焼きはまぐりとお燗酒
僕は、愛知からあの『焼きはまぐり』で有名な三重県の桑名市に入っていた。
そして僕は創業178年、はまぐり料理の名店『丁子屋』さまで、はまぐりの松ぼっくり焼きを頂いた。
(というか大学時代から30年来の親友である座頭市くんにご馳走になってしまった。)
ふっくらと丸い蛤のバランスを、松ぼっくりで安定させ、蝶番の部分だけを炭火に近づけつつ完全には火を通さない。
全体を燻してふっくら仕上げながら、炭火で蝶番切りやすく焼くあげるのだ。
江戸時代からの風習のこの焼き方と料理長の愛の創意工夫が、丁子屋の真骨頂だ。
はてさて、是非とも落ち着いて聴いて欲しい。
炭火焼きした貝が『ぱっくり!』口をあけたその反動によってのけぞってしまい、命のおつゆを自らこぼしてしまう。
皆さんは、そんなもったいない瞬間を目の当たりにした事がないだろうか?
そう!丁子屋さんは、焼きはまぐりが『ぱっくりもんどり打ってしまう』その時に、命のおつゆを流失する無念をも防ぎながら焼きあげるのだ。
その『焼きはまぐり』の美味しさと言ったら、こちらの方が、もんどりうってひっくり返ってしまうほどだった。
そして、さらにさらに‼︎ 夢のセレモニーは『はまぐり酒』へと続くのである!
はまぐりの貝に残った命の出汁に、お燗酒を注いで、ぐいっとやる。
僕は何回も、もんどり打ってその美味しさに七転八倒しながら桑名の夜を過ごしたのであった。