですとか、あと、「あなたが悪いから離婚しましょう」みたいな事を相手から一方的に言われていく。それで、より葛藤が上がっていき、だったら、離婚をしないみたいになっていくケースが非常に多いです。
「離婚したい」という同居親に対して、「子どもに会えないから、離婚しない」というのは、対立構造になっているわけなんですよね。
なぜ、「子供に会えないから、離婚しない」と仰るのかというと、やはり、子どもに会えるという担保がない。不安だから、離婚という、親権を失ってしまうと、会えなくなってしまうのではないか、というような不安になられている方が多くいらっしゃいます。
それが、一度でもといいますか、割と初期に会える。そして、定期的に会える。相手も、会わせる意思があるという事が、ある程度見えてくれば、きちんと子どもと交流が出来るのであれば、離婚したくないけれども、離婚という選択肢もあるのかな、という事で、だんだん葛藤が下がっていきやすくなる、というケースはよく見ております。
一方で、相手にこう争いの姿勢で、相手を責めれば責める程、相手側が逃げていくっていうような法則もありますので。別居親の方が葛藤が下がったほうが相手も会わせやすくなるという、鶏と卵ではないですけれども。というところからも、初期に子どもとの交流をしていく事によって、お互いの葛藤が下がりやすくなるという基準感が、巡り巡って来るのではないかな、というふうに感じております。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
山口参考人にお伺いします。先ほど、アメリカまた韓国の事例について、犬伏参考人からもご紹介があったんですけれども。離婚には、もちろん色々なケースがあるんですけれども。離婚するに当たって、『養育計画書』を作る、或いはそのための講座、カウンセリングを受けさせる。これを要件化するという事。今回の法改正では、本当に色々なケースがあるという事で、見送られたんですけれども。こうした制度を、将来日本に導入するために、何が必要だと考えられますか。
武部新議長
山口参考人
山口亮子教授
ご質問頂き、ありがとうございます。
最後に述べましたが、アメリカでも『養育計画書』が発達していったのは、共同監護の法制度が出来て、10年経ってからという事ですので、徐々に広がっていったという事で、やはり、探り探りだったと思います。
しかし、どうして、そういう事を決めなければいけないのか、と。監護権や面会交流など、画一的なものではなく、一緒にどうやって、子どもを育てていくか。やはり、中身が重要な事だと思いますので、その中身を実行に移すために、それはやはり、計画書という文章で協議をし、合意をし、そしてそれを実行して行く、と。そういう事が重要なんだ、と。そういう事が徐々に分かってきた。まあ、私達はそういう前例がありますので、日本でもこれを取り入れれば、共同親権を選択した家族にとっては、非常に有益なものになると思います。
それをどういうふうに広げていくか、ですが。やはりそれは、子どもにとって、どういう教育を、親が責任をもって行うのが、子の利益に適うのか。といった、子どもの利益感ですとか、権利感を国民へ周知し、例外はありますけれども、そういう共通観念の下に従って、進めていくという事が、重要になると思いますので。やはり、子どもの利益とは何なのか、という事の議論。そして、日本全体が考える基準というものを考えていくべきだと思います。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
最後に、どうしても1点だけ、お伺いしたい事がございます。
山口参考人、同じくアメリカではですね、一方の親による、『子どもの連れ去り』というものはですね、正当な理由がないものであれば、刑事事件、民事事件とも大変厳しく制限をされております。
また、委員から先ほど、今回の改正法案824条の3で、監護権、特に居所指定権の濫用についての懸念も、お示しを頂きました。
アメリカの裁判所であれば、裁判所が認めた面会交流や監護権や養育費など、無視すると裁判所侮辱罪が適用されるんですけれども。この担保の仕組みについて、最後にお伺いしたいというふうに思います。
武部新議長
山口参考人
山口亮子教授
最後の裁判所侮辱について。決められた事を守らなければ、裁判所侮辱として課金、拘留が出来るという事で。刑罰を持って履行・執行を担保するという事になっております。決められた事は、守らなければいけない、という制度です。以上です。
武部新議長
柴山昌彦くん
柴山昌彦議員
ありがとうございました。
武部新議長
次に大口善徳くん。
大口善徳議員
公明党の大口でございます。本日は、犬伏参考人、しばはし参考人、山口参考人として斉藤最高に本当に貴重な機会を与えていただいて心から感謝申し上げる次第でございます。
そういう中でですね、今回民法の改正におきまして共同親権、これを導入するという中身がですね、非常に今、大きな家族法の改正ということですね。国民の皆様が大変な関心を持っております。そそこで皆さんからご意見をお伺いしたいと思います。
まず犬伏参考人とですね、山口参考人にお伺いをいたします。昨年11月の20日にですね、今日立候補の共同親権導入に伴う法制度整備についての要望書、これをですね、法務大臣にですね、提出をしていただきました。
山口参考人がこの4人の中に入っておられますし、また賛同者として犬伏参考人も入っておられます。このですね、趣旨について、それぞれお伺いしたいと思います。
武部新議長
それではまず、犬伏参考人。よろしいでしょうか?
犬伏由子教授
どうも取り上げていただきましてありがとうございます。私どもは法制審議会の議論の状況を見守っておりましたけれども、やはり非常に法案につきましては、賛成反対の議論が非常に強いということと、きちんと議論していただきたいということ、そういうこともありますし、やはりこの法案につきましては家族法のサイドの研究者からすると、やはり進めていただきたいという気持ちもございました。
そこで呼びかけ人の方々がやはりここは冷静に法制審議会で議論をいただけるように要望書という形でお願いした。ただし、法案を実現すればいいということではなくって、今回の法案というのは大口議員もご指摘いただいたように、大きな変化をもたらす可能性もございます。
そういう点ではやはりかなり国として、そして地方機関としても覚悟のいることだと思いますので、それを支えるための制度整備というのが、ともに進んでいっていただきたいというふうに思う。そういう期待を込めて、法制度整備をやはり十分に検討いただきたいということで要望した次第です。
それが付帯決議にも参考になったのではないかというふうに思いまして、一定の役割は果たせたのではないかというふうに考える次第でございます。
武部新議長
続いて山口参考人お願いします。
山口亮子教授
山口でございます。ご質問ありがとうございます。私も犬伏参考人が言われたことと全く同じでございますけれども、家族法の研究者としては親権という面から、やはり離婚によって、親権が自動的に一方の親権が失われるということについて、法的にどのように理解すればいいのか。それはずっと議論してきたことでございますので、共同親権を選択できるということは家族法学者からしても賛成できることで多くの賛同を得ました。
そして犬伏参考人も言われましたけれども、やはり法律を作って、それで終わりというわけではありませんし、法律を作るにあたって整備ができているのかということも問題になるところであります。ここに書いてありますように法務省やこども家庭庁、関係省庁、裁判所などが離婚手続き前、離婚手続き中、離婚後の支援体制、また家庭裁判所の役割についてさらに検討を進めていただきたいということ。
やはり周辺の整備を進めていただきたいということがこの要望書の一つの主張したいところであったと思います。以上です。
武部新議長
大口くん。
大口善徳議員
斉藤参考人にお伺いをいたします。本当にですね、日々、大変な思いでですね、お話になっておる。本当にDVの深刻な被害ということをですね、お伺いさせていただいまして、本当に身の引き締まる思いでありますし、またこのDVとか、あるいはこの児童虐待についてですね、我々は戦っていかなきゃいけないということをですね、本当に改めてですね、決意をした次第でございます。
そういう中で一つはですね、裁判所のあり方についてですね。問題提起をさせていただいたのかなと思います。それについてはですね、裁判所の体制をしっかりですね。この民法の改正を機にですね、大きくこれは改革をしていかなきゃいけないと思います。
そういう点でこの裁判所に対する斉藤参考人の思い、お伺いさせていただきたいとともにですね。やはりこの医療でありますとか、あるいは学校関係でありますとか、様々な面のところでですね、この共同親権ということとの関係でですね。あるいは面会交流等々の関係もありますが、このおよびご支援機関がおよび腰になるということのご心配がご指摘されました。
ここはしっかりですね、やはり法改正に伴って様々な、このDVあるいは児童虐待の被害者の方々を守る体制というのは、むしろ強化をしていかなきゃいけないわけでありまして、それが弱くなるということは、あってはならないことだと思うんですが、その点についてのご意見を賜りたいと思います。
武部新議長
ゆっくりで結構ですよ。準備ができましたら、斉藤参考人。
斉藤幸子
私、先ほど私も発言いたしましたが、まず、DVへの理解が本当全ての問題であると思います。やっとの思いで別居して、子供のこと、生活のことを何とかやりくりしている中で、裁判所で事務的にことが進み、宗教のごとく、親子を素晴らしいものという考えを押し付けられます。
別居するまでに様々な葛藤があります。いっときの感情で逃げているからではないからです。しかしこのままこの家にいては危険だと思ってやむにやまれず別居しています。私だけでなく、他の被害者と話していても、直接お子さんを殴ったわけじゃないですよね。
殴ったとしても常にではないですよね。DVは夫婦の問題であり、親子の問題には関係ないですよねと。調停委員調査官から言われたとたくさん聞いています。裁判所の書面で住所を秘匿できても、DVを訴える道教や子供の安全面を配慮していないと思います。
DVについてもっとまずは理解してほしいです。現場に来てほしいです。実際に見てほしいです。当事者の話をもっと聞いてほしいです。DVに対して、DVに対して裁判所の中でDVに特化した方々をぜひ作っていただきたいです。答えになっていますでしょうか?
