2024年 10月 みたもの
今月、急に寒くなったり稼働が多かったりでガチ体調不良気味でありますが、いつもよりちょっと項目が多い。早速だらだら記していく。
スオミの話をしよう
スオミというひとりの女性を中心とし、歴代の夫たちが振り回されたり自らが愛した「スオミ」への理解を深めたりするそんな話。
三谷幸喜ってやっぱ舞台劇作家なんだな~って思いましたこれ。回想で序盤中盤の話が進んでいくので物理的な移動少なく、金かかってねえな~ ~というのは結構思いましたが 笑
こんな日本が誇る年代振れ幅の大きい俳優陣を雁首揃えてこの規模感の映画を撮るってのは中々贅沢ですよね。割と展開とか会話とかハチャメチャなんだけど、やってる現場は楽しそうなんだろうなみたいな想像しちゃう。演者が楽しくふざけてそうな空気感がありましたね。
最終的に真実を知った後でも、抗えない魅力を持つ「スオミ」。ラストカットの強かな彼女の眼差しなんか見てると「あぁ、これは勝てないなぁ」と思わされる妖しい女を描き切っていたなとは思います。
ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
はいきました。2024年はこれをみなければ始まりませんよ皆さん。
本当に楽しみにしてたし、本当に楽しくてよかった。
それまでの2作でちさととまひろの絆や、ベイビーわるきゅーれシリーズの世界観や空気感が馴染んできたところで現れる最強の敵。
恐らくはこれまでの経験やノウハウの積み重ねの影響もあるのでしょう、シリーズでもっとも命のやり取りを感じるヒリヒリした緊張感を味わった上で、上で!! 改めてちさまひコンビの盤石さと繋がりの強さを感じることが出来る。まさしく文句なしの集大成の作品となっておりますこちら。
池松壮亮って役者が本当に凄くて。あの理不尽さと狂気さ、その根底にある虚しさの表現力と言ったらもう……!
冬村かえでというキャラクターの不思議な魅力ですよね。「ただ強い」「ただ狂ってる」だけじゃない「彼なりに苦しんで生きている」ところに聴衆は彼から目を離せなくなってしまう。
劇中でも示唆され、そこらじゅうのインタビュー記事でも見かけるような気がしますが、冬村かえではちさとと出会うという幸運に巡り合えなかった深川まひろのあったかもしれないifの姿であるような表現がされています。
見ている自分たちだって何かボタンが掛け違っていたら冬村かえでになっていたかもしれない、そんなことをわずかでも感じてしまう人が多かったからこそ、連日SNSでは冬村かえでについて考えを巡らせる声が後を絶たなかったのかなと思います。
アクションもシリーズ最高傑作と言っても過言ではないスケール感と緊張感で本当に息つく暇もないようなんですが、そこはこのシリーズ。随所にコメディなシーンが差し込まれる。コメディって日常の延長だと思うんですよね。職業殺し屋の彼女たちにとって命の取り合いそのものは特別なことじゃないから途中でおふざけも挟むし、そのあたりの空気感の妙と言いますか。
人が社会で働いたらふつ~~~に生まれる悩みとかちょっとした愚痴とかがこの作品の登場人物の中にもあって、ただその仕事が「殺し屋」という現実ではモラルの欠片もないような単語だから頭がバグって価値観の差が面白さに繋がってるんですよね。
勿論、今までのシリーズでも職業殺し屋を題材にした小ボケは数多くありますし伝統芸能なわけですが、冬村かえでの存在がこの作品世界の「殺し」を日常を超える危険だという風に昇華していったわけです。こうなってくるとそれまでのシリーズに比べてより振れ幅が大きくてそこが面白さを感じる要素に繋がっていっていると思います。
他にも、伊澤沙織さんまた動きにキレが増してもうてますとか、今や朝ドラヒロインに上り詰めた髙石あかりさんの表情の動かし方が相変わらず惚れ惚れするほどの感情表現だったり、歴代でも工数の増えた質の高いアクションが作品を締めてるとか、女優・前田敦子の使い方がドンピシャに上手いだとか、大谷主水氏の圧倒的安心感が屋台骨のようだとか、いくらでも掘れる。良い映画!!!!ドラマも面白い!!!!!ベイビーわるきゅーれ最高!!!!!!!!
