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菩提もと、水もとの考察

【菩提もと、水もと】の真面目な考察

※尚、以下(  )の中は、話を聴かされる相手の副音声です。

 さて500年くらい前の日本酒はどんな味がしたんだろうか。
(へー!たのしそう)

 そんな事を思い巡らせ体験する格好の舞台が奈良には整っている。
(うんうん)

 『菩提もとで仕込む菩提泉』というお酒がある。奈良菩提町の正暦寺の大ヒット商品だ。
(ぼ、ぼだい?)

 1000人以上の僧侶が修行していたとされる正暦寺が、その生活費捻出のために残暑の時期にあっても日本酒製造を可能にした技術革新であった。(あー、そうなんだ。)

 保冷設備のなかった時代、お米は収穫と同時に品質がみるみる落ちていく。(ふーん)

 それを防ぐ政策の一つに寺院による酒造り『僧坊酒』があったに違いない。(へー)


 なにせお米は貨幣そのものだったし寺院も酒造りを重要度の高い修行として捉えていた。(やだ、もうこんな時間。)

 だからこそ『酒造りは人づくり』と言われる所以であろうとも感じる。
(トイレ行ってきていいかな?)

 増殖力の強い乳酸菌の選定やその増殖期間よって『菩提もと』特有の風味の強弱が決定する。
(ねぇ、人の話聴いてる?)

 塩によって菌層をある程度コントロールできる味噌醤油と違って、日本酒は狙い通りの乳酸菌を最速で育て、腐造性の乳酸菌に付け入る隙を与えないために精度に高い管理が必要なのだ
(私、用事思い出しちゃった。)

 まさに終始、五感を研ぎ澄ませ雑念を払い除ける修行に酒造りはスーパーフィットしたのだった。
(じゃ悪いけどお先に)



 というように奥さんや彼女の前で、日本酒を掘り下げ過ぎるとたまに一人ぽっちになっちゃう事があるので気をつけよう。

※この文章は、奈良の『喜多酒造』と奈良酒専門店『なら泉勇齋』で学んだ後に『なら酒蔵なべ』で酒粕玄人鍋を頂きながら書いております。

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