大口善徳議員
あとすいません。支援策について。
武部新議長
斉藤参考人、支援策について何かご意見ございますでしょうか?
斉藤幸子
すいません。答えになってるかあれなんですけども、実際は周りの人たちが訴えられる。自分以外に関わった人たち、人によっては裁判官だったり弁護士だったり、自分が関わっているかかわっている病院の先生だったりが訴えられているという。または行政の窓口で、なんで住所を教えないんだと怒鳴っている人がいるっていうのが、今の実際の問題だと思うので、そこをぜひクリアにしてほしいです。
大口善徳議員
乱訴についてはですね、断固として対応していかなきゃいけないと。これはこの委員会でもですね、議論なっているところでございます。
それからですね。高葛藤のですね夫婦がそれをどう低葛藤にしていくのか。そして夫婦間のいろいろな対立があるんですが、子供の利益のために、子供の方に目を向けていき、そして前向きにですねしていくことが非常に大事だと思ってますんで、しばはし参考人はですね、ご自分の体験もある。
それから、やはり裁判所ではですね、なかなかその高葛藤、低葛藤にという部分でですね、様々に課題もある。ですからご自分がですね、そういう事業を立ち上げられてですね、今実践をされているわけでございます。
そういう点で争わない離婚といいますか、例えば共同養育といいますか。そこに向けて、やはりADRでありましたりカウンセリングでありますとか、様々な形でですね、いろんなことを取り組んでおられると思います。
そういう取り組みについてですね、このやはり今のこの司法、また行政に対してですね、いろんな思いもあると思うんですがその点についてお伺いしたいと思います。
それからですね、あとこの犬伏参考人、山口参考人にはですね、やはり高葛藤、低葛藤にということにおいてやっぱり親ガイダンスとますかね、これ非常に大事だと思うんですね。その点についてあの、総合的な政策の中でですね、これ犬伏参考人にお願いしたいんですが、家事調停手続きにおける親ガイダンスの実施等ということで、父母の対立からこの利益に目を向けてもらう工夫をこれからやっていきますと、最高裁も言っているわけであります。この点についてどうなのか、どうやっていくのか、どうやっていけばいいのか。
そしてまたそれこそ山口参考人にはアメリカにおきましてですね、その親ガイダンスというものが、これを離婚なにせ離婚をする方についての義務化してですね。親教育をしていこうとそこについての、この参考になることをお伺いできればと思います。
武部新議長
それではまず、しばはし参考人よろしいでしょうか?
しばはし聡子
はい。ご質問いただきましてありがとうございます。まずちょっと自分の経験から先に申しますと、初めての離婚、弁護士を便りまして調停というところにいつの間にか運ばれてしまったというようなところがあります。
そこで相手に謝ってもらえるものだと思っていたんですね。しかしながら、感情の面を仲介する場ではなく、条件を決める場だということで、まずお金のこと、そして弁護士からもお金の何か表を出しなさいとそういった条件ばかりでした。
その中で私はずっと夫と直接やり取りをしてこんなことがつらかったんだってことを伝えたかった、そして相手にわかってもらいたかったというような気持ちがありました。
そんななかご相談者の夫と関わりたくないという同居親のお話を聞いていると、やはりあの夫からすごくつらい思いをされてこの気持ちわかってほしい。どれだけ辛い思いをしたのかわかってほしい。というような思いの方が多くいらっしゃいます。その中で別居親側の面会交流支援などですとその対になるべき親側の支援も行うことができます。
我々すごくメリットがあるといいますか、両方と関われる。そしてお子さんと関わってる姿全てを見れる面会交流支援者というのはすごく醍醐味だというふうに思っております。そうしますと、面会交流の現場では比較的お父さん側の別居親側にも穏やかにしましょうとお相手にありがとうを伝えましょうっていうようなことで仲介をする中わだかまりを解消しながら支援をしているんですが、面会交流は現場はうまくいったのにもかかわらずことまた離婚調停に戻るとそこで条件の闘争になるわけなんですね。
せっかくうまくいっているのに、またこちらで争いの火種になり、相手に疑心が深まり、そうするとやはり面会交流に後ろ向きになっていってしまう、後ろ向きになった時に対して別居がまた憤りになるという悪循環を繰り返して非常にもったいないことだというふうに思っております。
しかしながら私達が条件を決める立場ではないというとこなんですね。ですので司法の方でまずは争わないような話し合いをしていただくということがもちろんなんですけれども、何か弁護士でしたら司法関係者等、今度は民間団体がうまく連携できるようなそういったことがあることによって不要な争いは防げるというふうに常々感じているところです。
武部新議長
それでは、犬伏参考人よろしいでしょうか?
