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20年熟成の酒粕

病院で検査の為に久々に北海道に戻って来たが検査日前の数日は、そわそわして落ち着かない。

 こういう時は断捨離に限る。

 手始めに僕が数キロだけ取り置いていた『20年熟成の酒粕』を畑の土に混ぜる。

 かねてより、こいつは肥料にするしかないと分かっていた。

 袋に諸白(もろはく)と書いてあるが20年経つと『もろ黒』となる。

 その香りはブラジルのチョコレート、タンザニアのコーヒー、フィジーの黒蜜を想起させる。

 (そのどれも口にした事はないが)そのくらい黒い香りである。

 そして肥料に使うしかないと判断した理由。

 それはスーパーレモンキャンディとテレパッチと明治カカオ95%を一緒に頬張ったような、奥歯が弾け飛ぶ苦酸っぱさなのである。

 恐らく酒粕の熟成は、奈良漬け床のように糖分添加されていれば20年経っても美味しいのだ。

 実際に、秋田のお蔵で10年以上熟成の奈良漬けの漬け床粕を、豆腐田楽にして食べさせて貰った事がある。

 その時の美味しさが忘れられない。
 
 僕の『失われた20年』を誰かが繰り返さぬように、ここで断言しよう。

 酒粕は糖分を(できれば大量に)混ぜて20年熟成させよう。さらば!黒い粕のピラミッド。

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