2024年 6月 みたもの
今月見たのはアニメ映画が多めですかね。毎日のように見たいものが増えていく。
トラペジウム
アイドルに憧れる女の子がかわいい子を集めてアイドルグループ作ってのし上がってやるぜ!!!って頑張るんだけど、彼女と他の3人との志の熱量の差異であるとか考え方の違いだとか様々な衝突を生むんですな。
限られた青春の時間を経験したキャラクターが、それを以て光り輝くまでの過程を描く物語でした。
公開当初なんか可哀そうな叩かれ方をしていた気がしますが、叩くまでは過剰とは言え見る人を選ぶかな~~というのもまぁ事実な気がします。
作劇としてあえてやってると思うんですけど、主人公の行動が結構露悪的に表現されてるように感じました。
それが彼女の「当たり前」であって「必死な姿」であって、褒められたことじゃないけどその一つ一つは光り輝く彼女の現在にとって無くてはならなかった軌跡であったことも間違いはないんだと思っていますので。私は東ゆうのことが大好き。
そもそもオープニングの「なんもない feat.星街すいせい,sakuma.」が滅茶苦茶にいい曲で衝撃的だったんですけど、作品見終わった後に聞き直したら情緒ぐちゃぐちゃになってしまった。あの曲に色々なものが詰まっているので、気になる方は先ず一回聞いてみるというのもおススメです。
舞台「リコリス・リコイル」 life won't wait.
以前も一度舞台化しているリコリスリコイル。そのクオリティの高さは折り紙付きで、原作アニメをうまく舞台というフィールドに落とし込んでいて世間の評判も私の評判もとても良かったのは記憶に新しいですね。
前回の舞台化ではアニメのだいたい半分くらいまでの物語を表現していて、アニメ終盤の展開は中々舞台で表現するのは難しいのではないかと思われるロケーションで繰り広げられるのでアニメ展開をなぞった続編は難しいのかな~とほんのりみんな思っていた気がします。
それがまさかの続編決定&シアターGロッソでの公演だというのですんごい納得したのを覚えてます。縦の動きを付けるのにこんなピッタリな箱もそうそうないですよね……。まぁ一番高いところにある通路は今回使われてませんでしたが……。
肝心の内容も大満足。前作のときからキャラクターの表現の仕方がひとりひとりとても丁寧でとにかく作品に対しての愛が大きい印象。
そんな中でも舞台という表現法ならではの強調の仕方ですとか、生身の動きをダイナミックに取り入れた原作アニメ版にはない強みはしっかりと前面に押し出す塩梅が良い感じです。
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章
前章も見たので見た。
前章では中々ショッキングなカットで引きとなっていましたが、後章開始先ずは普段通りに戻った日常が描写されていきます。
その後の展開はまぁいろいろと山あり谷ありではあるわけですが、あの「ワザとらしく張り付けたような日常」のどこかうすら寒い空気感の表現は凄い良かったです。どう見ないようにしても戻ってこない過去と、それでもそのまま生活は続けていかなければならないために悲しんでいられない現実。
この雰囲気はラストシーンにも表れてて、キレイゴトではない徹底的な日常の描写には唸る場面もありました。
その上で日常の崩壊の要因がおんたんのエゴでもあることの両立もしていますし、門出とおんたんの並々ならない関係性も目を見張る。
でんぱ組が担当している「あした地球がこなごなになっても」が流れながら光がスクリーンを覆うシーンは、その時間が静かに流れながらもハッキリとした力強さがその身を襲う。一見の余地ありです。
惜しむらくというか、メイン2人はさ、やっぱ本業の役者がさ、やってるところをさ、見たかったかなって……。
幾田あの のお二方も悪くは無かったんですよね、所々クリティカルなシーンもありましたし。やっぱこう本業とそうじゃない人の違いってアベレージの高さなんだなって。静かなシーン多いから気になんのよ……。
違国日記
原作があるらしいんですが未読。
やさぐれ新垣結衣演じる高代槙生がとんでも良いです。あんまり新垣結衣の出てる作品って見たことないですけど……。正欲も見れなかったなそういえばな。
自分自身も世の中に生きづらさを見出してしまうからこそ、両親を失った姪っ子のことを捨て置けずに手を差し伸べてしまった不器用ながらも真っ直ぐな気質がひとりの少女の救いになる物語。
演者の生み出す空気感がずっと良いですこの作品。
私が好きなシーン。槙生が親友と話す姿と雰囲気を見て、姪である朝が「大人も友達と楽しく過ごすんだ……」と目を丸くするシーン。
あそこ全てが良い。確かにガキの頃って大人はみんなカチッとしてると思いますよね。いい大人になってしまった今となっては、大人だって子供と一緒なことばっかりだって分かってくるものですが。
原作知らないんですが、どうやら映画になるにあたってかなり登場人物をオミットしてるっぽい?