犬伏由子教授
はい。ご質問ありがとうございます。調停委員の中にも心理士関係の人たち、多様なバックグラウンドの方々がおりますので、やはり調停委員にどういう人たち、どういう人を選ぶかという調停員の人材についても重要なことだと思っております。
今、東京家裁に限りますと非常に事件数も多くありましてですね、午前1期日午後2期日入っております。そしてやはりメリハリのある調停進行を心がけてほしいという中では、私どもはかなり苦労しながら進めているところでございます。
そして親教教育のガイダンスも前はその期日ごとにこの時間帯を利用してくださいということでありましたが、今はそういうことをやってられないので、ずっと親ガイダンスの部屋でビデオを流しているという状況でございます。
それでも視聴された方に感想を聞くとですね。子供の前で大声で喧嘩しては、やはり子供には非常に傷つけたのではないかというお母さん、それからお父さんがおられます。発言を聞きますと、家庭裁判所で行っている親ガイダンスについても一定程度は効果を上げていると思っておりますが、より丁寧な親ガイダンスというものができればいいかというふうに思います。
そもそも家庭裁判所で調停にやってくるということ自体が、当事者にとっては非常に緊張感が漂っていることでございます。そういう中で進めているということもありますし、そして非常に調停で丁寧に行おうと言ってもなかなか難しいというところがあります。というのは、一つだけの申し立てだけではなくて、婚姻費用の分担面会交流そして離婚というふうに3点セットでやってくると、どの事件をうまく調停で話し合いを進めるかっていうことが非常に苦労しておりますけれども、私どもは生活費っていうのが日々のかてになりますので、生活費や面会交流について重点的に進めるといったようなこと、そして離婚の条件というのは離婚するかどうかということにも影響しますので、そういう複合的な事件を抱えながら、やはり当事者にとってどういうゴールを目指すべきかということについて話し合う。
そして子供さんがいる事件においては、子供さんをどういうふうに当事者が考えているか。そういったようなこと等に配慮しながら、頭の中でぐるぐるぐるぐる回しながらですね、相手親さんと相談しながら、今日はどういう話を進めていくか子供さんどういうふうにして暮らしているんだろうか。
日々の経済的な生活はうまくいってるんだろうかそういう複合的な問題を抱えている当事者が調停にやってきているという中で、私どもは最善を尽くすということに心がけているという次第です。
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問ありがとうございます。
アメリカにおける親ガイダンスのご質問です。ここにちょっと資料がありますので活用いたしますと、アメリカではコロナによってオンライン学習もありますが、対面で行われているところでイリノイ州で開発されたチルドレンファーストプログラムというものが、現在5州と129分で取り入れられているというところです。
裁判所でやるのではなく裁判所が外注してやりますので、そこの教室で、専門家の精神保健や心理学の修士号以上を持った専門家が講師として行います。まず第1セッションでは自分自身をいたわること、親がですね、そして離婚に対するこの年齢別による典型的な反応、反応と警告サインというものを学ぶ。離婚に関して子供たちが抱く一般的な質問に対する答え方というものも学ぶということと、あと離婚についてお互いが経験したことをディスカッションで語り合うということがまず第1セッションで行われます。
第2セッションでは親や子供たちが直面する問題として具体的に、他方の親の悪口を言う、子供を使ってた方の親の情報を得る、子供を通じてた方の親にメッセージを送る、子供に金銭的な問題を話す、子に個人的な相談をする。この目の前で親同士が喧嘩する。子の忠誠心を競い合うようなことに関するというものをビデオで見せたり、ロールプレイするなどして、そして講師がそれに代わる適切な養育行動を説明すると実地形になっております。これは外注しておりますので費用もかかりまして、大体50ドルから100ドルというのが幅があるみたいですけれども、各裁判所がどういうプログラムを選択するかというのは非常に外部の大学などのプログラムを作って頑張っているというようなところです。以上です。
武部新議長
大口くん。
大口善徳議員
ありがとうございました。また家庭裁判所の人的物的ね、あの整備をしっかりやっていかなきゃいけないってことも学ばせていただきました。本日、まことにありがとうございました。
武部新議長
次に道下大樹くん。
道下大樹議員
立憲民主党の道下大樹でございます。今日は大変お忙しいところ、4名の参考人の皆様にこのようにお越しいただいて、先ほど意見陳述をしていただきまして本当にありがとうございます。それではそれぞれの皆様に質問をさせていただきたいと思います。
まずですね、斉藤参考人に伺いたいと思います。お話されてる中で面会交流を含めてですね、交際まで5年かかったということでございますから、また離婚はまだ終わっていないということでございます。どのような今、不安をお持ちでしょうか?
武部新議長
斉藤参考人どうぞ。
斉藤幸子
裁判が続くことが不安です。DVを理由に離婚したいですが、DVを認められるのに時間がかかるので、早く終わる性格の不一致で離婚したいと思っています。しかし、離婚は成立しても、相手が面会交流を再度申し立てるかもしれません。
私が通院しているクリニックにも、うその診断書を発行していると、訴訟を起こす可能性もあります。私は家族、私に関わる全てを裁判に巻き込んでいくんではないかという不安があります。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
はい。ありがとうございます。
今回の民法改正案ではですね。子の利益、子の最善の利益ということが繰り返し出てきます。今回参考人の中で唯一でしょうかね。DV被害の、この今離婚協議をしている当事者という立場から見た、子の利益というものをどのように感じていらっしゃいますでしょうか。
どうやったら子供の利益を重視できるというふうに思われますでしょうか、伺いたいと大斉藤参考人に伺いたいと思います。
武部新議長
斉藤参考人お願いします。
斉藤幸子
子の利益が、人それぞれの価値観で判断されていると感じます。今でさえ裁判所はDV虐待を見抜けていません。
共同親権が導入されたら、今よりも裁判所が忙しくなるので、一つの事案にしっかり時間をかけてもらえず、適当な扱いになってしまわないかという不安があります。私の場合もそうですが、面会に応じないと親権を失うよと調停委員や調査官から言われたり、さらには面会に応じないなら、養育費減額に応じなさいと。代理人がついていない同居親に強く迫った裁判官もいたと聞いてます。裁判所に対する不信感はみんなが思ってずっと根深いです。裁判所が、裁判官や調査官、調停委員に対して、DV研修をしっかりと義務付けてほしいなと思います。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
はい、ありがとうございます。そこで今、裁判官や家裁の調査官、そして調停委員の方々のお話にもなりました。もしこの民法改正案が成立、そして公布、施行され、もしですね、斉藤参考人の一方の配偶者が共同親権親権変更を家庭裁判所に申し立てたと仮に仮定したと仮定した場合、このDV被害を受けたということをどのように家庭裁判所の裁判官や調査官調停委員の方々に説明できると思われますでしょうか?
そして家庭裁判所、それらの裁判官の皆様などがDV被害を認めてくれるというふうな自信はお持ちでしょうか、伺いたいと思います。
武部新議長
斉藤参考人どうぞ。
斉藤幸子
私を人格否定するメールのスクショ枚記録でしか残っていないのですが、それで説明するしかないなと思っています。他の方もなんですけども、調停で、DVの記録を提出しても、「夫婦げんかのいっときの暴言ですね」と判断されてしまったっていうのを受け取られたというのを聞きますので、裁判所がDV被害を認めてくれるっていう自信はありません。
武部新議長
よろしいですか。道下くん。
道下大樹議員
はい、ありがとうございます。ちょっとそういう自信が持てないっていうことはこれは斉藤参考人のみならず、今実際にDVが受けるもしまた、これから今は結婚して、仲睦まじい関係かもしれませんが、今後離婚するかもしれないという持つ父母、そしてこれから結婚しようかな、子供を産み育てようかなというふうに思っている若い皆さんにも大変大きなショッキングなお話かというふうに思います。
斉藤参考人ですね、とはいえ家庭裁判所の裁判官、調査官、調停委員の方々にですね、このようになってほしいという、例えば先ほどもお話がありました更なる犬伏参考人からは、講習を受けるだとか、そういったことはあまりましたけども、何かこのように、ぜひとも取り組んでいただきたいというお話ご意見はお考えはありますでしょうか?
