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忘れ得ぬ日本酒の日
生涯忘れ得ぬ日本酒の日となった。
ボクは5年前の今日、2度目の癌で瀕死寸前だった。
そして今、確かに『一番大切なものだけを積み込んだ小さな舟を浮かべることができている』
5年前、癌病棟で綴ったブログを読み返して号泣しています。↓
【僕の舟がもう沈まないために。】
24時15分。今こうしている間にも、この病棟には断続的に『うめき声』が反響する。
どこか遠くの山奥で、傷ついた動物達がひっそりと身を潜める特別な場所のようだ。
手術から3日目の夜に見た夢。
父が転んで僕に助けを求める。(父は晩年、筋力が蝕まれる難病にかかり、よく転んで打撲や骨折を繰り返していた。)
目の前の父を助ける前に、今度は僕が転んでしまって『助けには行けない』と父に叫び続ける夢だった。
この何日か、ずっとその夢の意味を考えていた。
そしてその夢の答えが、僕が再びここへ戻って来てしまった理由のような気がしていた。
僕は3年前に、自分の舟から『とても大きな荷物』を海に放り込まねばいけなかった。
舟が先に進むに、それは大き過ぎる荷物だった。
その大きな荷物の中身は僕の人生には重要でも、命をつなぐには荷が勝ちすぎていた。
今度こそ、その荷物を諦めなければ『本当に大切なもの』と『自分の命』の両方が海の底に沈んでしまうんだ。
僕は今、あの夜の父がそう伝えに来たのだと確かに思えたのだ。
とにかく早くこの場所から抜け出さねば。
そして再び僕の『本当に大切なもの』をのせた舟を浮かべよう。