※ここまで、10/30記
ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ
何故かドキュメンタリーが一か月後に公開されるベビわる。まぁ見る。
まぁ言うなれば真面目にドキュメンタリーなので、シンプルに興味深い映像がいっぱい見れたりインタビューが見れたりでファンとしてはとても面白かったです。
特にアクションシーンをどうやって撮っているか。
苦労に苦労に苦労を重ねて同じカットを何度でも録り、あの至高の一瞬が作品として出力されてるんだ……というところはシリーズのファンではなくとも見ごたえがあると思います。映画作りって大変だ……。
犯罪都市 PUNISHMENT
ずっとこのシリーズも気になってたんですけど見たことあらず。上映してるうちにえいやと観に行きました。
これがま~~~~た愉快痛快暴力映画!!!サイコ~~~~~↑↑
マ・ドンソク、本当にどんどんデカくなってるのにパンチのキレは増すばかりみたいなどう見てもバケモノなの大好き。立てば大木座れば巨岩、歩く姿はグリズリーです。何言ってんだ。
勿論前作を観なくても十二分に楽しめる!でもシリーズ3作品とも見たくなりましたね~~~。
いやほんとに、あまりにも水戸黄門、パンチするからアンパンマンかもしれない。
敵のキム・ムヨルもキャラクターとしてとても魅力的。
こんなやつに勝てるわけないじゃん……としっかり思わせてくるのにもかかわらず、マ・ソクトが強すぎて安心感がある。
このどんでん返しが喝采されるご時世に、姫路駅を降りた瞬間の見通しの良さを出してくる潔さ。熱意の量。姫路駅を降りた瞬間の光景は大変美しいので、当然まかり通るんですよこれがね。
パンチの重さが本当に凄いんだよ、これ絶対実際入ってるでしょみたいな。マドンソクもさることながら、受けのアクションをする側の技量の高さも垣間見えるフィルム。新参の私が言うのもなんですがこいつは間違いのないシリーズですよ……。
エンディングがま~~~~~~~~じでカッコいいのでこれだけ聞いて帰ってほしい。
※10/31追記
シビル・ウォー アメリカ最後の日
内戦が勃発し空中分解の危機に瀕しているアメリカ合衆国を舞台に、腕利きの戦場カメラマンの視点から物語を綴る一本。
予告が凄い面白そうで、大国の二分化をベースに生まれる醜い内輪揉めとか差別意識とかそういうものを表現する映画なのかなと思ったんですよ。画予告映像の「どの種類のアメリカ人だ?」がとても印象に残ったので。
ただそう予想していたのとはちょっとベクトルが違っていて、どちらかと言うと、突如発生した騒乱の理不尽の凄惨さと生まれる狂気の描写がメインになっておりました。
とにかくこの作品で目を引く……というか耳を引くのは音の演出。
舞台が戦場であるということもあり、一触即発の緊張感がひしひしと伝わってくる静けさを割って入ってくるけたたましい銃声。その一撃をきっかけに雪崩れ込むように押し寄せる銃弾の雨あられ、或いは次弾へ向けて最高潮となる警戒心の高まり。
騒がしさと静けさの切り替えで演出される見事な現場の臨場感に、手に汗握ること請け合いです。
それとこれは後日見かけたメイキング映像での話ですが、CG演出だろうとい思っていた炎の演出が実際の火花を使っていてうわこれは凄いなと。
本当にキレイなカット、終盤に向けて動き出すとても重要なシーンで印象深いものだったのでむしろちょっと納得した面もあります。そういった面も含めて、丁寧な映像づくりと大胆な音響にこだわりを感じる一本。
仮面ライダーガッチャードファイナルステージ
仮面ライダーガッチャードという作品が本当に好きだったので、無理やり時間を作って現地に行きました。この選択をした自分を褒めたいけどもうちょっと早く決断して東京2日目の公演に行きたかったという気持ちもある。いや、1日3公演全部ゲスト違うんだからどっちにしても見逃しはあるんですけど……。
この手のファイナルステージは1年間戦ってきたヒーローには恒例のステージなんですけど、ガッチャードっていう作品にはこういう形で目の前で公演を見ることの親和性が高くて高くてもう最高だったという話なんですね。
目の前で苦戦するヒーローを応援するヒーローショウの様式美。ガッチャード本編では応援する者とされる者の関係性を潔く真っ直ぐに描写していて、私がガッチャードを好きな理由のひとつなんですが、その再現とも言えるような体験ができるショー形式でのイベントはもううってつけ!!