武部新議長
斉藤参考人。どうぞ準備ができましたらご発言をお願いします。
斉藤幸子
………。実際に現場の支援をしてもらうっていうのを実施したらいいと思います。
武部新議長
よろしいですか。はい。道下くん。
道下大樹議員
ありがとうございます。次にですね、山口参考人に伺いたいと思います。日米家族比較法の研究をされてきたということでございます。私もいろいろと調べてみますと、この欧米諸国の離婚後の養育法制というもの、そういう家族法についてはですね、法律用語としては子の親権ということで、ペアレンタルオーソリティという言葉が使われてきたということでございますが、その後ですね、カスタディということで、これはペアレンタルオーソリティのオーソリティが子の権限であって、カスタディ=監護という言葉に変わり、そしてさらに今、今現在ではペアレンタルレスポンスビリティ=レスポンスビリティっていうのは親の責任というですね、権利から、だんだんその親の責任なんだというふうに変わってきているというふうに思います。
この日本の法律との対比で考えると、権利権限からか、子供の監護保護、そして責任、さらに養育といった大きな流れで、欧米諸国が来ているんじゃないかなというふうに思うんですね。だから、今先ほどもしばはし参考人も共同養育というお話、これを非常に重要視されてます。
なので、私自身は、このような今のような、親権という言葉、これはオーソリティっていうね、ペアレンタルオーソリティよりも、海外はだんだん日本のようなこの形というか、何でも親権、オーソリティというペアレンタルオーソリティというよりは、だんだん日本の法律などに近づいてきたのではないかなというふうに思うんですね。
アメリカの一つの州である。ルイジアナ州では婚姻中は共同親権なんですけども、離婚したらまず親権がなくなるということなんすよね。親権がない、オーソリティがない。その後どうなるか監護とか養育とか、あとは親の責任である、レスポンスビリティということに変わってきてるんです。
その上で、元々この離婚前離婚協議中、そして離婚後の様々な相談支援体制などが充実しているとちゃんと契約するというものがあって、だんだんこの親の責任をどうするのかということに変わってきているというふうに思うんですが、そう考えますと、この共同親権というペアレンタルオーソリティを今、日本がちょっと1周回って、欧米では1周回って遅れて、共同親権、ペアレンタルオーソリティというものを導入する必要があるのかなというふうなふうに思うんですけども、この点いかがでしょうか?
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問ありがとうございます。非常に多方面からご指摘いただいて必ずしも私の理解と一致しているかちょっとわかりませんけれども、私が今までちょっと学んできたところを申し上げますと、まずカスタディという言葉でアメリカは来ておるということなので離婚後はここでも意見陳述では、親権ではなく監護権という言葉で説明させていただきました。
はい、ですからカスタディという言葉はありました。でもこれに関しましてもやはり保護とか管理ですとか、校則というような言葉の意味がありますので、おっしゃられたようにペアレンタルレスポンスビリティとか親責任、そして具体的に何をするのかということで、養育時間とか養育計画という言葉に変わってきたというのはご指摘の通りでございます。
しかしですね。アメリカでは、ペアレンタルライツというこれが法律用語としてあるんですけれども、これが憲法上の権利として一つ存在していますのであえてこれは親の権利と言って親権ではなく親の権利と言って監護権とは分けて私は考えておりますが、この憲法上の親の権利とは何なのかというと、やはり国家からむやみに権利が制限されないというところで非常に強い権利を持っております。
ですから日本よりもちょっと保守的ではあるとは思いますが、その第三者からもそして国家からもむやみに権利を制限されないという意味ではアメリカは、依然としてペアレンタルライツは持っているというふうに思っております。
しかし私人間におきましては、ご指摘のように親の義務ということ、あるいは具体的に養育ということに変わってきていますので、これはおっしゃられた通り、実態を表すというものでいいと思います。
日本の親権についてですけれども、やはり同じように日本は憲法上の権利とは議論されておりませんので司法上で第三者に対する親の権利ですとか、国家に対する親の権利という意味も含めて親権というものが残ったと思っておりますので親の責務、義務、親権ということも含めて、親権というふうになっていると理解しております。以上です。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
はい、ありがとうございます。日本の今、我々も含めてかもしれません。私はペアレンタルオーソリティ、カストディ、私からレスポンス日ってしっかりと分けて議論しなきゃいけないというふうに思うんですね。
法務省が外務省を通じて海外の親権についての調査を行ったものもですね、ちゃんと詳細な文章を調査結果を見るとですね、ちゃんとそのレスポンシビリティだとか分けられてるんですけども、その調査結果の概要を、法務省がまとめた概要についてはですね、もうそれ全部ひっくるめて共同親権って言っちゃってるんですよね。
だから、その概要だけ見た場合には他の海外でも他の海外では共同親権やってるんだ。だから日本も導入しなきゃいけないんだ。というように受け止める方々が多くなってるんじゃないかなというふうに思ってまして、今山口参考人がおっしゃったように、本当にそれはだんだんその先ほども共同親権の今日話なんすけども共同監護ということでやっぱり言葉を分けて使い分けて使われたということで、これはしっかりと認識されてるんだなと思うし、この点も我々は意識して共同親権が外国で当たり前なんだではなくて、だんだんそれが看護やまたは子の親の責任とか養育とか、これ日本の今の現行法制度でも、子の監護とか共同養育とかは、これはできるわけですので、私はそういった意味では私の立場と締めれば、共同親権を導入しなくても、皆様がやろうとされてることはできるんじゃないかなというふうに思ってます。
次にしばはし参考人に伺いたいと思います同様のお話なんですけども、今本当に取り組んでおられることで一つ共同親権で共同養育ということなんですけども、また支援の強化ということですけども、私自身は法律を変えなくても、そうした皆様の活動だとか、本当に離婚後も何とか子供の争いをなくすと親が争うないことということで子供の望むことを進めることは、今の現行法でもできると思うんですが、どのようにお考えでしょうか?
武部新議長
しばはし参考人。
しばはし聡子
ご質問いただきましてありがとうございます。共同養育を行うにはまず離婚した後2人で育てるんだという価値観がまず世の中にまだ浸透していない。これがおそらく単独親権制度っていうことが根強くあるのかなというふうに思っております。
共同親権を導入されることでご不安な方はもちろん単独親権という選択肢が残っている中で、共同親権導入というソーシャルインパクトと申し上げてよろしいのかわからないですけれども、大きく離婚した後もう2人がきちんと新規を持って関わらないといけないんだよっていうことをここで潮目として変えていくことで共同養育をするのが当たり前なんだという共同養育がデフォルトの状態から話し合いが進むことができるというふうに考えております。という意味で共同親権と共同養育は別物だよねという議論もあるんですけれども、極めて相関性があるものだというふうに私は考えております。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
はいありがとうございます。共同養育をするっていうか、親のそう考えると親の権利というよりは、親の共同の権利というよりは親の共同の責任っていうことなのかな。
だから先ほど申し上げた通り、オーソリティじゃなくて、レスポンシビリティなんじゃないかなというふうに思うんですよね。だからそういった点が海外では、しばはし参考人がおっしゃるようなことを広めるためには、しっかりと親が離婚後もこういうことをしなきゃいけないんだよっていう親の責務を、今いろいろと法を改正したりなんかしてやってると思うんですよね。
それでもちょっと親権というものにはこだわられるんでしょうか? 共同親権というものにこだわられるんでしょうか?
