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私の大好きな学び舎

_____年卒
3 年__組 氏名__________

 私の卒業の時期が来たと、土屋先生からお話を聞き、胸の高鳴りが抑えきれません。大変なこともありましたが、今振り返ると、全て良い想い出です。

 はじめての虚像祭の後、一年生の秋からずっと、私は特別学習室で、皆とは離れて勉強していました。

 大迫力の後夜祭の儀式の後、忘れ物を取りに行った私は、何かがあって気を失いました。職員室で目が覚めた私を、先生がここに案内してくれました。

 霊廟の隣の、鍵のついた扉から降りる地下構造物。昔の懲罰房を利用しているという部屋で、三畳ほどの空間に机とベッドが備え付けられています。気温は年中快適で、光るコケも生えているので、あまり不自由なく勉強できるのです。ごはんも、毎日持ってきてくれます。

 皆も、虚像様の声は知っていると思います。時折ここの廊下に響く、あの名状しがたい唸り声。そして重いものが這いずるような音。それは例えようもなく恐ろしく、なかなか勉強が捗りませんでした。

 はっきりと聞こえていたそれは、ある日を境に、なぜか無くなりました。代わりに聞こえるようになったのは、無数の囁き声です。これも、とても恐ろしいものでした。

 滲むような囁き声が廊下に満ちると、私はいつも、毛布を被って震えていました。しかしある時、気が付いたのです。声の渦の中に混じる、綺麗な音色。それは、歌でした。私を呼び、慰めてくれるようで、私の支えとなってくれました。

 限定的な話ですが、食事も印象的でした。濃灰色のお粥。記憶が確かなら、発酵したような生臭さと刺激臭、食感は砂のようにざらざらで、薄い甘さと強いえぐみを持つ、食べづらいものでした。

 手を付ければ意外と食べれたのですが、最初は正直きつかったです。でも、回数を重ねるごとに、段々と美味しくなるので大丈夫でした。このごはんはからだを綺麗にしてくれるもので、綺麗になればなるほど、美味しく感じられるらしいです。今ではもう、ごはんの時間が待ちきれないほどです。


ああ、また、歌が聞こえます。お腹の奥が熱くなる、素敵な声。
いつの間にか、部屋の鍵も、開けてくれていたみたいです。
呼ばれているので、私はもう行きます。高校生活、本当にしあわせでした。

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