本編でずっと仮面ライダーの傍らにあった加治木主導のもと、会場が一つとなって仮面ライダーにエールを送る。1年間応援してきたヒーローのイベントとしてこんな光景が見られるなんて、感無量ですよ。勿論歴代のどのシリーズでもこういう展開はありますが、ここまで要素がガッチリ組み合うのは歴代でも指折りのシナジーなのではないでしょうか。
その他、ガッチャードのスーツは肉眼で見るとカメラ越しで見るのとでは輝きの質が全然違うというところもあり、リアルイベントとの相性がすこぶる良いんですね~~。本当に良かった。
本編では最後哀しい要素の方が多かったクロトーが遂に、前向きに宝太郎との共闘をしたところは本当に泣くかと思ったし、1年の積み重ねのその先として嬉しいものばかりお出しされて大大大満足のファイナルステージでした。
あとグリオン様も良いんですよね、適当な理由つけて復活してもまぁグリオン様だしな……で済むし、ぶっ倒されることになにも遠慮を感じることがない敵役としての完成度が非常に高くてね……。よかった。
侍タイムスリッパー
単館上映から火が付き、全国200館での上映にこぎつけたと巷で話題の自主製作映画。
面白いと耳に聞こえたあたりから気になっており、上映館が拡大したのでありがたく見に行くことが出来ました。
幕末の武士である主人公が雷に打たれ現代へとタイムスリップし、時代劇の切られ役を目指して奮闘する筋書き。
どの時代に、どんな場所に生きていても全力でその生を全うする美しさが表現されたとてもいい映画です。特に私が好きだと思ったのはそのキャラクター造形の細やかさ。
主人公高坂新左衛門がタイムスリップした直後、当然ながら常識の違いから騒動を起こすわけですが、そこで自分の価値観を押し出さずに何か失礼なことをしたのだろうかと反省をするシーンで「あぁ、この人はきっととてもいい人なんだ」と理解できるようになってるのが良い。安心して続きを見てくださいと言われているようで好きなんですよね。これは時代劇的な所作にも表れてて。高坂殿がことあるごとに居住まいを正して襟元を整える描写が序盤にかなり差し込まれてるんですけど、ここに現れる生真面目さが再序盤からキャラクター像を固めていてキレイにつくられてるなぁと思うわけです。
とにかく主演の山口馬木也氏が生み出す説得力が凄いんです。ケーキを食べて愛する祖国の発展を知り涙するシーンは本当に今年見た中でも指折りで心を動かされた箇所で、高坂殿が、幕末の時代の武士がどれほど国のことを想って動いていたのかというところが芯に染み入ってくる。他にもういいシーン本当にいっぱいあるんです。素晴らしい役者……。
個人的にも時代劇映画をここ最近好きな身としては。それを作り上げる人々の情熱や、そもそもこの映画からにじみ出て隠せない時代劇愛が衝撃的なまでに魅力を放っていて、創作にひたむきで。最後まで清々しく見ることが出来る、まさしく傑作だと思います。
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 7th Live! NEW TOKIMEKI LAND
そもそも劇場版の出来がとんでも良かったので本当に楽しみにしててェ……
劇場版再現の曲を最速で駆け抜けてったと思ったらTVアニメの総ざらいかのようなライブが入ってェ……。新規層の心もガッチリ離さず、追い続けている層にも久しぶりの披露曲で満足感もあってェ……。
や、良かったなぁ。ほんと。次が楽しみ。
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
大反響を呼んだ前作「ジョーカー」の続編、しかも新キャラクターにレディ・ガガを起用とということでとても話題になりましたね。
なんというかこう、制作者の責任感から生まれたんじゃないかみたいな作品でしたね……。
前作「ジョーカー」はそのセンシティブな内容から、当時は模倣犯が相次いだかのような報道があったことも記憶に新しいかなと思います。まぁ実際はどうなのかは知りませんが、少なからず影響を受けてしまったという人はいるんでしょう。それが映画の力でもありますし……。
そんな風評に現実を叩きつけるために作られているんじゃないかと思わされてしまうような作風になってましたね今作は。
誰も彼も「アーサー」じゃなくて「ジョーカー」ばっかり見てて、その結末すら穏やかではなく……アーサーが不憫だと思う気持ちと、それでも因果応報という概念が残酷にも平等に適用されてしまうやるせなさと……。