武部新議長
しばはし参考人どうぞ。
しばはし聡子
ご質問ありがとうございます。いろんな親の責任ですとか親権の行使というようなところの切り分ける責任の方でいいのではないかというご質問などだったと思うんですけれども、まずきちんと先ほど申し上げたようにお互いがきちんと責任を持った責任といいますか権利を持って親権を行使したい。その上で離婚をしたいという方も多くいらっしゃっています。お互い親権を持つことが今できないこの法制度だからこそ離婚お互い合意しているのにできないという方も当然いらっしゃっています。ですので難しい場合には単独親権という選択肢がある上ですので、きちんと親権という行使をするものを親が共同親権ということを選べる共同親権で離婚ができるというような制度というのが必要だというふうに感じております。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
はい。選べる制度であればいいということですね。はい、わかりました。失礼します。次に犬伏参考人に伺いたいと思います慶應義塾大学名誉教授であられるとともに、東京家裁の調停委員もされているということでございます。
この法律、民法改正案がですね、仮に公布施行された場合、2年以内にごめんなさい。この改正案が成立された場合、公布後2年以内に施行されるということでが記載されております。いろいろとこの後、この公布後いろいろな準備などが必要になってくるというわけでありますが、先ほども斉藤参考人のお話がありましたし、犬伏参考人からも家裁の人員の増強だとか施設の拡充というものが必要であろうというふうにおっしゃいました。
その点についてなんですけども、施設に関しても今建設費が高騰したり人材が不足しているということ、それから裁判官を増員すること、調査官、今裁判官よりも少なくて1500~1600人ということ、非常駐のとこもいるし調停委員の講習も結構大変で人々の考え方を変えるのは大変重要かと思いますが時間がかかると思います。
公布後2年以内で施行するということは、この時間というのはこれで十分というふうにお考えでしょうか?
武部新議長
犬伏参考人。
犬伏由子教授
直ちにそのご質問に答えるということは難しかろうと思いますけれども、コロナ禍のときにですね。東京家裁の場合は庁舎が繋がっているんです。下の方で。ですから高裁などの建物とかそういったところを使うということは行っておりました。
ですから、やはり庁舎を融通するとかですね、公的な機関というものがあるということを利用するということで、やはりやっていくというふうにしなければならないというふうに思っております。
それから別に2年後に行って始まるという話ではなく、常日頃から調停委員や裁判所の裁判官は様々な共同した研修、研修であるとか研究というものを続けておりますので、これからも私どもはやはりDVに対する理解であるとか、様々なケースについての計数研究というものを調停委員もそれから調査官も裁判官も続けております。
そういう中で法案の施行を迎えるということについては、十分に対応していくというふうには思っております。
武部新議長
道下くん。
道下大樹議員
4名の参考人の皆様本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
武部新議長
次に美延映夫くん
美延映夫議員
日本維新の会教育教育無償化を実現させる会の美延映夫でございます。
今日4人の参考人の皆様、ご意見を貴重なご意見ありがとうございます。まず4名の皆様全員お伺いしたいのですが、子の利益についてに私質問させていただきます。賛否はあるとしてもこの利益が重要であるということは、これはもう異論のある方は1人もいらっしゃらない、いらっしゃらないと思うのですがそこで離婚後の親子関係を考える上で、子の利益はどのようなものかお考えかそれぞれのご意見をいただけますでしょうか?
武部新議長
それではまず、犬伏参考人からお願いいたします。
犬伏由子教授
なかなか難しいご質問だと思いますけれども、私どもやはり子供が成長発達する権利というものを尊重するという、子供の権利条約の理念というものがやはり具体的に子供たちの生活に落ちていくと根ざしていくということが重要だと思います。
そして安心して日々を送れるということをやはり尊重しなければいけませんし、子供の権利条約上の発達する権利であるとか、意見表明権であるとか、そういったものをやはり私どもが受け止めるということが子供の利益に繋がるというふうに考えております。
非常に抽象的かもしれませんけれども、やはり日本において子供の権利条約を批准した今年は30周年になる。そのことをかみしめながら、子供の利益というものを考えていきたいというふうに思っております。
それから親権という言葉についても今回の法制審ではやはり婚姻中の親権という言葉も見直さなければいけない。親権という概念自体もやはり見直さなければいけないということもあります。いかに子供の利益を尊重する親の他責務でありますとか、親がやはり子供を育てることに喜びを感じられるような、そういった仕組みというものが必要だというふうに思っております。
武部新議長
次にしばはし参考人お願いいたします。
しばはし聡子
ご質問いただきましてありがとうございます。子供の利益、何度も申し上げておりますが子供にとって大事なのは親が争わないこと、そして親が争わない中で子供が自由に発言をして親の顔色を見ずに両親と関わる機会を持てること、それによって子供が親から愛情を受けているんだということを確信できるようなこと。それが子の福祉だというふうに考えております。
武部新議長
次に山口参考人お願いいたします。
山口亮子教授
山口です。子の利益というものを、多方面から考える必要があると思いますけれども私の見解では子が双方の親から愛情と養育を受け、交流し続けることがまず第1原則的な子の利益だと考えております。
そして親の関係が悪化しまして、これまで一緒に通りに一緒に過ごせなくなるにしても、離婚は自分の責任ではないのかと子供が思うこともありますので、そういう離婚は子供の責任ではないということ、そして離婚しても子供に関心を持ち続け、子供の養育には責任を持ち続けるということを親が環境を整え、子に言動で示すということが、この利益に繋がるのではないかと思います。
また子供は離婚の紛争があるときには蚊帳の外に置かれているということについて不満と苛立ちを持っているというふうに言われておりますので、今何が行われているか説明することがやはり子供の意見を聞く前に重要なことだと思いますが、それでも、紛争の一つ一つ激しい争いを知らせるのではなく、また子供に相談相手として自分の気持ちを吐露することは、子供にとっては良くないというふうに言われております。
そして子供の意見を聞くということがよく言われますけれども、子供にどちらかを選ばせるとか、忠誠心の葛藤を起こさせるということは子供の利益にはならないと思いますので、離婚に際する子供の利益というのは慎重に多方面から考えていく必要があると思っております。以上です。
武部新議長
斉藤参考人。よろしいですか。
斉藤幸子
子供の利益は安心安全が守られることだと思います。また、その子供を育てる同居親の安心安全が守られているという環境でいることが子供にとって大事だと思います。
それにプラスして、父母だけじゃない。母だけじゃない、子供を助けてくれる人がいるということが大切だと大事だと思います。以上です。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
ありがとうございます。次に山口参考人お伺いいたします。現在、示されている改正案では、父母の合意が整わない場合は、裁判所が命じるその要件には父母の関係、それからDV虐待の恐れなどが示されております。
DVや虐待は別として、父母の意見が違った場合、つまり一方親が拒否した場合も米国では、共同監護を認めることが一定以上あるとお聞きしましたが、なぜ米国ではそのような考えをとっているのか、教えていただけますでしょうか?
