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友達とはいったい?

『修学旅行にあたって、友達同士で好きに6人グループを作りなさい』

 中学の担任がそう言い放った、あの日あの時から、僕は『友達』という言葉を使わなくなった。

教室では快活で人気者のA子が、次々と上位5人の『友達指名』をしている(お前は村上里佳子か!と僕は心の中で突っ込む)。

指名から漏れた6人目のF子は『A子とは親友だった筈なのに、くっそ!くっそ!』とリップクリームを1時間も塗り続けている。

かくいう僕もまた、友達がいなかった。こういう場合は担任の余計な計らいで、最後に学級委員長が(僕を含む)みなし児達を引き取りに来るのが暗黙の了解だった。

修学旅行の夜、女子部屋に群がる人気者の男性達を尻目に【みなし児ルーム】では、転校してきたばかりのS君が『すかたねーからUNOでもすっぺか?』と一言。
 僕は涙のワイルドカードを朝まで連発したものだった。

その点において今、発酵さぎょうには『お客さん』しか来ない。

常連のお客さんにも新しい一面を見つけ、僕の中にも新しい発見をする日々。

お互い死んだあとで『あーよく考えたらあいつは友達だったなー』としみじみ言ったり、言われたりするのが最高の形だと思える。

幼稚園の入園式で『友達100人できるかな』を聞いてから半世紀。
いよいよ発酵さぎょうは、最終の店頭工事に入った。

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