読んでないので全く比較も出来ないんですが、原作で描かれる大事な根幹部分を映画の尺で最大限表現しようとした結果なのでしょうかね?
もしそうなのだとしたらその目論見は結構成功してるのでは、と思うくらいまとまっていた作品のような気がします。
コードギアス 奪還のロゼ 第2幕
と~~~~にかく戦闘カッコいい本当に好きKMFの挙動。
しっかり話が進み、ネオブリタニア勢力のキャラクターやらサクラの心の強さやらの描写の積み重ねが次のストーリーを早く見たいという気持ちにさせます。
3幕ではマッドサイエンティストが大活躍しそうなので本当に楽しみにしています。
ウマ娘 プリティダービー 新時代の扉
本当に良くて、つい直後に単独記事を投下してしまった。だいたいこんな感じです。
登場人物同士がそれぞれに作用し合うことで生まれる灼熱の情動が見る者の目と心を焼き、どうしようもなく高揚させる。
ダンツフレームがお気に入りですが、一番好きなシーンはタキオンの心を炎が再び燃え上がるシーンです。
関心領域 The Zone of Interest
アウシュビッツ強制収容所の隣に居を構える、実在した収容所所長一家をモチーフに描いた作品。
様々賞も受賞して話題となった作品ですね。
見てみるとなるほど、と。これはホロコースト、ないしは非人道的な行為を題材にした作品としてかなり挑戦的な作劇をしているわけです。評論家の界隈で話題になるのも納得の切り口だと思います。
この作品で描かれるのは、一家の日常が多くを占めているんです。
当然、その隣には強制収容所。虐殺が行われていると思しき音声だけが聞こえて来ますが、直接的な映像としての描写は一切なし。比喩でも何でもなく本当に一切ないです。
ですが人の叫び声が聞こえるその後ろで当然のように生活が営まれていく様が描写されていくわけです。
本当に邪悪なんですよ。何が邪悪か。あまりの描写の徹底さに、見ているこちらも邪悪だということを気付くのがワンテンポ遅れるほどなんですよ。それほどまでにこの作品の中で描かれている行為はあの世界において当然であり、彼らにとって疑問を思うことではなかったという演出がなされています。
まるで売上を作ることに執心する店長かのごとく、人を焼くための炉の可動を効率化する話し合いが何事も無いようになされる状況。でも分らんけど、本当にそうだったんだろうなとも思わせられてしまう。そこに説得力があってしまう映画だったなと思います。
マッドマックス:フュリオサ
怒りのデスロードの事かなり覚えてなかったですけど、まぁ問題ないやろということで鑑賞。
これが本当に面白かった!!
シリーズ恒例の世紀末世界を疾走するマシンの雨あられ、塵芥が吹いて飛ばされるように散らされていく人間だったものの数の夥しいこと。関心領域の感想の後に書く感想ではないなこれ。
ダイナミックで圧倒的な物量が画面に映りこむ様は否が応でもワクワクしてしまいます。炎が映らない瞬間がない。
フュリオサの過去のいきさつというか。まぁつまりドンパチするところじゃない会話したりのシーンもまぁ中々結構な尺を使ってはいたんですが、個人的にはそこもそんなに気にならなかったですね。
母を殺された幼少期から敵討ちをする青年期までじ~~っくり、フュリオサに苦難を浴びせ続ける丁寧過ぎるつくり。なんならアニャ・テイラー・ジョイが画面に映るのって映画半分が過ぎた頃じゃないですか?
長いは長いとは思うんですよ?
なんですけど、ちょくちょくフュリオサがちょっとした成功をするんですよね。最終目標には遠いけど、小さい希望がちょいちょいっと来るんです。
でも積み重なった希望も終盤にへし折られて気分はどん底なところでラスト、気持ち良いまでの、しかし大きく虚しさが残る復讐の達成に繋がっていく。
クリス・ヘムズワース演じるディメンタスのシンプルな敵として倒されるに足る魅力や、みんな大好きイモータン・ジョーとウォーボーイズのお馴染みの食べ応えなどなど。エンターテイメントド直球の仕上がりで素晴らしかったです。
そういえばこれ後でデスロード調べて気付いたんですけど、フュリオサがシタデルに来た時のあれこれの設定がデスロードと今作で違ってません?いやまぁ別に気にはならないんですけど……設定変えたのでしょうか。
今月はここらで以上、来月も色々見たいですな。