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ありがとうございます。日本の例につきましてはしばはし参考人が良いご説明をされたので、非常に私も参考になりました。アメリカではおっしゃるように父母の意見の相違があったとしても合意ができていないとしても裁判離婚で一定数共同監護を認める場合があるようです。
条文には親の協力体制があるということを絶対条件にしているという州は極めて少ないですし、そもそも合意がないため訴訟に持ち込まれますので、そこで切ってしまっては裁判になりませんので一方、親が共同親権共同監護をしたい、しかしいた方がしたくないというときに裁判所は何を見ますと見るのかと言いますと、やはり子供と両親の関係性を見るということです。
子供がまず従来両親との良好な関係性を保ち、離婚後もそれを継続していくということが、子供のニーズに叶い、子供の利益にかなうと裁判所が認めると、それ共同監護が認められることもあります。そして親が自分たちの争い切り離すことができる能力があるかとか、また親教育や弁護士等の仲介によって、これから協力者としての素質があるのかということも見られるということです裁判官にインタビューした研究のアメリカの調査によりますと。当初はうまくいってない父母間でも徐々にビジネスライクに協議し合うようになったというケースもありますので、1998年の調査と2011年の調査では、2011年の調査で裁判官は共同親権が合意がなくてもそういうことを付与するということを認めているという結果が出ております。
また2017年にニューヨーク州の判例がありますけれども、これは親子関係は良好で、大筋では子の養育決定に合意しており、そして細かい子供の課外活動や生活について合意していない。なぜかというと相手に権利を渡したくないということが主な争点というところになりまして、裁判官は父親の監護権をゼロにするのではなく、子供の人生において両親が役割を果たすことが重要だということで、共同法的看護と面会交流を付与しました。
先ほども述べましたけれども、アメリカも裁判離婚ではありますが9割は合意して良い計画書を作成するということですので一、二%の際訴訟離婚になった場合にはやはり高葛藤で共同監護は無理なケースが多いのではないかと私も思っております。
では9割近くがどの程度を合意しているかというとやはり7、6から8割が共同法的監護に合意していますので、ここに立法の意義があるのではないかと思っております。条文は裁判規範ではありますけれども共同監護法制というものがあるということで、人々の行為規範になってきますのでそれを目指して高葛藤以外の親にとっては合意を目指すという有効な立法になっているのではないかと思っております。以上です。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
ありがとうございます。次に転居、居所指定権についてお伺いをいたします。今回の改正案では子の監護をすべき全ての者が指定された場合、居所指定権は監護者に属するため、監護者となった一方の一方親の独断で引っ越し、つまり連れ去りにより子供が会えなくなってないものというような懸念意見が出ておりました。他方、具体的には子を連れて転居をする場合、60日前に他方親への通知義務や同意が必要であること、つまり監護者が居所指定権を持つわけではないと理解をしております。
子の略奪に関しては居所指定権が父母のいずれかにあるかを問わず、今後我が国でも紛争が生じる可能性が高いと考えております。転居に関して方が合意できない場合裁判所が定める場合に米国の裁判所はどのような観点で判断を下すのか。それを教えていただけますでしょうか?
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問ありがとうございます。アメリカでも転居によって子の連れ去りという事件は起きておりますので、やはりそれの防止策として、旅行するとき、転居する前60日には届けなければならないというふうになっております。
ではどういう場合に裁判に持ち込まれるのかと言いますと、転居はしたいけれど合意がとれないというときですね。そういうときには訴訟になりますので、転居したい親が子の利益になるということを証明するか、あるいは転居をさせたくない親が転居することが子供の不利益になることを証明するかという基準がありますので、各州ではそういう基準をとっております。いずれも証拠の優越により証明すればいい話なんですけれども、転居する親に証明責任を課すということは非常に転居がしにくくなります。
ここは訴訟上の問題ですけれども主にでは裁判でどのようなところが見られるのかと言いますと、転居する親がその転居の理由に転居の転居理由の誠実さがあるか。というところが見られます。例えば別居親と子供の間を引き離したいがために転居するんだ、そうではなくて転職や再婚でやむを得ず転居したいんだとですからその理由が見られます。
そしてこのように転居の制限があるというのは、今まで面会交流を別居親と行ってきた親子に関してそれを保護するためですので60日間の間にそれの代替策、転居した後でも面会交流が充実して履行されるのかということを計画し直すという選択肢が与えられておりますので、そういうことが確実にできても残された親が不合理に反対しているのではないかということが争われまして、アメリカでは訴訟上厳しい基準はありますけれども、全く転居が許されないわけではないということです。ただし、悪意のある転居をする親がいる場合には、別居親が監護者変更の申し立てをするという争いまで発展していきます。
予防という意味では転居することについては同意を得るということは非常にアメリカでは良い制度ではないかと思っております。以上です。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
次に親教育についてお伺いしたいんですけども、アメリカではほぼ全州にわたって親教育のプログラムがあると伺っております。裁判所はそれらの教室の受講を指示すると伺いましたがそれはどのような場合どのような講師のもと、そして何回ぐらい受講するするのか、もしそれを受講しないとなると共同監護ができないのか、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか?
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
はい、ありがとうございます。先ほどの親ガイダンスについては少々ご説明しましたので、その概要といたしましては全州で義務付けてはいるといいましても、裁判所がこの親教育プログラムを受けろというふうに示しますので、それは裁判所の裁量によっておりますし、全て未成年の子がいる親にプログラムを課すところと、紛争している親に限りますというふうな違いがあります。
そして簡単なところですとオンラインで受講して4時間ですとか、10時間ですとかそういうプログラムを受講し、そしてその受講した証明書を裁判所に出すということによって裁判離婚が認められるというようなケースをとっているフロリダ州もありますし、あるいは実地として対面でやることを求めているところもあります。それも1時間のものから8時間または10時間以上のものもありますし、先ほど申し上げました料金もかなりかかるというところで各州各郡で違いはございます。以上です。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
共同親権および監護の分掌が運用次第で大きく発展すると、先ほど山口参考人が述べられておられましたが、具体的にどのように運用すればよいか、お考えを聞かせていただけますでしょうか?
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
はい、ありがとうございます。監護の分掌と言いましたけれども766条にはそれ以外にも子供のその他子の監護についての必要な事項ですとか親子の交流ということも決められておりますので、これについて、やはり取り決めをするということが非常に重要になってくると思います。
これまで単独親権でしたので何も取り決めずに履行することができた。そして子供は、子供も一体これからどうなるのだろうという方針も指針も見えない中で過ごすことになっていたところ、親がやはり環境を整えて自分のためにこれからの生活を計画してくれるんだという意味では協議し計画書を作るということは非常に重要になってくると思います。
監護の分掌を新しくできましたものですので、先ほどしばはし参考人も言われましたけれども協働ではなく、分掌ということなので分担してやればいいんだということで何か一つ教育にとっても教育全体を母親が担当するとか、あるいは医療は父親が担当するとか、いや、そうではなくって、教育の中でも進学や塾や、課外活動や留学一つ一つを分担するのか、共同でやるのか、そういうことを決めるということになろうかと思います。
いろいろなものが考えがあると思いますけれども、これからの計画書のサンプルの作成や手引き書をどのように日本の政府が作っていくかというところに関わってくるのではないかと思います。
そしてやはり転居に関しては無断転居をしないということも766条の親子の交流というところの協議で決められるのではないかと思っております。以上です。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
次にしばはし参考人にお伺いをいたします。夫婦の感情と、それから親子関係を切り分けて考えること。子供にとっては双方とも親であるということをマスコミのインタビューで私も拝見しました。私も実際その通りだと思います。
ただ、そうは言っても夫婦の感情と親子関係を分けて考えるのはかなり難しいと考えますが、そのあたりどうほぐしていけばよいのかお考えをお聞かせいただけますでしょうか?
