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ニュースタイルの花見酒

僕は老舗喫茶『シルクロード』でモーニングセットの茶碗蒸しを食べながら考えていた。

桜満開の季節。

本来なら人々は、桜の下で花の薫りと酒に身を浸し、心を酔わす筈であった。

しかしコロナ禍、今年もそんな風景もないままに桜は間もなく散り始める。

考えてみたら桜の見せ場は2週間程度。残りの約340日の葉っぱだけの期間は『見向きすらされない』のである。

人間さえ葉っぱだけで乗り切ることはできない。
(あなたはエデンの園のアダムではないのだから)

という訳でして『桜は、はかない』などと安易な言葉で桜の気持を傷つけてはならない。
(あなたは『切腹前のお侍さん』ではないのだから。)

それよりも葉桜になった木の肩にそっと手を添え『おつかれ』と言ってやるべきだろう。

4月。土の中の微生物は気温上昇とともに活発になり、桜に栄養を届ける為の発酵を始める。

来年のステージに向け、栄養を蓄え始めた健気な桜に、泥酔のカッポレは似合わない。

これからは葉桜の下、日本酒片手にしみじみ『お疲れ様、サンキュゥ!』とエアギターで、ねぎらう一人花見がニュースタイルでいい。



あなたは桜にとっての堀内孝雄なのだから。
(なわけないない。)

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