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占いは答え合わせくらいの感覚でいい

芸人の世界にいると占ってもらう機会がたまにある。

占いを妄信しているわけではないが、ひとつのエンターテイメントとして占いは好きだ。

それと、自分では気づいていない、自分の新しい一面を指摘されるのも少し刺激的に感じる。


占いで「頑固」と言われたときは「自分ほど物腰柔らかい人間なんていない!」と思ったが、そう感情的になっている時点で頑固だし、「譲れない信念がある」とポジティブに言い換えればなるほど当たっていると頷ける。

異性に関しては「落とすまで頑張るが、落とすと冷める」と言われたことがある。

恋愛は自分が落ちたことしかないので(アォッ)自覚はないが、買い物、特に楽器では思い当たることが多々ある。

買っただけで満足してしまい、ろくに練習できていない楽器が今も押し入れに眠っている。

それに合わせてか「家にガラクタが多い」とまで言われた。

あれ、占い師さん僕の家来たことあります?


初めて占いをしたのはたしか動物占いだった。

占いの結果を動物に例えるもので、約20年前の当時ブームになりそこから派生して色々な占いが生まれていった。

ちなみに僕の結果は「羊」で「本当の自分を厚い毛の中に隠している」とか書いてあった。

子供ながらに心を見透かされているような気がした。

その後とてつもないインパクトと共に現れたのがが細木数子の六星占術だった。

「地獄に落ちる」に代表される細木数子の歯に衣着せぬ喋りもそうだが、「あなたはこう!」と点でしか説明しない従来の占いに対し「運気は変化するもの」と線で運勢を導く占いが当時の僕には衝撃的だった。

六星占術には「大殺界」という、げに恐ろしい名前の何をしてもうまくいかないような自分らしさが失われてしまう3年間がある。

振り返ると僕は高校3年間がすっぽりこの大殺界だった。

どのような高校生活だったかは説明しなくても十分だろう、いや、説明させないでほしい。


霊視で占ってもらったこともある。

仕事に関してのアドバイスをいただいたところ、開口一番「今やっていることは本当に自分がやりたいことですか?」と聞かれた。

その頃僕はネタや芸人としての生活に圧迫感のようなモノを感じていて、そう聞かれた瞬間に何も言えず驚きのあまり「ふふっ」と笑ってしまった。

次はどんなことを言われるのだろうとじっと黙っていると「西村さんは変態です」と言われた。

「ふふっ」が「ははっ」に変わった。

そしてフォローするかのように「でも西村さんは品があります、上品です、変態紳士です」と助言してくれた。

理解してもらえないかもしれないが、僕はこの占いで心がすごく軽くなった。

周りから見たら特殊と思われるかもしれないけど自分の好きなことをやっていんだ、と強く背中を押してもらえたような気がしたのだ。

決して「変態」と呼ばれて喜んでいるわけではない。


占いはあくまでも統計学を基にしたエンターテイメントだと考える。

でも占いによって、人生を振り返ってみたりこれから歩いていく道を見つめるきっかけになればそれは素敵なことだと思う。

僕は将来の占いにすがることよりも、占いによって過去を振り返り反省し「今度は気を付けなきゃなぁ」と未来に繋げようとしている。

未来は誰にもわからないから、自分の歴史から自分の将来を学ぼうとしているのだ。

もちろん占ってもらった将来のいい運勢は現実になるよう信じる。

ただ、こういうところで言いふらすと現実にならなかった時の不甲斐なさが怖いので、もし占い通りになったら事後報告させていただく。


そういえば、動物占いの後に出た「寿司占い」もやった記憶がある。

占いの結果を寿司ネタで例えるものなのだが、その結果僕は「ガリ」だった。

せめてシャリが欲しかった。

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