並盛りって何盛り?すき家で「老い」を自覚した話
ある穏やかな昼下がり。
仕事のメール返信と優先してこなすべきタスクを済ませた私は、期間限定で販売されている「ヤンニョムチーズ牛丼」を味わうべく、一人すき家へ赴きました。
すき家ではいつもド定番の「牛丼並盛り」のみを頼んできたのですが、私の大好きなとある実況者グループが食レポをしている動画を観て、どうしても食べたい!という気持ちを抑えられなくなってしまったのです。
シンプルな牛丼ですらあんなに美味しいのだから、そこにヤンニョムとチーズを足したらもーっと美味しくなるよね。ハム太郎。
そんな期待にへけっと胸を躍らせ、タッチパネルで温玉と豚汁付きのセットを注文しました。
結論から言えば、ヤンニョムチーズ牛丼……
めちゃくちゃ美味い。死ぬほど美味い。まだ食べていない人全員に無料クーポン配布して食べに行かせてください、ってすき家本社さんに直談判したくなるくらい美味い。
恥ずかしながら生まれてこのかた「チーズ+牛丼」なるジャンルに手を出したことのなかった私ですが、あれビックリするほど美味いっすね。
勿論、絶妙な甘辛さのヤンニョムがそこに絡んで美味しくないはずがなく。幸福指数が爆上がりするのを感じながら食べ進めていた最中、不意にある疑念が私の中に生まれました。
「あれっ? これ……完食できないかも」と。
どんぶりの中身は、まだ3分の1ほど残っている状態。それまで脳汁をダバダバ垂れ流しながら食らいついていたというのに、胃袋は早くも白旗へ手を伸ばそうとしていたのです。
以前からさほど大食いではないとはいえ、並盛りサイズであれば問題なく完食できていたというのに。
えっ、まさかヤンニョムやチーズの濃さに私の腹が耐えられなかったのか? でも、サイズ自体はいつも食べるのと同じくらいだしな。
それとも、すき家のマニュアルが改訂されて米や肉の分量が増えたのか? 並盛りって何盛り?
はっきり述べておきますが、決して味に不満があったゆえに箸が止まってしまったわけではありません。ヤンニョムチーズ牛丼、あんたは凄い。流石、大手チェーン店が威風堂々売り出すメニューだ。
だからこそ、私はある悲しい結論に辿り着かざるを得ませんでした。在宅でほぼ引きこもって仕事をするフリーwebライター、今年で28歳。
そうか、これが老いの気配か。
勿論、一度に食べられる量と年齢は必ずしも関係するわけではなく、私より年齢が上の方でめちゃくちゃ大食いの元気な方もたくさんいらっしゃいます。
けれど、学生の頃だったら牛丼並盛りにここまで苦戦することなどなかったはずだ。そう、私はもっとやれたんだ。
脳内のダンブルドア先生も「老いじゃよハリー」って言ってた。
いうてまだ20代だし~、若い若い。ハッハッハッ。なんて油断していた私の背後に音も立てず忍び寄っていた、「30」の影。
生きとし生けるものは必ず老い、衰えていく。そう痛感したすき家での出来事でした。
(注文した牛丼は少しずつ食べ進めてしっかり完食しました。もう一度味わいたくなるほど美味しかったので、次はミニサイズで頼んでみようと思います)