『都市のエージェントはだれなのか』
1. 高専時代の読書ゼミ
明石高専時代、研究室活動の一つに読書ゼミというものがありました。
先生が選んだ本を、ゼミ生全員が読み、割り当てられた章を各自まとめてレジメを作成するというものです。毎週のゼミでレジメを用いて本の内容・自分なりの解釈・議題 を発表し、本の内容や議題に沿って議論をしました。議論は進行も含めてほとんど学生のみで行います。先生は微笑みながら聞いて最後に少し口をはさむ程度。
今振り返れば、議論の内容は全然取るに足らないものですが、同じくらいの思考レベルのグループで話すのでなかなか楽しかったです。
2. 1年目の本(2015/10~)
1年目の読書ゼミの本は、北山恒の『都市のエージェントはだれなのか』でした。
この本から学んだことは、今でも歴史を見ること・都市を見ること・建築を見ることの基礎になっています。先生の本選びの妙に本当に感謝です。
この本を通して得た重要な学びは、
〇19世紀:都市(もしくは建築)は、権威・思想 などの表像装置として用いられてきた。
〇20世紀:資本が支配する社会では都市空間そのものが資本主義のシステムに転写される。
〇また、宣伝装置的機能(または資本権力の表像)を担うアイコン建築が発生する。日本各地もその流れに飲み込まれ現在に至る。(「(前略)建築は文明を表示するものではなく、人々の生活を支えるものでもない、単なる経済活動の道具でしかない。」「(前略)建築はもはや文化的存在ではなく、実利を扱う経済行為でしかない。」)
〇近世以降、それぞれの社会背景に応じて、建築の形態は半自動的に決定されてきた。
〇パブリック / プライベート 軸に対して新たなコモンズの可能性
◎空き家問題や地域からの孤立などは、建築や都市の扱い方の問題に深く関連している。
〇:客観的な学び ◎:主観的な気づき
また、この本で初めて自分の暮らしと、建築・都市を扱う建築家の存在意義がつながる感覚が得られたように思います。
参考文献:北山恒「都市のエージェントはだれなのか」, TOTO出版, 2015
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