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人はそれをエレベーターという

手に入れた5坪の空間の中身の一切を解体してすっきりさせた。

その費用は2か月間、日本酒を売って捻出した。

 5坪の解体作業の様子。未だにここで何をしていいかわからない。

いったいこれから先、僕はこの空間で何を得て何を失い何を残すのだろう。

そんな事を新小岩の名店『居酒屋 かど鈴』のカウンターで僕は考えていた。

そして僕はこの店で新たな問題に直面していた。

それは、このお店のお品書きである『エレベーター』の謎について。

ずっと気になっていた『エレベーター』というメニュー。

4回も通っていて答えが分からない以上、ここは人生最大の決断の時だ。

僕の敬愛する吉田松蔭ならこんな時、どんな覚悟でエレベーターを注文するのであろう。

かくして目の前に差し出されたエレベーター。

その正体は、お揚げ(上がる)に大根おろし(下がる)と生姜おろし(下がる)が添えられた一品であった。

ちなみに江戸時代はこんがり焼いた金網の焦げ模様が虎に似ていた為に、厚揚げに大根おろしで【雪虎】厚揚げに青ネギを散らして【竹虎】と読んだらしい。

しょーもな!と思った。
(美味しかったけど)

でも一番しょうもないのは、そこに膨大な葛藤の時間を費やし続けた自分自身なのであった。

新小岩のザ.昭和な名店『かど鈴』
名物は【紅しょうがのかき揚げ】です。

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