武部新議長
しばはし参考人。
しばはし聡子
ご質問いただきましてありがとうございます。同居親の葛藤をどのように下げるかというご質問かと思うんですけれども、まずは圧倒的にその思いには共感をもちろんいたします。会わせたくないほどにつらい思いを相手と関わりたくないことにつらい思いを同居中にされてたというその事実は事実です。
ですのでそこをきちんと共感した上で、ここはちょっと若干正論にはなりますが、お子さんご自身がお子さんだったらどんな気持ちかなっていうようなことを問いかけてみたりですとか、するようなことに対してお子さんが自分自分自身がお子さんに何か相手の悪いことを言ってたりとかしたら、自分自身もしお子さんの立場だったらどうですかみたいなことをやり取りをしていくというところが一つです。
一方、同居親だけで葛藤が下がるわけではなく、対になる別居親側の伴走というのも必要になって相互作用してくるわけですね。
とはいえ、自分自身が子供のためにやらなきゃと思っていても、別居親側がすごく攻撃的でというようなことになるとやはりその気持ちが失せてしまうということがあります。
ですので願わくば面会交流支援などを通して相手側と関わることができるのであればお相手側もきちんと頑張って頑張って同居中の葛藤とは切り分けで親子交流を頑張ろうとされているのであれば、まずそこに対してありがとう一言言うだとか、何か共同養育をしづらい相手にご自身がなられているんですよということを提言するようなこともあるんですね。
はい。ですのでどちらかの肩を持つわけではなくどちらかのどちらとも味方であろうというようなことをすることで葛藤を下げるということを行っております。
武部新議長
美延くん。
美延映男議員
ありがとうございました。終わります。
武部新議長
次に本村伸子くん。
本村伸子議員
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は4人の参考人の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございます。まず質問をさせていただきたいと思います。まず、あの斉藤参考人にお伺いをしたいというふうに思います。先ほどお話の中でパブリックコメントのみんなの声が消されてしまったというふうに感じているんだというふうにおっしゃられておりました。
その点についてぜひもう一度意見を教えていただきたいというふうに思っております。そして消さないでほしいということで取り組みも行われているというふうに思いますけれどもその点お示しをいただきたいと思います。
また私もですね、このパブリックコメントの個人情報をマスキングした上で、公開をしてほしいということを何度も求めているわけですけれども、まだ私どもの手元にも来ておりません。法務省の説明では、意見の概要暫定版というものにまとめたんだからいいんだという話があるんですけれども、その点当事者としてどのような思いか教えていただければというふうに思っております。
武部新議長
斉藤参考人。
斉藤幸子
私のようなDV被害に遭った人たちは本当に日々隠れて生活しています。なので、少しでもパブリックコメントを書けば、自分たちがこういう部分で苦しいんだ私のように裁判所でDVや虐待、見抜かれてません。
そんな中で、形だけ気を親と子の親子一緒に仲良くすることが子供のためだっていうことの一辺倒だけでどんどん話が進んでいくということにすごい恐怖を持って、みんな一生懸命自分の具体的な事例をもうパブコメなんで自分の内容が公表されてもいいという覚悟で書きました。
しかし、今おっしゃっていただいたように、公表されておらず、私達が書いた言葉というのはどこに消えてしまったんだろうという気持ちでとても落胆しています。
現行法でも離婚後共同養育、共同監護、できるという内容になっています。親が子供のために責任を持つために意識を変えるため、共同養育と共同監護できるために共同親権を入れるんだっていうのがとても納得がいっていません。親権と面会交流等、養育費は全く別物です。戻ってしまいますが、パブコメで約8000件の意見が寄せられて、個人の意見では3分の2が共同親権になるのには反対だ。慎重にしてほしいということを伝えています。中間試案を読むこと自体がとっても難しかったです。皆さんフラッシュバックを起こしながら、寝る間を惜しんで書いたものを無視することは、国民を無視しているのと同じなので、とても許せません。以上です。
武部新議長
本村くん。
本村伸子議員
ありがとうございます。今日も様々な恐怖の中、こうやって同じ思いをされている方々の声を届けようということで来てくださったことに本当に心からの敬意と感謝を申し上げたいというふうに思っております。
昨日の法案審議の中でもですね、法務大臣から、この法律によって例えば単独行使、急迫の場合はどういう場合かということも含めてですね、様々紛争が多くなるのではないかというふうなことが法務大臣からも認められました。
裁判所からDVや虐待を軽視するという被害当事者の声は今日も聞かれたわけですけれどもそういう現実があると。
そして裁判所のですね今の体制施設、全く不十分だと。そして子供をパートナー弁護士制度、公費の弁護士制度ですとか、あるいは訴えられた側、例えば経済的に困難の方が訴えられた場合に、民事法律扶助を使ったらいいじゃないかと言われんですけどそれは本当にハードルが高い。
こういう中でですね、今回この法律通法案によってですね、新たな人権侵害の命のリスクが、拙速な場合ですね、起こってしまうのではないかというふうな私は危惧を抱いているんですけれども、これについては4人の参考人の皆さんにお伺いをしたいというふうに思っております。
武部新議長
それではまず犬伏参考人、お願いします。
犬伏由子教授
はい、ありがとうございます。今のご指摘を非常に重要なことだと思っておりますけれども、私としては非常に今の現状が不足しているということを訴えておりますけれども、しかしながら、やはり家庭裁判所の人的あるいは物的整備というものについてのご理解をいただきたいということで若干お話をしたという面もございます。
しかしながら今、家庭裁判所では、やはり安全を重視するということを非常に重視していると思いますので、取り組みは進んできております。今後もやはり安全、人の命が危険にさらされるようなことというものについては、今も配慮していますし今後も一層配慮しなければならない。
とりわけ今障害を抱えている高齢者の方々も来ておりますし、様々な人たちが来るというところが家庭裁判所であると。その家庭裁判所の役割というのを十分に果たせるようにというふうに考えておりますので、裁判所において危険な状況が発生するということについては極めて私どもとしてはそこを防止しなければいけないということを今も十分に心がけておりますし、今後もやはりその点については十分家庭裁判所の役割を果たさなければいけないというふうに思っております。
武部新議長
次にしばし参考人お願いいたします。
しばはし聡子
ご質問いただきましてありがとうございます。裁判所の運用のところのお話ではあったかと思うんですけれども、必要に応じてDVで相手と関わることが難しいというようなときには適切に支援の利用ということを裁判所の方からご提案いただくというようなこともあろうかとございます。
ですので裁判所だけ、調停委員だけということではなく支援団体そしてですね私が提言したのは弁護士の立場の方ですね。がやはり依頼者ファーストということはそれが責務なので致し方ないなと思うんですけれども、子供を会わせたくないという側についた同居親についている代理人はできるだけ会えないようにするだと、一方で攻撃的というと語弊があるかもしれませんけれども吊り下げは誘拐だと相手を罵るような部屋に対して、いやもう監護者指定をして3点セットして、何あの相手とやっていきましょうみたいな感じでお互いの日をお互いに火をつけてしまうようなことがより対立構造になってよりDVが深まってしまう。予期せぬ形でよりお互いが傷つくというか憤りが増してしまうというような構造になってしまっているのではないかなと思っております。
調停委員の方々も今おっしゃられたように、できる限りのことをされてると思うんですがそこだけではなく司法関係者そして民間団体、皆さんで取り組むべき課題なのではないかなというふうに考えます。以上です。
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問ありがとうございます。
DVにつきましてはまだまだ日本の制度は足りていないと私も思っております。これは裁判だけではなく協議中、同居中ですとか別居中においても被害者が安全安心に暮らせるようにするには裁判以外でも何か制度を作らなければいけないと思っております。
そして離婚に関わらずDVに関して緊急保護命令ですとか臨時のものそして継続的なものを分けて裁判所で的確に迅速にされるような制度が作られると良いと思いますし、シェルターもまだまだ足りていないと思います。
シェルターにおきましても非常に制限が強くてスマートフォンなども預けられたりする非常に厳格な中で生活をしなければいけないというところで、そういう人が生活できるような十分なシェルターというものも作っていただきたいと思っております。
アメリカの例ですけれどもシェルターに行ってでも親子の面会交流が行われている場合があるようですので、それは安全を確保して、そして親子の交流を絶やさないようなことというものは、シェルターでも、できる人たちもいるのであれば、やっていくことも方策として考えるべきではないかと思います。