実際問題アーサーだって大概なんですよやってることだけ見たら。でもそれが霞むくらい他の登場人物が全員カスなのでアーサーの不憫さだけが突出して見えてしまうという力技の感情移入法にはつい膝を叩いた気がしますね……。
小林愛香 LIVE TOUR 2024”Illumination Collection”
流石にFCライブイベントの動画はYouTubeに上がっていないため最新PV置いておきますね……。
小林愛香さんが新アルバムを引っ提げて全国を回るツアーの千秋楽に参加しました。
いるこれはアルバムの中でいろんなジャンルの曲が入っているので、ライブも実に多くの色を放ってとても楽しい時間でした。
私はデビュー作の時から佐伯ユウスケ氏の作る曲が大好きでね……いるこれにはなんと小林愛香さんとのデュオ曲が入ってまして。正直まぁやるんだろうなと思ってたんですけど実際目にしたらもう嬉しくてうれしくて最高のYARUSHIKANAIでした……。
しかも佐伯さん、おちゃらけおもしろお兄さんですっごい楽しかったな……また来てほしいなライブ……。
がんばっていきまっしょい
昔ドラマか何かやってたな~って思ってたらそもそも小説で、1990年代に映画もやってたらしい。遡ると30年弱前の作品なのか。
予告からして地雷臭が薫って来てて見事に話題に上がっていない今作ですが、これがまた結構しっかり面白かったですよ。
ストーリー展開が分かり易すぎることとちょっとした古臭さはあるにはありますが……。すこぶる真面目に作られていたように感じます。
本当に分かり易いんですよ。分かり易いんですけど、序盤でバラバラだったオールが終盤に向かうにつれてぴったり揃うとか。初漕ぎのシーンであ~これはやるな~~っていう布石すぎるじゃないですか。予想に違わずしっかりやってくるんですけど、これはこれで安心感があるので良し。印籠を出さない黄門様なんてありえないと思うんですけど、そういうところを外さないのって個人的には凄く大事なんですよね。
総じて纏まりよくて丁寧な作りしてるなと感心はしたんですけど、わざわざ30年前の作品を掘り起こしてリブートする意義はあんまり感じないような気がしてしまいましたね……。昔の作品の方は見ていないのであまり断定は出来ないんですけれども。
それでもこの作品に悪いイメージを全く持たないんです。
水上スポーツを題材とする物語において水の表現がとんでもなく気合入っていたというところに始まり、細部に手を抜いていないところに好感が持てるんですよね。
彼女らの青春の一ページを細部まで描き切った一本です。
ボルテスV:レガシー
私オリジナル作品は見てないんですけど予告が面白そうすぎてめっちゃ楽しみにしてたんです。
まぁ正直結論としましては本編ドラマ版の方を観たほうがよさそうだな……という印象です。
あと私吹き替えで見たんですけど、字幕の方が良いです。
吹き替え版、多分なんですけどめ~~~ちゃくちゃオリジナルをリスペクトしたディレクションされてる気がするんですよ。
それはこの作品のボルテス愛に由来するものなのかなとも思うんですけど、ちょっとね、ミスマッチと言うか……。
映像がすごい良いんですよ、東映特撮のニュアンスを含みつつもお金がかかっているエフェクト感で、正しくリブートがなされているいい画面作りされてました。
そこに、当時の演技を完璧に模した(と感じられる)演出が入っていくとこれが何というのでしょう……状況説明をし過ぎているというのか、当時のアニメーションでは描写が足りずに演技でカバーしていたのと同じ温度感でディレクションするとくど過ぎるようになっちゃうのかなって……。私が見た感覚だとこんな感じです。
なので!!多分言語版の方がいいです。実際言語版予告のおもしろそう感すごい。
あとはですね、そもそもオリジナルが90話あるのにそれの15話分を100分でまとめようなんてことが土台無茶だったという話もありそう。駆け足駆け足で、メイン5人のハズなのに兄弟3人に注目させざるを得ない組み立てになってて。残り二人ほんとにセリフすらかなり少ないですからね……。
ボルテスとかビーストファイターのデザインやらアクションやら、本当に愛を感じる映像のオンパレードではあるのでオリジナルのドラマ版、見たいなぁ……。
※11/2追記