![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75435633/rectangle_large_type_2_8a9dfaf0c26454366ec41490198fb81f.jpg?width=1200)
ニュースタイルの花見酒
僕は老舗喫茶『シルクロード』でモーニングセットの茶碗蒸しを食べながら考えていた。
桜満開の季節。
本来なら人々は、桜の下で花の薫りと酒に身を浸し、心を酔わす筈であった。
しかしコロナ禍、今年もそんな風景もないままに桜は間もなく散り始める。
考えてみたら桜の見せ場は2週間程度。残りの約340日の葉っぱだけの期間は『見向きすらされない』のである。
人間さえ葉っぱだけで乗り切ることはできない。
(あなたはエデンの園のアダムではないのだから)
という訳でして『桜は、はかない』などと安易な言葉で桜の気持を傷つけてはならない。
(あなたは『切腹前のお侍さん』ではないのだから。)
それよりも葉桜になった木の肩にそっと手を添え『おつかれ』と言ってやるべきだろう。
4月。土の中の微生物は気温上昇とともに活発になり、桜に栄養を届ける為の発酵を始める。
来年のステージに向け、栄養を蓄え始めた健気な桜に、泥酔のカッポレは似合わない。
これからは葉桜の下、日本酒片手にしみじみ『お疲れ様、サンキュゥ!』とエアギターで、ねぎらう一人花見がニュースタイルでいい。
あなたは桜にとっての堀内孝雄なのだから。
(なわけないない。)