それともう一つ子供の苦悩について、先ほど親教育というものがありましたけれども、子供に特化した子供の意見を聞く、どうしてほしいとかではなく子供が今何に悩んでいるのだとか、これからどうなるのか不安だとか、日本の制度はどうなっているのかとか、そういうことを知らせたり、子供が自由に語られる場があってそこでDVなどの発見だとか認定だとか行われればいいのではないかなというふうに考えております。以上です。
武部新議長
斉藤参考人どうぞ。
斉藤幸子
このまま共同親権になると本当に人権侵害になると思います。子供の利益である子供の安心安全が損なわれることがとても心配です。実際に6年間の間に16個の裁判を起こされた人がいます。
裁判官を訴えたり、診断書を書いた医師を訴えたりすることも珍しくありません。自分自身が訴えられることはもちろん苦痛ですが、助けてくれた人が訴えられることは、そのうち誰も助けてくれなくなるのではないかと思うと絶望的に苦しい思いだそうです。
誰のための法改正なのかを改めてしっかりと考えてほしいです。以上です。
武部新議長
本村くん。
本村伸子議員
ありがとうございます。山口参考人にお伺いをしたいんですけれども、私の手元にアメリカ上院下院委員のですね1決議というものがあるわけですけれども、そこの中にですね、アメリカでは2008年以降、少なくとも653人の子供が離婚別居監護権面会交流養育費などの手続きに関与した親によって殺害されており、多くの監護親の反対を押し切って家庭裁判所が面会交流を認めた後に殺害されたものであることがわかっているというふうに両院一致で決議の中でその指摘をされておりまして、それで子供の安全は監護権および面会交流についての司法判断における最優先の事項と決議をされておりますけれども、その後どうなっているのかという点教えていただけたらというふうに思っております。
そして先ほども被害者の方から乱訴のような形のお話があったんですけれどもその対策についてアメリカではどうなっているのかという点を教えていただければと思います。
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問いただきましたけれども私はそのところは存じ上げておりませんので申し訳ございません、お答えしかねます。失礼いたします。
武部新議長
本村くん。
本村伸子議員
先ほども被害者の斉藤さんがですね、世界ではこういう事例があるからそれをしっかりと検証するべきだというふうにおっしゃっておりました。そういう中で先ほども資料、斉藤参考人からお示しいただきましたように、日本でも面会交流の中で子供が殺害される。あるいは妻が殺害されると、あるいは暴力性虐待を受け続けていたという事例があるんですけれども、この点に関して最高裁などにですね、やはりこういう点をちゃんと日本としても検証するべきではないかということを申し上げているのですけれども、それはしていないというようなお話を聞いているのですけれども、この点について日本のこういう事件についてしっかりと検証するべきではないかというふうに思いますけれども、4人の方にお伺いをしたいと思います。
武部新議長
それでは、犬伏参考人お願いいたします。
犬伏由子教授
今のご指摘については受け止めたいと思います。なかなか裁判所というのは裁判所を出た後のアフターフォローまではできにくい部分がございます。しかしながら他国におきましてはですね、やはりそういった裁判所で合意をした後についての事件、もちろん日本においても面会交流の再調整の事件での事件といったようなものがありますので、そういった形で関わるということは、今後ともありますしやはり裁判所としてももう少し間口を広げるということのご指摘だというふうにお伺い受け止めておりますので、そういった点についてはいろんな意見交換会がありますので、上げていけば行かせていただければと思います。
武部新議長
しばはし参考人お願いします。
しばはし聡子
ご質問いただきましてありがとうございます。裁判所内の仕組みについて私は専門ではないのでお答えできないんですが、DVをされたと言ったことに対してちょっと大事な表現といいますか、よく虚偽DVなんて言葉があるかと思います。相手はやっていないとでもこちらはやった。そこにおいてより葛藤が上がるのはやられたのに謝ってもらえないやってないということなんですね。
ここはケースにはよるとは思うんですけれども、あの明らかにされてしまってつらかったということを発信をされているのであれば、自分はもしかしてやった覚えはないのかもしれないけれどもそのような思いをさせてしまったんだねということをきちんと振り返って互いに歩み寄りをするというようなことが非常に大事であって、これをされたから最高裁に上げて裁く必要があるというようなこの結果なんていいますか最後の策というよりはその前にきちんとやられたことをきちんと伝え、相手がそれを受け止めるそのような仕組みというのも裁判所の中でやれることも大事なのではないかなとちょっと話が反れましたがそのようなことも大事だと思ったので提言させていただきます。
武部新議長
山口参考人。
山口亮子教授
ご質問ありがとうございます。DVや虐待事件、それを公表していくべきだというご質問だったと思いますけれども私も確かにそのように思います。
離婚にまつわって虐待やDVが出てきた事件、また離婚はしていなくてもそういう事件もある。また同居親からの虐待別居親からの虐待、そういうものもやはりこれからは双方が親としての責任、養育の責任を果たしていかなければならないというところで、離婚した後も別居後もやはり双方が子供に対して関心を持ち続けるということが重要になってくるかと思います。
そして斉藤参考人が言われましたように父母以外の親族の関心というか、養育というものも非常に重要になってくると思いますので、面会交流にしても危険性があれば、親族がフォローするなり、また全体で見守っていくなり子供を安心安全にするために社会全体でそして親族全体で守っていくということが今回の法案でも審議の中で議論されたところだとは思いますけれども、これからも進めていくべきことだと思っております。
お答えになっているかわかりませんけれども、以上です。
武部新議長
斉藤参考人。
斉藤幸子
まず、交流できる親子と交流してはいけない親子を分けて議論していただきたいです。全て交流できるような場を前提に話す話を進めるのはとても問題だと思います。
別居の前から、高葛藤が多いです。その中で別居するときが一番大変です。
別居に別居をすぐに勉強してすぐに連れ去り誘拐と言われると、さらに高葛藤になります。失礼ながら、親以外の年第大人の大人が必要だとは思うのですが、監視ではなく、安心が子供にとっての安心が欲しいと思っています。以上です。
武部新議長
はい。本村くん。
本村伸子議員
ありがとうございます。それで子供の権利、1人1人の子供にとって何が最善の利益なのかということに関して、私はもう少し丁寧なプロセスが必要なのではないかというふうに考えております。児童心理、児童心理の方ですとか児童精神科の専門家ですとか、そうした方々もしっかりと踏まえたプロセスが必要なのではないかというふうに思いますけれども、犬伏志参考人と斉藤参考人にお伺いをしたいと思います。
武部新議長
それでは、犬伏参考人、お願いいたします。
犬伏由子教授
家庭裁判所でやるべきなことかということについてのご質問ではなかったかと思いますので、やはり法律だけでは解決できない問題というのは多々ございますので、やはり心理的な非常にやはりいろんなうまくいかないという段階から、当事者は非常に心理的にも疲弊しますし、これからのことについて不安も感じます。
そこの中で激しい言葉をかけられたり、暴力を振るわれたりということがあるかもしれません。そういう意味では今のご指摘のように精神的なケアができるような相談体制というのは重要ですし、何よりも子供の気持ちを理解できるような心理的なケアであるとか、行動科学ですね。知見を持った人たちが関わるということは十分に重要なことだと思っております。
そういう点では家庭裁判所の司法機能だけではなくって、福祉的・貢献的機能を果たすという裁判所という役割を持っておりますので、そういった点についてどこまで裁判所の中でやれるか、あるいは民間との協力ができるかというようなことについて、より開かれた裁判所という方向性も重要かと思っております。
武部新議長
斉藤参考人。
斉藤幸子
私達のような当事者の声をもっと聞いていただきたいです。こちらの本日参加されている参考人の方々、子の利益に対しても様々な意見がありました。皆さん違う意見を持っているからこそ、しっかりと時間をかけて審議してほしいです。
すぐ法案を作るのではなく、本当にみんなのためになるんだという改正を望みます。以上です。
武部新議長
本村くん
本村伸子議員
貴重なご意見本当にありがとうございました。
武部新議長
これにて午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。この際、参考人各位に一番お礼を申し上げます。参考人の方々には貴重なご意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
午後一時から再開することし、休憩いたします。
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